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地方財源としての「ふるさと納税」

8月2日に総務省からふるさと納税の調査結果が公開され、R5年度のふるさと納税で全国の自治体に寄付された額が1兆円を超えたことが報じられました。

日々、地域の自治体の方々とお話ししていると、〇〇の誘致などをしたいけれども、財政負担が重すぎて..というお話をよく伺います。

人口減少・高齢化の中で、財源は減っていく中で、人件費や扶助費などいわゆる義務的経費の圧縮は難しく、厳しい財政状況に置かれた自治体が多いからです。挑戦をしたい、でもお金がない。非常に切実な課題です。

その中で、道南でも多くの自治体が活用しているのが2008年に創設されたふるさと納税制度です。大泉函館市長が公約の中で、現状15億円程度の同制度の税収について、「ふるさと納税100億円」を掲げ、新たな返礼品発掘などを呼びかけたのは記憶に新しいところです。

道南の自治体では以下のような形で使われています。

【八雲町】
R4年歳入総額:164億円
税源項目のうち、町税:22億円、地方交付税:59億円、寄付金:19億円。
寄付金の19億円のうち、18億円がふるさと納税によるものです。

内容は、新幹線推進費、駅周辺整備事業、ごみ減量化、酪農ヘルパー事業、冬期福祉手当給付事業、妊婦健康診査事業、各小学校校用一般整備事業、総合病院事業費など、社会資本整備から福祉・教育まで幅広く使用されています。

森町でも、歳入146億円のうち、22億円が寄付によるもので、健康医療・教育・産業・防災などに使用されています。

ふるさと納税制度は、「納税」制度と言いながら、実際は、都道府県・市区町村への「寄付」を使った制度です。一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。ですが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。赤十字やNPO法人や政治活動などに寄付する「特定寄附金」でも2,000円を除いた額の一部が控除されるのですが、ふるさと納税の場合は、全額となっています。

道南の各自治体のように、地元で子どもが生まれてから育つまで一所懸命、教育費や医療費など経費をかけてきても、学校を卒業して大人になったら東京や札幌で働き、その方々は地元の地域で納税していない。そのように人口流出によって生まれた不均衡について、是正するにはどうすれば良いのか。「自分の生まれ育った故郷に納税できればいいのに」そのような思いを実現する目的から、本制度は創設されました。自分の生まれ故郷に限らず、どの自治体にでもふるさと納税を行うことができ「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」です。

類似の考え方で、地方交付税制度がありますが、地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」と位置付けられています。地方交付税は再分配の計算式が決まっています。一方で、ふるさと納税は、寄付者が選ぶことができるので、自治体の創意工夫が活かされる制度になっています。また、返礼品の選定などにおいて、新たな地域資源の発掘を促し、雇用の創出や地域経済の活性化につながっていることが指摘されています。つまり、ふるさと納税のサイトで地元商品をアピールをすることで、道南地域の特産品について日本全体に知ってもらう機会になったり、地域の水産加工会社の売り上げに貢献したりしています。

先月、函館市もふるさと納税の商品をアピールするインスタグラムアカウントを開設しました。ぜひ見てみてください。https://www.instagram.com/hakodatecity_furusato/


東日本大震災の時の寄付や災害時の寄付にも活用される事例が増えており、寄付文化の定着に寄与しているとの指摘もあります。また、H28 年度税制改正では、地方創生のために効果的な事業を 官民挙げて推進することを目的として、企業版ふるさと納税が創設されました。返礼品はありませんが、税負担の軽減を行いながら企業が地域創成に貢献することができるようになりました。

災害で活用される中では、代理寄付も普及してきました。被災地の自治体職員は、市民の安否確認や避難所の整備などの活動対応に追われています。そのため、ふるさと納税に関わる受付といった事務業務が難しい状況にあり、代理寄付受付は、被災していない自治体が、被災自治体に代わり寄付金を受け付けることができる制度です。

例えば、能登半島地震では、江差町がいち早く、友好都市協定・災害時相互応援協定を締結している石川県珠洲市のふるさと納税代理寄付を行いました。

課題もあります。元々は一部の自治体が自主的に返礼品を出し始めたのですが、2012年以降のポータルサイトの創設などにも後押しされ、返礼品競争などが起きて、海外製品や金券まで出てくるなど、社会問題となりました。本来の制度趣旨に鑑みれば、過度な返礼品は是正しなければならない、との考えで、総務省は自治体が寄付を募るのに使う経費を寄付額の5割以下とする基準の厳格化や、返礼品を地元の原材料産品に限るなどの通知や対応をしてきました。また、地方の税収に貢献する一方で、東京・横浜などの流出自治体からの懸念の声も出ています。

しかし、道南8区を歩き、地域でいつも声を伺っている立場からは、ふるさと納税の財源や地域経済への波及効果は、自治体にとって不可欠になっていると考えています。

向山じゅんは、課題を調整しながらも、域内の自治体の創意工夫による財源確保を応援します。

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