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【指導者ライセンスは◯◯...】 スペイン指導者学校の在り方とは?

サッカー指導者界隈で議論になることの多い【サッカー指導者ライセンス】に対する賛否の声。著名人の方もSNS等で独自の意見を発信するなど様々な見方があるように思います。

そんな指導者ライセンス発行の必要性について、僕がここ9年間指導をするスペイン/バルセロナではどのような見方をされ、どのような仕組みが成り立っているのか?

また、なぜ優秀な指導者がスペインから生まれ続けるのか?

これらを、デメリット/メリット両方の視点で解説していきます。

*スペイン指導者ライセンスの具体的な受講内容や期間/費用等のインフォメーションを知りたいという方は以下の記事にて詳細を説明しているので重ねてご覧ください。

【記事を書いている人】

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「自分は指導者としての能力があるから...」は関係ない

まず初めに指導ライセンス取得に対する僕の結論から話します。もし、あなたがこれから育成年代において”指導者”として現場に立ち続けたいのであればライセンスの受講と取得は必ず必要なことです。それはカテゴリーに関係なくです。

「僕は指導者としての能力がそもそもであるから...」は関係ありません。このテーマに関しては、車の運転免許のようなものです。

よく聞く話に、「ライセンスを持っていなくても持っている指導者より優秀な指導者はたくさんいるでしょ…」がありますが、これはまた違った議論です。

車の免許に例えてもそうですよね。「他の人より運転が上手だから...」といって、免許証を取得しなくてもいいとはならないわけです。

車の例を出しましたが他にもそれが、何か手術をおこなう医者でも、それが学校の先生でも同じなわけです。職業は違えど、人と関わる仕事/人を教育する立場としては同じです。

つまり、その職業に”ライセンス”というものが存在する限りはその所有は最低ラインとして考えるべきです。当たり前と言えば当たり前なのですが。

ただ、育成年代とトップ指導者では考え方は異なります。日本のS級ライセンス取得への道のりは他国の制度と比べてしまうとかなり険しいという話は頻繁に聞きます。

ライセンス制度の廃止までは私は主張しませんが、誰もが平等に取得へのチャンスが備わっている環境作りに意識をかけるべきだと感じます。

指導をするための”有効切符”を手にする

先ほど、「人と関わる仕事」と話しましたがスペインのコーチングスクールで受講をする科目の中には応急処置や衛生といった科目も存在します(もっと詳しくは冒頭に紹介した記事内で話してます)

つまり、何度も言いますが指導の能力に問わず、ライセンスを取得してからようやく指導現場で指導をするための”有効切符”を得ることができるという感覚です。

しかし、ここで理解しておくべきポイントは「ライセンスを所持しているという目線だけでの上下評価は避ける」ことです。

スペインでもあくまでも最終的な指導者としての評価は現場での目に見えた結果です。

この結果という言葉は、試合結果だけではなく選手がその指導者のもとシーズンを通してパフォーマンスの改善がされたか?をコーディネーターが評価をします。

指導を”有効”にはするが、指導者を”有能”にはしない

では、ライセンスの必要性を話したところで実際にスペインの指導者ライセンスを取得するメリットとデメリットを自らの経験談を踏まえて共有していきます。

スペイン指導者ライセンス事情を共有する理由は以下の2つ↓

❶スペインに指導者留学をする際にライセンス受講はすべきか?といった質問を頻繁にいただくから
❷スペインサッカー協会の仕組みを多くの方が知り、少しでも日本のライセンス制度にも貢献できたらなという勝手な思い

それではまず初めにデメリットから共有します。自分が感じた主なデメリットは以下の2つ↓

❶指導を有効にはするが、指導者として有能にさせてくれるかは別の話
❷科目数が多い=専門的な知識をマスターできるとは限らない

まず1つ目は、指導者によっては「新しい知識の習得」という意味で少し物足りなさが出る方もいるかもしれないということです。

僕は当時、まだ18歳の何も知らない若造でそんな自分にとっては毎日が学びだったわけですが、同時期に受講されていた日本での指導経験もすでに長い指導者の方は「これはもう知ってるな...」のような内容も多かったというのは事実としてあります。

同じパッションを持つ指導者との繋がりは最大のメリットかもしれない

しかし、スペイン指導者学校の本当の価値は新しい知識以上のものがあるので後のメリットにて説明します。

次に❷についてですが、スペインの指導者学校の1つ大きな特徴としてあるのがその受講科目数の多さです。同じく冒頭に紹介した記事内にて詳しく説明していますがトータルして実に30−40の科目数があります。

ただ、これだけを聞くと「すごい!多い!」となる方も多いのですがこれを決してメリットとして捉えるだけというのは危険だということです。

例えばその中には、GK理論やフィジカル理論のようなものもあるのですがこれらの授業を受けて無事に卒業をしたからといって全てを専門的にマスターできたとは正直言えません。あくまでもそれらの科目の基礎を学ぶといったイメージになります。

次に僕が考えるメリットは以下の3つです↓

❶頭の整理/構造を体系化することが可能
❷「大学→協会→学校」 のアップデートされ続ける仕組み化
❸指導現場に一貫性とスピードが出る

1つ目に関しては、自分自身も頻繁に発信をしていますが「指導者としての学び/成長」という視点ではここが一番の価値かと思います。

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すでに理解をしている単語やアクションでも、それらが頭の中でゴチャゴチャになってしまっているといった経験はありませんか?

もしくは、学ぶべきことは分かっているけれど何を優先したらいいか順番に混乱してしまうような経験はありませんか?

スペインの指導者学校では、科目数は多いものの理に適った適切な受講順序が存在し、ステップを踏みながら学びを続けることができます。

当時の自分がまさにそうでしたが、各科目ごとに内容が本当に整理され1つのマップ化が行われているようなイメージなので自然と頭の中が整理されたことを覚えています。

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2つ目のメリットは、イメージとしては以下のような形です。

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自分が住むバルセロナ(カタルーニャ州)には複数のスポーツ大学が存在します。

そこで得た研究結果やデータが、まずはカタルーニャフットボール協会に送られそれらを元に協会の人間(後に指導者学校で講師を務める)が資料を作成し、その資料をもとに実際の指導者学校で各科目の授業が展開されるわけです。

毎年、その年に指導者学校に通う知人に資料を覗かしてもらうのですが、確かに科目別に微差はありますが毎年確実なアップデートがなされています。

移り変わりの激しいこの世界において、アップデートを欠かさない姿勢/し続けることを可能にさせる仕組み化はとても重要でここにもスペインフットボールの強さがあります。

そして最後のメリット「指導現場に一貫性とスピードが出る」ですがこれは、特に現場に立ちながら感じるポイントです。

どうでしょう。よく耳にするのが、日本の現場では地方や県によって指導者の扱う言葉や表現、普遍的な考え方にばらつきが生じているような話を聞きます。

これは決して全てがネガティブとは思わないのですが、指導現場において一定の”一貫性”というものはあるべきだと感じます。

スペインでは以下の図のように、指導者ライセンスを無事に取得した指導者たちがそれぞれのクラブに散っていきます。

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もちろん、各指導者によって異なるアイデアやフットボールに対しての見方を持つことは当たり前ですが、指導者を歓迎するクラブの人間からすると、指導者学校で共通の言語/知識/基礎的アイデアを学んだ指導者を迎えることで”余計な手間”が省けるのです。

例えば、私が所属するクラブでは掲げている1つの目標として「11人制に移行するまでに最低ラインとして個人戦術アクションの習得をさせる」があります。

この”個人戦術アクション”という言葉を聞くだけで各指導者が「ということは◯◯と○◯と◯◯と...ね!」となるわけです。クラブの人間からすると楽ですし、現場のスピード感もグッと上がります。

 最後までご購読いただきましてありがとうございます。

前提として、今回共有した内容が全て日本の環境とマッチするとは思っていませんが、このような情報を求めていらっしゃる方々に少しでも届けばいいなと思います。


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