林海象監督最新作・永瀬正敏主演映画『BOLT』その2
=林監督との出会いと驚くべき撮影スタイル=
僕の、プロデューサー林海象としての出会いは2009年だったと思います。
ボスニアヘルツェゴビナの監督ベッシーブコピッチ監督が日本で映画を撮るにあたり、彼女がYouTubeを見て僕を気に入り、この男にオファーしたいと言われたのがきっかけでした。
僕は当時から既にどこにも所属していませんでしたから、全部オーディションを受けないといけないフリーの役者でした。
林監督もきっと「コイツはどこのだ誰だ?」と思った事だと思います。
しかし林監督は僕を探し当ててくださり、オファーしてくださいました。
(↑映画「死角」ベッシーブコピッチ監督作
時は、明治初期。僕JUN AMANTO 主演作で、サーカスのナイフ投げの男を演じています。)
でも、僕は別の現場があったため一旦お断りしたんですが、僕のために組をバラし一か月後に再度撮影を僕合わせで交番を組み直してくださったんです。
その作品は監督が教鞭と取られていた京都芸術大学で撮影されました。
最初、随分学生のアシスタントが多いなーと思ったんですが、撮影クルーが、学生さんだったんです。
大丈夫かなーという心配をよそに、
実際撮影が始まると、その現場は全くのストレスフリー、プロと全く同じプロセスで仕事が進められており、クルーは訓練された動きをするんです。
(↑高松市美術館「BOLT」撮影現場の様子)
現場が一番の勉強になると言いますが、映像を教えるのではなく一緒に作品を作って映像を撮らせる事で本人が自分で学ぶスタイルなわけです。
「これは凄い!彼らは卒業と同時に現場で使える!」
いやむしろ、彼らが芸術活動をする上で就職する必要があるのか疑ってしまうほどでした。
今回の作品も、プロと学生さん達が対等にそして彼らの純粋な情熱によって作られたと聞いています。
(そりゃ丁寧でいいものができるよなー)
=上映後の飲みに誘っていただきました=
監督とゆっくり仕事以外で話すのは本当に久し振りでした。
その中で印象に残った事2、3…
この映画は現代美術作家、ヤノベケンジさんの個展として開かれた原子炉の作品の中でお客さんに公開されながら撮影されたというビックリ仰天の実話です。
映画の常識を飛び越える林監督らしい嗅覚と反射神経には、毎回舌を巻きます!!
照明が素晴らしいという話。
光や音のきめ細かさはピカイチでした。
=林監督のここがスゴイ=
episode1のBOLTは非常に繊細で美しい作り込まれた光と影の演出、見えない放射能の可視化のアイデアなどが凄い!
episode2 LIFEでは、照明を焚いているの?というぐらい自然な光で非常にリアル!特に薄暗い室内のシーンはどこにライトがあるのか全くわからない(でも照明焚かないと映らない)技を見せてもらい
episode3 GOOD YEARでは、もののリアルな質感で語りかける…というきっと凄いカメラなんだと思いました。
そんな光の妙が凄かったとお話させてもらいました。
=「松の廊下」=
映画では、汚染水が漏れている圧力制御タンクと、コンクリートブロックで固められた放射能除けの避難場所までを「松の廊下」と呼ばれています。
僕が監督に
「何故、核施設の廊下が、「松の廊下」という名前なんですか?」と聞くと
「いやほんとにあるんだ」…と一言。
なんでも、直線距離が、300mぐらいの廊下を交代で行き来して、ボルトを締める(ベント)作業に向かう事は現場からの話として取材されており、それがこの作品のモチーフになったそうなんです。
作業時の被ばく量が地球上ではありえない数値、実際には1回バルブを締めたら避難場所まで戻ってくるという規定だったらしいという事でした。
本当の実話だったんですねー!
=リアルテネット=
「この作品は最初から三部構成だったわけではなかったと、そして撮影順は最後から撮ったと聞いたんですが?」
と聞くと林監督は、
「TENETだよ、順番は逆行しているけど全体で順行している…」
おおーここでテネットネタかー!
と1人でウケながら
なーるほどーなのです。
つまり、ある意味、この長瀬さん演じる「男」は、別人でもあり、同一人物でもあるというわけなんですね。
聞いてみると元々は3つの独立した作品を一本にしたのだそうです。
監督は、永瀬さんが別々の役作りをしているのにそれを一つの作品にして同一人物にして申し訳なかったと言ってましたが、テネット的には、それが無限のパラレルワールドを感じさせるリアルになっていて何処にもない映画になっていると思います。
つまり、図らずしも
この映画別々の役作りから一つにすると言う全く新しい演出を生み出した事になります。
一見、直接的繋がりのない三作品は1人の男の苦悩の歴史でもあるし、1人の男の精神の深みを覗き込む事で、これは、多くの原発事故のリアルの一つに過ぎない沢山の人々の象徴だと気づいた時にゾッとさせる美しさを持っていました。
エンタメ的にど迫力のBOLTもさることながら、抽象的なGOOD YEARで終わるこの物語は、映画でしかできないリアルと言うものを提示しているように思います。
いつも全く新しい映画の可能性を見せてもらえる林海象監督に、是美次回作について聞いてみたかったんだけれど、次の日の仕事が早朝だったのでその日は終電ダッシュで帰りました!
あー朝まで飲みたかったなあー!
(↑右・林海象監督と、左・僕JUN AMANTO。12月11日 テアトル新宿にて)
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