停滞を打破し、函館・道南の価値を上げよう
「道内で一番」の危機を脱する
道南の最大の危機は人口減少です。前回の国勢調査で、残念ながら函館市は道内179市町村のうち、「全道一」人口が減った自治体でした。国立社会保障・人口問題研究所が発表した2050年の将来人口推計によれば、函館市の人口は現在の24万人から15万人台になると示されました。また、渡島・檜山管内18市町のうち、14町が5割以上落ち込むと予測されています。
急速な人口減少は、地域経済・社会の停滞というのみならず、社会インフラ機能の維持、医療体制の維持、産業を支える担い手の不足など深刻な影響を及ぼすことになります。地域の方々が安心して生活するために、非常に優先順位が高い政策課題です。
期待の宝庫である北海道
人口問題を語るときに、「日本全体で人口が減少する中で、市町村間の取り合いをしても意味がない」との論調もあります。しかし、全国で見て、北海道ほど全国的に成長期待が高まっている地域はありません。インバウンド目標値6000万人に向けた食や自然・アドベンチャートラベルなど観光の最前線基地であり、温暖化が続く中での寒冷地として熱を発するデータセンター等のIT産業の適地であり、半導体工場を契機に先端産業の集積が期待され、エネルギー政策が転換していく中でゼロカーボンに資する多くの取り組みが可能です。そして食料自給率の向上が急務な中で日本の食料生産基地の役割も担っています。ここから30年間の日本の成長戦略を考えた時に、北海道が有利でない点が無いと感じる程に、全国的に重要な地域です。
道南は置いてきぼり?
北海道が全国的に注目される中で、道南としても多くのポテンシャルがあるにも拘らず、国の成長戦略を取り込む挑戦があまり進んでいない状態だと感じます。圧倒的な交通利便性、コロナ禍から復活を遂げつつある観光業、はこだて未来大学や高専に代表される先端人材、努力によってブランド力を磨いてきた一次産業。これだけ様々な活かせる要素のある地域で、全国62の中核都市の中でも1-2を争う人口減少や26年間続く地価の低下で停滞している状況は、その潜在力が活かされていないからではないでしょうか。
なぜ産業的な可能性に着目するのか。それは、若年層をはじめとする転出超過、すなわち「働きたい場所がない」「賃金が安い」ということが、人口減少の最大の理由になっているからです。勿論、合計特殊出生率が低下する中で、子育て支援・教育費用の負担軽減なども同時並行で行っていくことが必要です。しかしまず、そもそも所得が確保できる状況がなければ、地域に留まって子育てをしようという次の段階にいくこともできません。
危機であるからこそ、全国に先駆けて挑戦していく、事例を作っていくような気概がなければ、挽回どころか、このまま消滅の危機に晒されてしまうのではないか。地域経済の一つ一つが国を創っているとの基本に立ち返り取り組んでいきたいと考えています。
豊かな生活の基盤が産業と地域経済
ウクライナ戦争や円安を契機とした物価高騰により足元の生活は苦しい状況にあります。しかし、同時に日本は、30年間続いたデフレから転換しつつあります。この先、人口減少下でも生産性の向上や適切な分配によって国民全体が豊かさを感じることができる社会を作ることができるか、今私たちはその岐路に立っています。
・こども・教育に投資する、科学技術に投資する、将来の日本を創っていく。
・高齢者が安心できる充実した福祉、健康で生きやすい地域を作っていく。
私はこうした理想を持っているからこそ、その大前提となる強い産業と地域経済を作っていかなければならない、という強い決意を持っています。
停滞を打破して、挑戦していこう
函館・道南は今までの停滞を打破し、産業誘致・産業転換を積極的に行なっていかなければ未来はありません。
北海道新幹線の2030年札幌延伸が延期される見込みですが、開通を見据えた街づくりを道南として描いていく必要があります。様々な課題を乗り越えなければなりませんが、新幹線の函館駅への乗り入れは、そのグランド・デザインの中で、価値がある手段の一つだと考えます。また、北陸新幹線の福井などの事例を考えると、ただ開通するだけでなく、それに伴う二次交通の整備や再開発があってこそ人流増へとつながることを示しています。新しい観光需要を惹きつける函館・道南の周遊ルートや持続可能な地域としての少子高齢化社会に適応した街を整備する必要があると考えます。
今後、デジタル関係、クリーンエネルギー関連の投資は日本中で行われます。データセンターについていえば、米国のクラウド会社だけでも日本国内で今年に入って表明した投資額は約4兆円です。AIの普及によって設備投資が増強される中、東京一極集中ではなく災害時を踏まえた地方分散が議論されています。ケーブル引き揚げ地からの距離、クリーンな電源確保と冷やすための寒冷地が要件となる中で、道南も手を上げていくべきだと考えます。
オランダの農業、ノルウェーの漁業など、世界では一次産業が「稼げる」「成長産業」だと位置付けられている実例が多くあります。徹底した効率化や生産性の向上、デジタル技術の活用、資源管理や輸出戦略など、参考にできるところも少なくありません。渡島・檜山管内で農家さんや漁業従事者の方とお話しした時に、「子ども三人が安定して大学に行けるくらい稼げないと、就労したい、子どもを就労させたいと思えない」との意見をもらいました。世界の人口は増えています。日本の食料自給率を上げて、日本の価値の高い農林水産業を持続可能にしていくために、従事者の皆さんと共に大胆に農林水産政策を前進させていきたいと思います。
こうした、様々な分野を進めていくために、
国と道と市町との連携が不可欠です。
全体としての産業政策を実現するために必要な社会資本整備は国の重要な仕事です。また、特区の活用や新しい取り組みに壁となる規制を取り払うこと、資金的な後押し、法律改正等で総合的に後押しをしていく必要があります。
停滞を打破して、函館・道南の価値を上げるため、
皆さんと共に未来へ向けて挑戦すべく尽力します。
〆
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