【備忘録】舞え舞えかたつむり
別役実の不条理。
今まで【不条理劇って不条理だからさ】なんていう感想を抱くことが多かったんだけど、これに関して言えば、『妻にめちゃくちゃ共感した』です。
全て納得出来る。っていうか、言葉に意味と力を感じる。
ファンの色眼鏡かもしれないけど、演出家の山田裕幸氏は、普段は自分の戯曲を自分で演出する演出家で、日本語を凄く丁寧に扱っている印象。
そして、その山田さんが、別役実の言葉の扱い方に重きを置いて演出したのがこの作品なのかな?なんて。
出演したさやこちゃんの、狂気。
春日井さんの淡々とした警察の誇示。
それらが別役実の紡ぐ【言葉】によって、輪郭をハッキリさせていく。
芝居って、俳優と戯曲どちらかが強くてもいけないなーって思った。恐らく、わたしが今まで感じていた【不条理劇って不条理だからさ】って思っていたのは、ある種、俳優が戯曲の言葉に負けていたのかなぁ。なんてね。
いやいやプロの技を観てきてそんな偉そうなって感じはするが。
山田演出の不条理は、たしかに【会話としての不条理さ】はあるけど、【そこに生きた人間がいる】ことは確かに伝わってくるし、その存在感が言葉に負けなかった俳優2名のパワーを感じた。