急にアプリ販促/改善支援に呼ばれたので
こんにちは。Hokkaido MotionControl Network(#DoMCN)のお知らせ担当のじゅんです。普段はScientist/Developer Relationsと勝手に名乗って実験科学者とxR開発コミュニティの橋渡しをやっています。
今回は、xRのガチ勢な会社さんに突然呼ばれてお仕事をお手伝いしてみたお話になります。カスタマーサクセスのお仕事の一部分をやってみたという感じでしょうか。
地方在住でも完全フルリモートでお仕事ができましたし、それにあたっては今までのコミュニティを通じて得た知見が役に立ちましたよ、という非東京圏向けの内容になります。
株式会社ホロラボさんの記事確認の下で公開可能なものを掲載しています。
HoloLens向け技術伝承・現場自習・遠隔協働3ツール
3/22まで(つまり明日)までのキャンペーンでディスカウントが行われていた、株式会社ホロラボさんの「ファーストラインワーカー」シリーズをサポートする係をやってみました。キャンペーン期間対応のスポット参戦バイトです。
せっかくなので(ディスカウント期間が終わりますが)簡単にアプリの紹介をしてみる事にします。
①TechniCapture
イシヤマさんらが開発しているアプリその①です。体験版ダウンロード可能なので、使用感はそちらを参考にしてみてください。
このアプリは、ある空間内で行われたHoloLens 2着用者の体の移動・手指の操作・視線の移動の履歴を音声データと一緒に記録・再生するアプリです。すごく雑な言い方をすると、漫画 ジョジョの奇妙な冒険 第五部で出てくるレオーネ・アバッキオのスタンド『ムーディー・ブルース』です。
HoloLensを被った状態でアプリ内の記録開始ボタンを押してからストップするまでのデータを全自動で録ります。その後データの再生ボタンを押すと、ほぼ同じサイズの自分のアバター(のっぺりさん)がスッと現れ、当時の振舞いを再現して見せてくれます。頭位置から体を生やしているので、私の猫背は直されます。
HoloLensは環境認識が効いていて空間の座標も記憶されており、フロア内の移動の様子も再現することができます。頭位置から体を生やしているので、私のフラフラ歩きは完全再現されます。その時の目線の位置は注視点として表示されていて、私の不注意具合も分かります。
私はバイオリンの試奏に応用してみたり、FPSプレーヤー向けの反射神経アプリ(撃つたびに動く的をマウスで追いかけるやつ。視線移動をチェック)をやってみたり、いろいろ遊んでみました(検知範囲的にバイオリンの右手左手は難しかった)。
ホロラボが「HoloLens 2 スタートキャンペーン」を開催!
— ホロラボ (@HoloLabInc) February 9, 2021
パッケージアプリ「ファーストラインワーカーシリーズ」(対象は3製品)とHoloLens 2を手に入れて、MRによる現場DXをスタート!!
期間限定特別価格でご提供します!
詳しくは、記事をご覧ください。https://t.co/1eiktWLEx6 pic.twitter.com/WNLJalx2HV
②手放しマニュアル
イシヤマさんらが開発しているアプリその②です。体験版のダウンロードはこちらも可能です。試してみてください。
こちらはマニュアルのオーサリング(編集)ツールとHolo内表示アプリのセットになっています(体験版は現在は表示アプリのみの提供です)。
事前に現場で利用したい伝達内容の動画ファイルや画像ファイルを準備します。Excelの専用フォームにそれらの関連付けと場面ごとのテキストを入力して、マニュアルのレシピみたいなファイルを一つ吐き出してもらって、それと動画ファイルなどをHoloLens2内の特定のフォルダに仕込めば完成です(簡単)。
Holo2内でアプリを起動すると、正面2メートルくらいの位置に見やすい大きさのスクリーンが現れ、テキスト、画像、動画が同時に並ぶ形でマニュアルの1工程が表示されます。次の工程への遷移などは、頭の向きを反映する空中カーソルを⇒にホバーさせる操作で移ることができます。この全般の操作で手をまったくつかわなくて良い事からアプリ名の手放しマニュアルにつながっているようです。
せっかちさんはカーソルのホバー中にエアタップすることでサクサク次に行くことも出来ます。私は、手放しマニュアルの中に、前述TechniCaptureの使用法イメージの動画をたくさん仕込んでみて遠隔デモの時とかに見せてみたりしていました。意味あるかどうかは分からないけどw
③HoloRemote
こちらは、たるこすさんが現在鋭意開発中のアプリです。Webブラウザ版とHolo2アプリ版の2種類を併用して使うタイプです。今日くらいに正式リリースできるようなので、体験版の整備などは今後進んでいくと思います。3/16に利用法イメージの動画が公開されました。こちらを見てもらうとイメージしやすいかもです。札幌の通話相手担当として出演しました。
ホロラボ遠隔支援ツール「HoloRemote」の紹介動画!
— ホロラボ (@HoloLabInc) March 16, 2021
開催中の「HoloLens 2 スタートキャンペーン」対象の3製品のうち、新発売の製品がこちら。
HoloLens装着者の視点を得られるので、遠隔でも「ここ」「それ」という主観の代名詞を用いて会話が可能です。
まずはお問合せを!https://t.co/1eiktWLEx6 pic.twitter.com/v79j9XsJ82
互いに事前の関連付け(いわゆる「おともだち」状態)を行った複数のIDを使ってサービスにアクセスします。これらの端末が複数接続している時に、各端末のPhoneBookに自分以外の接続者の名前が表示されているので、必要な人をコールするとビデオ通話が始まります。Holo2着用者からは前面カメラからの主観映像が送られ、Webブラウザ側からは任意のカメラデバイスからの映像が互いに送られます。Holo2着用者に送られる映像は、Holo内視界にあらたに生成される空中のウインドウに表示されるので、普段のHoloのUI同様好きな位置に設置しておくことができます。壁がテレビになる感じですね。複数名貼れます。
PC側がキャプチャボタンを押すと、その瞬間Holo2着用者が視ていた視界と向き・位置を切り取って、PC側に静止画として取得できます。その状態でペンツールを用いて落書きをすると、その落書きの内容と位置が、Holo2着用者にも同期して表示される仕組みになっていて、ビジュアルで指示内容を表現できます。声と映像だけだと「志村、うしろうしろ」みたいになりがちな指示を、より正確な意思伝達ができるような仕組みになっています。
自分(PCブラウザ)と自分(HoloLens2)を通話させると自分がいっぱい映って楽しいです。たぶん作業現場での使用を想定してると思うんですが、通話相手の顔パネルを等身大にして作業領域の脇に置いておくと、あんまりさみしくないどころか、むしろ正面付近に置いておいてHolo2カメラの視界内に入れておくと、ブラウザ側の人のおこり顔をご自身に伝える事も出来るので通話作業のギスギス感緩和にも役立つかもしれません。しらんけど。
試してみたくなった方はHoloRemoteのお問合せページからアクセスすると関係者がよろこびます。以上3ツールの雑な紹介と宣伝でした。
(https://hololab.co.jp/holoremote/ に貼られている運用イメージ動画。金沢のしほさん主導のもと東京スタッフと私でそれぞれ素材撮り。)
急によばれた
いつものごとく軽率に呼ばれて軽率にひきうける感じの経緯でした。
明日とか朝イチで札駅チカホのMagic Leap one体験とかに行きたいけどここ数日朝イチどころか昼イチすら起きれてないので無理ゲー感が漂っております('ω')
— じゅん@4/21 XRミーティング北海道エリアのお世話 (@jun_mh4g) February 8, 2020
あと人混みがつらいのでもはや駅にも辿り着けないやつ(ダメ人間)
VR/ARアプリ体験会に行けなくなって久しく、前日とかにこんなような事をぶちぶち言いながら寝て翌昼おきたら、たけせんさんからメールが来てました。キャンペーンのお手伝いのバイトがある&お客さんへのヘルプがメイン みたいな内容だったので調べてみたらすでに記事がリリースされてたΣ('ω')
HoloLens系で体験版アプリの配布って滅多になくて、私は手元で試せるものなら割と試す方だったので、お仕事を引き受ける・受けないに関わらず速攻ダウンロードして使用感のFBを送りました。3月は書類作りと学会めぐりの月だと思って忙しくないと思っていたので、在宅ワーク・記事公開の条件を確認して2つ返事で引き受けてみました。フットワーク軽いのは大事。
今日でキャンペーン(いったん延長済み)が終わり、一応の引き受け内容がおわるので、今日書きました。
なんで呼ばれたかは未だに分かりませんが、私の前世でのHolo活用テーマが大学での遠隔実験支援(VR/AR/360°全部入り)だったことや、3年にわたって出張HoloLensかぶせ人として遊び歩いている事を知られている事がフックになっていたような気がします。遠隔支援ネタが大好きとか、自分のキャラを日頃から発信しとくのも大事ですね。
(↓一応自分の宣伝↓)
やったこと
基本的には社内あいさつ後の最初のオリエンテーションで示された内容に沿ったもので、自分ができる範囲のお仕事をしていく形で進めました。
連絡系統の確立の後、社内開発メンバーからの製品フィードバックの収集とリストアップ、お問合せ内容のチェック、Q&Aページ更新の際のチェック、HoloRemoteの開発にひっついてアプリ更新時の動作成功・エラー報告、受注したお客さんへのTechniCaptureの使い方実演講座(遠隔)、手放しマニュアルのインストール法習得までの随伴オンラインハンズオンなどを社内向けにやっていました。お客さんからのフィードバックも開発に伝えます。
社外向けには、上記3アプリに興味持ってもらえそうな道内・道外組織(Holo2所持を私が把握しているところ)に情報共有をしたり、別の用事で会ったVRエンジニアさん達と実際にアプリを動かして遊んだり、押し付けにならない感じでのプリセールスみたいな事をやっていました。
今まで、ベンダー・ユーザーの2者間で言うところのユーザー側に居て内外の開発者と接するタイプの立ち位置(エバンジェリスト・野良DevRel的な感じ)でいましたが、今回は、ベンダーの中に一旦居て、外の開発者ではなくお客さんとベンダー側の開発との体験の橋渡しをしていましたので、若干カスタマーサクセス寄りな仕事をしているような感じがしました。製品フィードバックを継続蓄積して製品改善と顧客満足度上昇の両方をにらむポジションになります。
お仕事の性質と役立った経験
完全リモートワーク条件からのオンボーディングを体験してみて、Slackの構造を把握するまでが混乱しがちだという事が判りました。連絡が他のログに紛れて流れてしまって思い出せなくなったりする事があったので、ズボラマンの私としては工夫が必要で、自分のひとりごと用チャンネルに重要事項のメモを置いたりスレッドのリンクを置いたりして対処していました。過去に参加・運営したハッカソン(オフライン・オンラインそれぞれ)に使われたSlackのワークスペースの構造に似ているので、コミュニティイベントなどでそれらに馴染みがあれば適応できると思います。
オンラインのデモ実演に関しては、自分が実演している姿とHoloの機能がちゃんとリンクして相手先に伝わればよいので、自分が出先で展開していた主観視点映像ミラーリングのセットをさらにオンライン向けにアレンジして、zoomなどのweb会議のカメラにMiracast映像を飛ばす仕組みを構築してます。↓の時は現地+モバイルプロジェクタで壁投影でしたが、プロジェクタの代わりにキャプチャボードを介することで、低遅延の送信環境になっているはずです。 オンラインLTハックLT(#onlinelthacklt) などで得た知見を流用しています。
お客さん向けトレーニングについては、コミュニティの勉強会で共有された知見自体はあまり役に立っていませんが、#AR_Fukuoka の吉永さんのオンラインハンズオンの運営方法が参考になるなと感じています。必要な資料は事前に共有してしまって、本番では非常に細かいステップバイステップを設定し、ゴールに向かって受講者の到達の様子を適宜確認しながら、確実に手順を進めていく方法がとてもオンライン向けだと思います。到達具合の確認をネット越しに行う部分が難しいですが、これはどちらかというと私の前職の経験で学生さんの実験を導入・指導していた時の方法がアレンジされています。まず自分がやり方と結果を見せた上で相手にもやってもらって、結果を教えてもらって次に進むという方式を、デモ実演の時同様、計画してやってみています。わからない人の反応は一通りアカデミアで見てきているので、そこは個人の強みかもしれないです。地味に今自分が受けている楽器教室での指導も役立っています。反応をめっちゃ観察します。
一般論としてまでは現段階で言えないですが、xR系の会社のお仕事をやってみる上で、技術者コミュニティの運営・参加で得た知見が役立つ場面が結構あるということは強調しておきたいです('ω')
(ARコンテンツ作成勉強会 #AR_Fukuoka のオンラインハンズオン)
あとすごい細かい事としては、HoloRemoteの動画を撮るにあたって、web会議中の様子がわかりやすくなるように"映る"技術というのもあって、それは #CMC_Meetup の小ネタからアレンジしました。
自分の活動への相乗効果
私の本分はScientist/Developer Relationsという、科学者を技術でサポートする色合いの強いなんでも屋です(いまのところ)。今回の仕事を通じて、遠隔支援するためのアプリの実物と開発陣にアクセスできるようになった事は非常にラッキーでした。
コロナ禍で、研究室スタッフの健康を守りながら実験を運営していくことが大きな課題になっていて、所属学会内での一セクションができてるくらいの状態です(↓リンク)。遠隔支援技術を自分ゴトとして扱ってもらえてxR関係の話を昔よりまじめに聴いて頂ける可能性がより高い状態ですので、何かの拍子で接点が増えていったさきにこれらのアプリ活用を提案できる可能性も高そうです。私が"あらかじめ触っている"というのは非常に強くて、テキストでしか知らないアプリを提案するのとマッチングの精度が違います。
もちろん、別にXRを活用しなくてもそれ以前の問題を正せばいい事もありますので、特に押し付ける事もなく、訊かれたら詳しく教える程度のスタンスで今まで通りゆるゆるとやっています。引き出しはいっぱいあると、うれしいなって話です。
コロナ禍以前のxR Tech Tokyoなど、体験会の多い勉強会が今はできず、しかも移動すら封じられている状態で困っています。中央のxRアプリ制作事情が北海道だと全然分かりません(見た目とかはツイッターの動画とかで判るけど、知りたいのはそこじゃない)。なので、社を手伝う代わりにアプリを触らせてもらって(可能ならば)広めるという方法が地方在住組にあると、とても助かりますね。
応物一般公開シンポ
— じゅん@4/21 XRミーティング北海道エリアのお世話 (@jun_mh4g) March 19, 2021
「新型コロナ禍中の物理教育・人材育成」に来てます。https://t.co/1nSVcWmZJO
同期イベントが重複してると忙しい('ω')💦
まとめ
急によばれたけど、考えながらなんとかやってみたというお話でした。本当にフルリモートの働き方というのがなんとなくイメージできるようになる期間で良かったです。3月でキャンペーンが終わり、4月以降は未定ですが、私自身は確定申告とモンハンを頑張ります(白目)。私に企業経験がないので、各種業務の遂行にビックリすることもありますが、コミュニティの活動で代替業務をやってたことが、結構役に立っていると思います。なので、"実績を挙げるための実績がない"状態のかたは、色々な物事の進め方に着目してコミュニティに関わってみるのも良いのではないでしょうか('ω')
考えてみたら今回バイトに呼ばれたのもコミュニティの活動ありきなので、オープンな取り組みに関わる人みなさんに感謝です。
(2021/3/21 240 min 6106字)