【備忘録】君のいるアトリエ
藤枝東高校演劇部【君のいるアトリエ】
2021年8月9日17時~
@藤枝東高校旧体育館
1年生、2年生混合チーム2チームでそれぞれ30分くらいの作品を上演する校内発表公演。通称【8月公演】今年は新型感染症の影響で生徒の御家族とOBOGのみの観劇。
わたしはもう卒業10年以上経つOGだけど、OG枠で観劇させていただきました。
批評カードはかなり辛口で毎回書かせてもらってるんだけど、前回と今回は観客数が少ないので中辛くらいの書き方をしてます。
向上して欲しい気持ちと、演劇を好きになって欲しい気持ちがわたしの中でバチバチに戦ってるのですわ。
前者は良いことと気になることを全て伝えたがるし、後者はデロデロに甘やかしたくなるし、塩梅って難しいよね。
と、言うわけで感想参ります。
パンフレットのあらすじ
近代フランス、パリ。アトリエで絵を描く画家のもとには、毎日一匹の猫が訪れる、彼らは穏やかな日々を送っていた。そんなある日、猫は突然不思議な世界に迷い込んでしまって…
登場人物/わたしの感想
・レーヴ(黒猫)/性別不明。一人称は僕だが演者は1年生女子
・ルーカス(画家)/男性。服装の時代考証は合ってるのかなぁ…。演者は2年生男子
・時計守/おそらく女性。不思議な世界の不思議な存在。演者は2年生女子
・イド(画商)/おそらく男性。何故か関西弁。色々チグハグしてる(良い意味ではない…)。演者は2年生女子。
作品(お話)は楽しめた。ファンタジーとリアルの境目を、海外を舞台とすることで自然に表現出来たと思う。舞台装置もとても手が込んでいて素晴らしかった。ホールでの公演に引けを取らない吊り物と、具体道具の下手と抽象道具の上手のバランスがファンタジーとリアルの表現を見事に包み込んでいた。
ただ、批評カードに『テーマは伝わりましたか?』という項目があり、そういう観点からは申し訳ないが低評価だなぁ。と。面白い話だったが、何か伝えたい事、教訓的なこととなると、うすぼんやりしてしまって、複数を盛り込みすぎて全てが伝わらないって感じ。
まず、この作品はチーム全員で分担して書いたとの事。
共作は悪いことじゃないけど、主軸となる責任者はいたのかしら?失敗も成功も責任者が負うことで、方向性の決裁権を持つ。この決裁権をもつ人を作らないと、とっちらかるよねぇ。
わたしは猫と画家の異種間の友情か、約束を守ることの大切さか、生きる意味か、時間の大切さか、この辺がテーマかな?なんて思いましたが、後説で聞く限り全員がテーマとしていたのは時間の大切さだった様子。
うーん。だとしたらもうなにもかもが不完全燃焼。
面白い話だっただけに、めちゃくちゃ勿体無い。
あと、テーマがめちゃくちゃ分散して感じた理由は暗転の多用もあるかなぁ。各シーンが分断されてしまうから、そのシーンのもつテーマ性が前面に押し出されてしまって統一感が損なわれたのかも。
あと、主人公も不明だったのよね。
名前の記載順にキャラクターの重要度が示されているのだと思うんだけど、関西弁の画商以外、作中の取り上げられ方及び重要度が均一で、どのキャラのどの部分がこの作品に必要な要素なのかが判然としない。勿体無い。何度でも言うけど勿体無い。
幕が上がった瞬間の舞台装置のインパクトが素晴らしかったから、どんどん引き込まれたのに『テーマ』を問われて考えてから、なんとも言えない気持ちになったのよね。これ、わざわざ『テーマ』をお客さんに聞かなきゃダメだったのかしら?
あと、全員で創作したのに、なんで肉体の性別と異なるキャラクターを演じるのかしら?
猫が少年っぽさを出したいから女子が演じるのは【演出効果】として良いと思う。
でも、男子が演じる画家とおそらく同年代の男性(友人って言ってたはず)の画商を女子がわざわざ演じる必要があった?
オールメールの舞台でない限り、男性俳優の女性役は見ないのに、高校演劇部ではオールフィメールの女子校以外でも女生徒の男性役が創作脚本でも沢山いるの、なんでかな?
ジェンダーの話をするなら、トランスの女子生徒はなかなか女子として舞台に立ちにくい(オカマと揶揄されやすい)から差別されてることになるし、肉体のもつ説得力を捨ててまで女子が男性役を演じることに違和感。
もちろん、今回男性役を演じた女子は演技力に裏打ちされた男役だとは思う。上手いし。でも、本人曰く【ノリで】関西弁設定にした(母語話者じゃない)キャラで既に無理が出てるのに、男子が演じる【男】と肩を組んで【男】でいるのはちょっとわたしには難しいなぁ。というところ。
まぁ、これは個人の好みの話なので、全スルーでも問題ないです。
っていうか、感想なので。
批評カードって書いてあるものに記載したことすらわたしの『感想』なので。
偉そうに言ってても、たとえなにか響いたとしても、わたしと読み手の感性が一致することはないので。近しい感情を抱いたとしても、あくまで近しいだけなので。
無理して受け入れる必要はないです。
普通に面白いお話だったし。
個々人の演技力も、この時代に稽古していたのに、ちゃんとしっかり楽しめるクォリティを全員が持っていたし。
惜しむらくは【批評カード】が存在して、尚且つ【テーマが伝わりましたか?】という項目が存在したこと。これさえ無ければ、わたしは『楽しい作品だったなぁ(*´︶`*)❤︎』で終わってたのよね。
演劇ってむずかしたのしいね!