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選択的夫婦別姓の謎 @ニューヨーク: I’m keeping my name.
日本の友人に、「Juneさんは旦那さんと苗字が違うけど、なぜ?」と聞かれたことがあります。えー、知らないの? 外国人と結婚すると自分の姓を選べるのです。
日本では結婚すると自分の親の籍から抜けて、新規にふたりの戸籍を作るわけです。が、外国人には日本国籍がないので新戸籍は作れません。そこで日本の戸籍を持つほうが、自分の籍を新規に作って筆頭者となります。
私の場合、相手に日本国籍がないから私が筆頭者となって籍を作りました。筆頭者の私の戸籍上の氏は変わりません。従って、私は戸籍上の氏をそのまま使っています。変える必要ないわけですし、配偶者の外国姓に変更するメリットを思いつかなかったことが要因です。
逆に外国人配偶者の名前に変えたい人は、婚姻の日から6か月以内に「氏の変更の届出」を提出すれば、外国人配偶者の氏に自分の戸籍の氏を変更することができます。婚姻の日から6か月が過ぎている場合には、家庭裁判所の許可を得た上で、「氏の変更の届出」を出して外国人配偶者の氏に変更することが可能です。
つまり日本人が外国人と結婚すれば、夫婦別姓が基準値なのです。
ちなみに、アメリカでも結婚すると伝統的に女性が男性の姓に変えます。ただ、結婚によって夫婦同姓を義務づける法律はありません。2023年のある調査によると、ほぼ8割の女性が男性の姓に変えたと答えたそうです。夫婦同姓義務の法律がないのに、伝統が今でも生きているわけです。
この調査によれば、約15%の女性が自分の名前を続けていると回答してます。あとの5%の人は二人の名前をハイフンで繋げた名前にしたり、新しく二人の名前を作ったそうです。
ただし若い女性のほうが自分の名前を続ける傾向があります。50歳以上の女性の9%が自分の名前を続けていると回答しましたが、50歳未満の人ではその比率が20%でした。また、人種的にみると、夫婦別姓が伝統的に多いヒスパニック系女性では、約30%が自分の名前を使っていると回答しました。さらに、教育レベルでみると、大卒以上の人の26%が自分の名前を続けていると答えました。
私の友人や知り合いにはニューヨークのキャリウーマンが多いので、結婚した時、「名前はそのままよ」、I’m keeping my name. と言ってた人は、3割を超えるくらいでした。
日本では選択的夫婦別姓の議論が延々と続いてますが、「選択的」なわけですから、結婚して夫婦同姓にしたい人はそのまま続ければいいのです。だから、そんなに心配しなくてもいいような気がします。夫婦同姓義務の存在しないアメリカでさえ、伝統的な夫婦同姓がマジョリティーです。それに、日本にはヒスパニック系はほとんどいないから、マジョリティーの比率はもっと高くなるでしょう。
婚姻によって夫婦同姓を義務化している国は、世界に日本しかないと読んだことがあります。なぜ、法律で夫婦同姓義務とすることにこだわるのか、よくわかりません。戸籍制度が絡んだムヅカシイ面もあるのでしょうが、自分の姓を選んでも良い、夫婦で別の姓を名乗ることも可能となる選択肢ができるだけなのに、そんなに大騒ぎするものなのでしょうか。外国人と結婚した数多くの日本人が何十年もやってきたことなのに。
余談ですが…
私の戸籍のなかで、外国人の夫はどう記載されるのでしょうか。私の「身分事項」の欄に婚姻として「xx年xx月xx日、xx国のxx(名前)と婚姻」という形で記載されます。「戸籍に記録されている者」の夫と書く欄には記載されないのです。
「なに、僕はあなたの脚注なの? Just a footnote? 」と旦那は驚きました。そうです、戸籍がないあなたは私の脚注です!とふたりで大笑いをしました。