バーチャル時代の『確かにここにいた』感覚 イベントレポート「さなのばくたん。 -メチャ・ハッピー・ショー」
前書き:怪文書です。
Junです。
2022年3月7日、川崎チネチッタにおいて、「さなのばくたん。 -メチャ・ハッピー・ショー」が開催されました。本noteはそのイベントレポートです。
参加まで
私は、いわゆるVTuberのライブイベントへの現地参加経験があまりありません。今回のイベントは実質的に2回目で、特に名取さなのイベントは初めての参加でした。VTuberのライブそのものについては、ネット配信で見たことがある程度で、最近の映像技術はすごいなぁと舌を巻いていたレベルです。
今回は推しのVTuberである名取さながイベントを開催するとのことで、「VTuberのライブイベントとはどんなものなのか」とわくわくしながら、午後半休を取って現地参戦をしてきました。
セットリスト
予習の甲斐があり、新曲以外は全て知ってる曲でした。単純に個人勢のVTuberで最初の曲以外は6曲全てオリジナル曲っていうのが凄い。
01:青空のラプソディ(小林さんちのメイドラゴンOP)
02:エッビーナースデイ
03:モンダイナイトリッパー(新曲)
04:だじゃれくりえぃしょん(新曲)
05:アマカミサマ
06:メチャ・ハッピー・ショー(新曲)
Encore:さなのおうた。
オリジナル曲中心のセットリストの中で「青空のラプソディ」を1曲目に選んだ意図はなんなんだろう、と一考しましたが、「さなちゃんねる」という場を考えたときに歌詞が異様にマッチしてるからなんでしょうね。
様々なVTuberの配信者がいる中でも視聴者(せんせえ)とのプロレスを売りにしている名取さなだからこそ、青空のラプソディの「ちぐはぐなコミュニケーション? でも別に構わない 明日が平和なら!」「一人でいても嫌じゃない 誰にも頼らなくてもいい でも扉の向こう騒がしい 声が聴きたいよ今!行こう!」といったあたりの歌詞に含みが出てて良かったです。
新曲はそれぞれ名取さならしい曲ばかり。ここでは割愛しますが、CDも買ったのでこれから聞き込みます。
(尚、以前「歌ってほしい曲」アンケートがあったときに、私は「フィギュアになりたい -re painted version- / 桃井はるこ」と回答しております。念願が叶う日まで祈り続けます)
特に印象に残ったシーン
私は、ライブイベントの醍醐味は出演者と観客が同時にその場に実在することによる双方向性にあると考えています。
ただでさえVTuberはその内在的制約により「非実在性」を強いられるのにもかかわらず、当たり前ながら、こういう社会情勢(名取さな談)により今回のライブでは声を出しての応援は禁止でした。双方向性を担保する重要な要素である声出しによるコールアンドレスポンスが封じられたとき、果たしてライブイベントがどうなってしまうのか。私個人としてはそこが大変気になりながら今回のライブに臨みましたが、その観点で印象に残ったシーンを2つ書き留めたいと思います。
配信コメントにより感情を与えられる観客
キングブレードの色について名取さなが「怒っている人は赤、悲しい人は青の色にしてください」と言ったときに緑を点灯させている人がいて「緑は選択肢にない!」と名取さなが言っている中、配信コメントで「緑は草だぞ」と言ったせんせえがいて、以降面白かったら緑を点ける流れになりました。配信コメントが現地の観客に感情表現を付与するという事態、凄くないですか?奇跡すぎて軽く震えてしまいました。間違いなく凄い時代を生きている。コメントを打ってくれたせんせえ、ありがとうございました。観客によるトラブルのコンテンツ化
これは2つの意味で印象に残りました。今回のイベントでは機材トラブル(通信障害?)で現地勢ですら時々音声が途切れ途切れになってしまい、何度かイベントの中断を余儀なくされました。これはVTuberの「非実在性」から来てしまう為、特有のトラブルだなぁという印象の残り方が一点。もう一点は「観客がトラブルをネタにする」ことにより、その現象が「名取さな」というキャラクター性と相まって、ギャグコンテンツと化してしまったこと。これは、名取さなが「そこにいた」からこそできたことであり、逆説的に名取さなの存在を強調してしまうことに繋がった為、非常に印象付けられました。
私はスクリーン11にいたのですが、以下は同じスクリーンにいた別の方の投稿。
上記の「印象に残ったシーン」では偶発的なものに焦点を当てていますが、もちろんイベント自体大変素晴らしいものでした(後述)。ただ、通常のライブでは起こりえないことが当たり前のように起きてしまうイベントの中に新時代を感じた為、特に印象に残ったシーンとして上記2点を挙げた次第です。
感想
正直に申し上げますと、声出し禁止のライブだったのですが、(笑い上戸なのもあり)終始笑ってました。話が脱線しますが、地元の面白スポットを聞かれて「おもしろフラッシュ倉庫」って回答するせんせえのインターネット大喜利センス、強すぎ。
また、私はEncoreの「さなのおうた。」のラストで感極まってました。めちゃいい曲なので、みなさん聞いてください。とりあえず張っときます。
パンフレットで名取さな自身が述べていたように、これは誕生日会であると同時に「ショー」でした。会場アナウンスを除いてゲストはおらず、出演者である名取さなが努力で完成度を高めていく過程で、その道のプロたちが協力して完成されたものだと感じました。「ショー」としての脚本、衣装・ステージの作りこみ、演出の細かさ等、完成度の高さが一目瞭然であり、個人勢VTuberである名取さなが、ここまでの完成度を以て多くの人に推されるコンテンツになったことに、新参の「せんせえ」でありながらストーリー性を感じざるを得ません。
総じていえば、タイトルにあるように名取さなが『確かにここにいた』ことを強く感じさせたイベントであり、タイトル通り、メチャ・ハッピーになりました。本当に次が楽しみになるものでした。
あと、今回初めて「せんせえがた」を目の当たりにして、こちらもまた「本当に実在するんだ…」と思いました。それと予想以上に「せんせい」の層が厚い。大学生のサークルかな?と思う人たちや、開演時間ギリギリになってスーツで駆け込んでくるそれなりのサラリーマンの方(イベントラゲッジタグ付)がいらっしゃったり、女性のソロ参加も結構いらっしゃっていた。
「せんせえがた」にはユーモアが強い方が多い為、声出しのコールアンドレスポンスもみたいところでしたが、声出しを解禁するとあまりにうるさくなりすぎるかも知れない…。ただ、いつかライブで声が出せるように社会情勢が好転することを祈りましょう(「PINK,ALL,PINK!」で声出ししたら確実にトぶ)。
駄文乱筆となってしまいましたが、感情が消えないうちに速報レポートとして残しておきます。…いかがでしたか?