fast and slow steps
桜がもうかなり散っている。
今年はいつもより長い期間を楽しませてもらったな、という気がする。開花が早かったし、何回も雨が降ったけど負けずに持ちこたえてくれた。
わざわざ花見に行ってはいないけど「あ、桜が咲いてるな」と、ふとしたタイミングで目に飛びこんできてほんのり幸せを味わう機会も多かった。
そして新緑の季節がやって来る。
天気の良い日の昼間は、もう初夏を思わせるような緑があふれていて、気持ちが良いんだけど同時にびっくりしてしまう。こちらはまだ準備ができていなくて、かけ足のようなスピードで移り変わる季節についていけない。
「ちょっと待ってよ〜〜」と言いたくなる心に、まだ初々しい黄緑の若葉が無言で語りかけてくる。「大丈夫、焦らなくてもいいんだ」と急ぎ足をとめて深呼吸、といきたいところである。
成長のプロセスをかたつむりのように歩む、未熟さという可能性の芽を見捨てることなく、その紆余曲折そのものを楽しむしかないのだろう。
そのとき通りがかったマンションの公園に、もう鯉のぼりが上がっていた。私の中に残っている冷静な部分が「さすがにそれは早くない?」とツッコミを入れた。