インテグラル理論の4象限(quadrant)のあれこれvol.1 #87
4象限は、本当に奥深いものを感じる。
インテグラル理論は全体性を大事にすることで治癒や変容を起こしていく。
そのためにAQALがあるのだが、4象限も全体性という観点で重要。
4象限は、横軸を内面と外面、縦軸を個人と集団(あるいは真美善、I、We、It)にわけるのが、単にその枠組として整理するだけでは4象限自体の捉え方が浅いものになってしまう。
定期的に自分自身がこの4象限について感じていることを綴りたい。
何をもって網羅というか
4象限以外のフレームワークがそうなのだが、まずもって活用として考えられるのが、抜け漏れを確認できる点が挙げられる。
今どこの話をしていて、どこの観点が抜けているのか、がわかること。
このとき、どのイシューで4象限をみるかも重要となる。
たとえばビジネスで活用する際、組織開発の文脈で4象限をみることができる。制度的なことが右下に入り、組織文化は左下に入り、個人の感情は左上に入り、数値化されるものが右上に入る。
ここからさらに、左下にあった組織文化にフォーカスして、組織文化をイシューに4象限でみていくこともできる。組織文化といっても、エンゲージメントのように数値化できるものもあって、それが右側象限にくる。
逆に組織開発だけでなく、広げて経営の文脈で4象限をみることもできるし、さらに業界全体でみることもできる。
自分が網羅的にみていると思っていても、そのイシュー自体の限定されていると、抜け漏れは出ていると言えてしまうので、イシュー自体を疑うことも忘れてはならない。
自分の傾向を把握する
そして、多くの人が、深い洞察をもっている領域があり、盲点が多い領域があると思っている。
これは、単に今話をしている会話内容のレベルでも言えるが、広げていくと自分のこれまでの人生経験全体、知識全体でみてもばらつきはダイナミックにある。
その背景の1つには、何かしら自分の興味関心分野が影響している。
たとえば、私でいうと学問全体で見た際に、心理学への関心が高いことから左上象限のインプットが多い。
また、別の背景には、ビジネスの世界では、何かしらの「専門性」を身につけることが必要とされていることも影響がある。
エンジニア、会計士、は、左上象限に特化されていく。
背景は、興味関心や専門性が求められていること以外にもあげることができるだろうが、この2つをあげるだけでも、領域が特化されていくように思う。
ただ物事を深く認識するためには、その領域から離れて全く違う領域にいくからこそわかること、気付けることも多い。
その意味で、自分の傾向が何であり、意図的に自分の関心外の領域にいくことも重要になる。
バランスをとる意味合い
では、バランスをとって4象限の全体性を意識するといっても、4象限全体を意識しすぎるがあまり、網羅性ばかりに意識するとそれはそれで限定的になっているといえる。
バランス、中庸という意味をどう多面的に捉えるかにあるのだが、バランスは極端な行き方をせずにいることだけではない。
4象限のうち、今どこにフォーカスすべきかはあって、状況に応じてダイナミックに行き来するという意味でのバランスがある。
全体性がある中で、それを自分で意図して動くことが重要である。
たとえば、コーチングでいうと、相手の言っている言語に注目することと、非言語に注目することは両方大事である。
クライアントが、○○が嫌だと言っておきながらどこか嬉しそうに話していたりすることがある。
ただ、人間は1秒間に取得できる情報が126bitと限られている。
もちろん、意識状態がかわり、高い集中状態にあると、このbit数が高まるので、その意味で意識状態を整えることが重要なのだが、それをしたとしても、すべての情報を拾えるわけではない。
非言語に意識をしていると、言語を見逃すことが増えるし、言語ばかりに意識していると非言語を見逃してしまうことがある。
ここをわかった上で、セッション中は、両方を意識する瞬間と、あえてどちらかに意識するときとをダイナミックに行き来している。
ここまで書いてみて、4象限について、まだまだ限定的なことしか書けていないし奥深さもあまり書けていない。
今日はこのあたりにしたいが、4象限の探求は日常のいたるところで、静かにしていきたい。
2021年3月10日の日記より
3月11日