望まない衝動
昨年の7月から小林浩子さんとはじめたツールで子育て対話は、私自身にとっても親としての自分自身を俯瞰するとても大事な時間になっています。
第5回は、システム思考ツールのループ図を使って対話しました。事前の打合せで「特定の誰かから言われた訳ではないけれど、何となく感じるプレッシャーとか外部にある評価を気にして、本当は望んでいない振る舞いを親である自分がしてしまう事ってあるよね」という話しになりました。
ループ図には、よくあるループの組み合わせとしてシステム原型と呼ばれるものがあります。上記の話から、その中の一つ上手くいかない解決策を少しアレンジして「望まない衝動」というフォーマットを作成し、みなさんと対話しました。
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このフォーマットは、自分から見て子どもや家庭の状態を何かしら良くないと判断し、それを是正しようとすることが短期的には効果を上げるものの、一方でその是正のためのふるまいが時間の遅れを伴って望まない作用をつくり出し、結果として子どもや家庭の状態をさらに良くない方向に導いてしまうという構造を表現しています。
例えば、私自身のケースでいうと息子はあまり勉強が好きではありません。頭では、「勉強好きな小学生の方が少ないんじゃないの」とか「別に小学生のうちは思いっきり遊べば良い」と思っています。しかし、実際に私が取っている行動は「習い事やれば?」と息子に半ば習い事を強制しています。
なんで???
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嫌々、習い事にいかされる息子は順調に勉強をやらされる意識を育んでいます。それが結果として子どもの勉強の向き合い方をさらに下げていきます。その様子を見た私は焦り、ますます勉強を強制するようになると。。。望まない結果ループが悪循環として作用することになるでしょう。
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恐ろしいのは、望まない結果ループが悪循環となりうることがわかっているのに、自分自身を止められないことです。
上記は一例ですが、今回は参加者の皆様と一緒にそれぞれの文脈を共有しながら対話をしました。起きている事象はそれぞれ全く別なのですが、構造のレベルで対話することで、それぞれのケースがオーケストラのように響き合い豊かな洞察を導いてくれました。参加してくださった皆さん本当にありがとうございました。
何が私を是正ループに突き動かしているのか?と探求する中で、私にとって大きな気づきとなったのは、私が是正やコントロールしようとしている対象は子どもではなく、私の中にある不安なのではないか?ということでした。その事に気づいた時、よりクリアに子どもの将来を考えらえるようになったと実感しています。
自分の中にある不安や観念に無自覚だと本当に望むことではないことに自分の注意が奪われるように思います。そして、その不安や観念を自覚するには他者の存在が不可欠であるように思うのです。親としての自分を振り返り他者と対話する中で、自分自身の観念に気づき、より冷静に現実を見つめることができる。そして、本当に望むことを明らかにする。そんな時間をもつことの価値を改めて感じる時間でした。