【むこじゅん政策の視点】:安全保障編①
noteで様々な分野の政策に関する視点を表明していこうと考えていたところ、まず、安全保障について書くことにしました。(他テーマについても順次書きます。)
年初から能登半島において、多くの自衛隊の方々が救出や様々な支援等の困難な任務に従事する姿を拝見しました。道南には函館駐屯地の陸上自衛隊第28普通科連隊、海上自衛隊の函館基地隊、航空自衛隊の奥尻島の第29警戒隊、八雲の第20・23高射隊が所在しています。今回のような災害での派遣に敬意を表するのはもちろんのこと、日々の訓練や任務、そして地域との交流も積極的にされておられ感謝するとともに、安全保障環境が大きく変わる中でその役割の重要性を改めて痛感します。
なぜ安全保障か。
よく、「安全保障は票にならない」等と言われます。
「考えたくない」とアレルギーをお持ちの方もいると思います。
しかしながら、国民の命・財産と領土領海領空を守ることは国の最も重要な責務です。それが担保された上でなければ、豊かな社会・経済生活を送ることができません。ウクライナ戦争では、私達と同様に豊かに暮らしていた人々が一瞬でその基盤を失うのを目の当たりました。私自身、色々な国に引っ越しを繰り返す中で、日本の安定と安全は本当に何よりも重要な財産だと実感しています。
そして、この平和な日本は、当たり前に享受されているものではなく、大戦への深い悔悟、平和と安定を模索する努力、危険を顧みず責務に臨み国を守っている方々の尽力はじめ、多くの活動によって積み上げられてきました。
イデオロギー論争ではなく、他人事の批判でもなく、平和・命を守るための「現実的な安全保障」を担うことができるか。これが与党に課せられている重要かつ最も重い責務だと考えます。だからこそ、最初に触れておきたいと思った次第です。
安全保障政策で重視すること
私が安全保障政策で重視したいことは主に以下の3点です:
前編では①について少し説明します。
①同盟・国際関係の重視
前提となる外部環境の変化
わが国は、ロシア、中国、北朝鮮という国々が隣国であるという地理に位置しており、とりわけ、北海道はロシアと近く、また、先般、北朝鮮のミサイルも奥尻島沖に落下するなど身近に脅威があります。日本を取り巻く安全保障環境は、ここ20-30年で激変しました。
中国は1992年から30年間で国防予算を39倍に増やし、アジアのパワーバランスは大きく変化しています。中距離弾道ミサイルや極超音速ミサイルなど一部の能力は米軍を上回るとされ、AIや無人機などの先端技術投資を行い軍の近代化を急速に進めています。領空侵犯の恐れがある中国・ロシア・北朝鮮等の外国機に対するいわゆる日本の航空自衛隊によるスクランブル発進は、2023年も4月から12月で500回を越えています。
外部環境変化を踏まえた安全保障戦略の見直し
一昨年、2012年以来10年ぶりに安全保障3文書が改訂されました。
改訂の背景となったのは、10年前とは全く状況が違うという危機感、大きな外部環境変化です。
2023年度から5年間の43兆円の防衛予算の増額について、「軍拡か」等の懸念の声も伺います。しかし、そうではありません。戦争を起こさせないためには、「攻めない方が得だ」「攻めても成功しない」と思わせること、すなわち、「抑止力」が何より重要であり、そのために日本がしっかりと防衛基盤を整えておく必要があります。
そうは言っても、一国でできることは限られています。例えば、中国のGDPは日本の4倍(2023年名目ドルベース)があり、人口は10倍以上、拡大し続けている防衛予算も日本の約4倍です。金額規模的にも人口規模的にも、日本が中国と同様に防衛予算を増やすのは困難です。それは即ち、日本一国ではパワー・バランスが保てないことを示します。
日本が重視すべきこと
その前提に立った時に、日本にとって重要なのは、
1)同盟国や同志国と連携して地域のパワーバランスを維持すること
2)守られるだけではなく、自分たちの国を自分たちで守る意志と力を持つこと
「自分達で自分達を守る」気概を持っていない国は他国からも守られないことは今までの各地の戦争・紛争等でも明らかです。(米国留学当時感じた内容はこちらご覧ください。)本当の意味での抑止のためには、自国の適正な防衛力整備が欠かせません。自衛隊の皆さんの処遇を改善し、戦略的に可能な日数対抗できる実効的な装備を持つ。このために防衛予算が増額されています。
ポイントを改めてまとめると以下の通りです:
「他国との連携」で重視すべきこと
上記の基本的な考えを踏まえて、「①同盟・国際関係の重視」として日本が考えなければならないのは以下のようなことだと考えています。
外交、経済、文化様々な形で志を同じくする国々と関係を深めることは、防衛的な意味での安全保障だけではなく、食糧やエネルギーの安全保障等の含めて、島国である日本が生きる上で大きな前提となると考えています。
後編で、②・③についても考えたいと思います。
〆…②に続く。
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