月報(2020/04-05)
最近のxR業界の動向、学術界の動向、自分の動向、その他について独断と偏見で雑多に記事にまとめておくことにしました。公開許可の得られてあるものだけにしてありますので、詳しい内容・派生についてはお問合せ下さい('ω')
世のリモート化の流れ→ガジェット→自分の実践という記事構成上しかたなく後回しになっていますが、[xR × 学術(メイン活動)]見出し以降が私のオリジナリティの部分です。
・コロナウイルスによる中止とVR勉強会への移行
国内外の主要開発者会議がどんどん中止になっております。いっこうさんが上にまとめています。
一方、バーチャル空間会議が可能な国での国際会議はバーチャルへの移行をし始めています。
4/22-24 フランス Laval Virtual(最終日だけ訪問 登録者数11200名)
5/21-22 米 Microsoft Mixed reality Dev Days (Altspace内開催 未登録)
6/1-3 VR/AR Global Summit 2020 (Hopin連携, 参加登録済み)
Laval VirtualのVR会場は酔いましたが、ある意味セカンドライフっぽさのある空間でした。同時に千人以上が大きな空間+商談用小スペースに居ましたので、よくできてるなとは思いました。
<国内コミュニティ>
HoloLens Meetup at cluster vol.1(運営・登壇)
既存の地域コミュニティの代表者が集まって、それぞれのコミュニティ活動紹介+技術ネタの報告を行いました。私も後述(この記事の後ろの方に一章)の話をしてみました。
WebXR Tech Tokyo #0 @ cluster(参加・実況)
xR Tech Tokyoコミュニティの久しぶりのイベントとして、ブラウザを介するお手軽VRの会議が初めて行われました。展示が多かったコミュニティの特性を引き継いで、イベントページから発表者のコンテンツリンクがそれぞれ出ている形になり、遠隔地から体験することが出来るようになりました。
講演発表自体はcluster社のサービスに乗る形になっています。どちらの会場も想定以上の集客数になり、通信負荷が結構顕著に出たりして、今後の課題になったように思いました。参加者への間口と知見の面では、従来の広く深くといった様相から、もっと広く・より浅くという感じになっている感じがします。具体的には、今まで参加したくても出来なかったであろう地方からの参加者が激増しました。一方で、参加者同士の交流がしにくいプラットフォームである性質上、参加者同士の会話はあまり生まれず、SNSで発信している人の印象を増幅しあう様相を呈しており、新規で仲良くしに来る人にとっては苦戦しそうだと思います(よほど意識して目立たないと見つけてもらえない)。
・Facebookの新型VR HMDは新機種発表が遅れていることが分かりました。
Oculus Quest 2が出そうという事でしたが年末は難しくなり、年明け以降をみていた方が良いそうです。一方で空間認識機能付き新型iPadの開発知見がどんどん公開されてきているようで、エンジニアの人達がそれらを使ったアプリ開発およびWeb対応にシフトし始めている気がしますが気のせいかもしれません。(後述しますがHololens 2、Magic Leap Oneが一般に全く出回らないため、ウェアラブルARが明らかに減速して、タブレットorスマホARに移っている)
・バーチャルマーケット4(Vket4)に遊びにいってみた
4/29-5/10までの期間中、VRChatの中で展示即売会が行われていました。今回は7つのテーマのワールド内に様々なサークルが出店してましたね。7テーマがそれぞれ複数のワールドを持っている構成になっており、1+7+5+5+5+5+8=36ワールドありました。とても回りきれない広さでしたが、夜中に行くと色々な国の人が走っていて楽しかったです。
[以下小ネタ]
・在庫管理用の光る引き出しIoT
先週くらいに話題になったニュースです。小棚の引き出しが電子制御されており、在庫の引き出しが応答するというものだったと思います。小さいものの管理に向いているシステムですが、私は薬局の在庫管理に使われれば薬局滞在時間が減っていいなぁと思いました。
・人工呼吸器のオープンソース開発資料が公開されてました
効果のほどは分かりませんが、簡易な仕組みで応急用の人工呼吸器のシステムが安く作れるようです。ガス屋さん、水屋さん、真空屋さんなど流体制御を設計する方が見ればなにか分かりそうかなと思いました。
・Voxelkeiさんの突発音楽空間ライブがすごかった
お世話になっている@VoxelkeiさんがVRChat内でのライブ演出ができるワールドを発明しました。VJものが好きな方にはまずは観て頂きたい感じです。奏者さんからのMIDI信号をワールドが受け取って、空間全体へ影響を与える仕組みになっています。突発の実験イベントだったので、事前告知もほとんどなかったですが、youtubeを外から見ていたエンジニアたちが次々とワールドの現地に見に行く様子が見られると思います。(私も中に入ってきました)Rez: infiniteがお好きな方にはなんとなく通じる部分があるのではないかと思います。
・REscanという複眼ヘルメットがカッコいい
ドイツのVR情報メディアが取り上げていたのをちょっと拾ってみました。複眼の360映像+周辺のレーザー測距スキャンによる空間生成をヘルメットが行う仕組みです。ヘルメットから通信ができるようで、受信側のスマホでは好きな方向を観ることが出来るような宣伝イメージです(大きなお世話ですがリンク先のサムネイルがヘルメットじゃないのは損をしている気がします)。THETAなどは2眼ですが、相当レンズが多いですので、解像度もよさそうです。多分発熱はものすごいと思います。
・HOLO COMMUNICATION リリースで立体映像受信
MicrosoftのAzure Kinectという深度カメラを使うと、被写体の立体情報をリアルタイムで遠隔地に転送できるんですが、表示システムを立体視ゴーグルとしたことで、生身っぽい人の動きをそのまま送ることが出来るようになったらしいです。3月末に #たる電話 とあだ名をつけた裸眼3D送受信テレビ電話を体験させていただきましたが、それのゴーグル版になります。
以前、直接会わないzoom会議だと相手が信頼できるかどうかは別の尺度で見ないとよくわからないという話を会社の人事採用の話題の流れでお話したことがあります。そこで、たとえば個人面接の会場にAzure Kinectがあって、遠隔地の採用担当さんが立体視デバイスを持っていたら、面接生の様子は3Dで観れる形になりそうですが、そういう運用ってどうなんでしょうか?しぐさ的な所は情報として補完できるかもしれません。
信頼を会社側が得るという観点で考えればデバイスの配置は逆の方が結果が出る気もしますが(面接生に情報を多く届ける)、初対面に近い話相手の雰囲気を少ない時間でよりよく知るための立体視デバイス運用というのはあまり例を聞いてないので実験テーマのような気がしています(iPadとかで立体テレビ電話がすぐ実現しなくもなさそうですが。。)。
活用場面は非日常の場面だろうなと個人的には考えています。
・HoloLens 2 を搭載したヘルメットが本日発売
以前インフォマティクス社からヘルメット付きHoloLens(GyroEye Holo)をリリースされていましたが、Holo 2対応はまだでした。一方で別の会社(ニコン・トリンブル社)からヘルメット一式が12日に出ました。カッコいいです。
[xR × 学術(メイン活動)]
・応用物理学会 KOSEN SC第1回 VR学術講演会に参加予約
2019年12月の #バーチャル学会 では、学生さんたちがVR空間で講演会セッションとポスターセッションを行いました。今回、7月開催にて高専出身者の若い応用物理学会員の学術講演会が行われる事が分かりました。応用物理学会の全国大会は毎回6000-9000人の参加があり、私も毎年行っています。今度の↑のVR内学会は神戸大学の博士学生が発起人になった小さな研究部会ではありますが、応用物理学会の運営形態に変化を起こす可能性があります。とてもいいと思います。反応してみたらお誘いされたので、私も参加する事にしました。とはいえVRChatで定員が少なくなるので人数超過なら現役に譲ります。
技術バックアップは #バーチャル学会 の運営リーダーかめおかさんなので、ほぼ確実に実施されるとは思います。現役研究者のクラスタ(SNS未活用)に宣伝できるかどうかが勝負だろうと思います。
・楽器演奏レッスンをオンラインにする試みを自らしている(zoom+NETDUETTO)
私的な事ですが2年間習っているバイオリン教室(ヤマハ音楽教室)がコロナ感染拡大防止のために、教室クローズ状態が続いております。そんな中先生がオンラインレッスンに興味を持ってくれたため、私の自宅でも音声信号用インターフェイスをサクッと用意して、自宅からオンライン会議とNETDUETTOを併用したリアルタイム遠隔受講システムを作ってみました。
先週からオリジナル譜面を用いて、レッスンをノンビリペースで受けています。技術情報の調査提供と交換です(´ω`) 全国的にこれの活用例がまだほぼ無いようなので、多分バイオリンレッスンにおいては道内初の試みをしていると思っています(VRChatでは事例があるので別に新しくはない)。音声共有の際の遅延をNETDUETTOで超減らして合奏まで出来るのがポイントです。ノウハウの積み上げが出来る段階に来たのでいいような気がしますね。
私自身が初心者なので、教える側のノウハウと教わる側のノウハウが同時に溜まります。弦楽器はいいぞ。
・恵庭50周年コラボの(音楽教練×XR)に参加した
↑の話の発展形ですが、その練習用オリジナル曲がたまたま恵庭市の市制施行50周年テーマソングになっており、曲そのものと異分野とのコラボ企画が恵庭市から募集されています。演奏技術はショボくていいとの事なので、xR技術を使ってバイオリン演奏に活かすとどうなるのかといった事を映像で示せるかどうか試してみた、というのが↑のYoutube動画になります。HoloLens 1とスマホでそれぞれ撮った映像を示しているという状況です。12日に恵庭市のHPに掲載されました。ありがとうございます。
・GPSSさんとHoloLens 2への遠隔支援実験をした
東京のGPSS社が、12月にHoloLens 2を実際に手に入れました(iPadでAR見せてたらいきなり購入を決めてた)。事業の現場で使えないか模索しているという事で、さっそく現場投入してくれたようです。
HoloLensには、Dynamics 365 Remote Assistという遠隔支援の機能を備えております。HoloLens 2(東京・現場役)から私のデスクトップPC(札幌・遠隔支援役)という設定で先週に初めて接続を試させてもらいました。HoloLens 2装着者の視界に映る物体にネット越しに視覚的補助をどんどん投げ込んでいけることが分かりました(恵庭曲演奏動画の中の様子を例えば私ではなく先生が同時に作りこんでいける感覚)。
・某大学とオンラインワークショップの相談会継続中
8日、某大学URA(University Research Administratorの略)の方々と、情報交換の機会を持ちました。今冬に残念ながら中止になってしまったワークショップをオンライン開催でリベンジしたいとの事でした。どんな運用があるのかという話です。
VR内開催も含めた事例紹介やメリットデメリット(主に運用面の困難の予測)を説明したり、実際にMozilla HubsのVR空間に招待してこんな感じ、というのも説明したり、この数か月の間に話題が増えてきた会議ツール Remo, Spatial Chatなどの紹介などもしました。オンラインミーティングの進化が速いので、実現までの間にも様々な工夫が産まれると思いますが、細く長くサポートできる仕事が産まれればいいな……(切実)。
・HoloLens 2個人で買えない問題&札幌に存在しない問題は続行中
22日のHoloLens Meetupで私の講演にて、地方コミュニティとxR開発者の存続の危機の話をしました(超長文)。ありがたいことにLimesさんが参加レポートにてまとめて下さっているので併せてリンクさせていただきます(´ω`)
企業所属の開発者にとってはHoloLens 2を公共の場に持ち寄る理由がもう全くなくなった今、どうしたらよいのかという話をコミュニティの端っこの方に居る私の視点から発したものでした。「被ってみなければよさが判らないデバイスを被せる人が居ない問題」が地方の最大の弱点です。都市圏では感染の爆発が速いので、今は単純に人口の少ない地域に分散配置するのが最適への近道だと考えていたりします。先行して発展した都市部のxMCNは地方へのアドバイスが出来るはずです。
せっかくAlex Kipman氏のヘッダー画像が日本全国のコミュニティとの集合写真になっているので、みんな幸せになる方法があればいいのにと思います。
過去4度ほど、HoloLens 2を予約していた複数の企業に実機が配分されている時期があり、そのたびに動向を注視しているのですが、SNS上でHoloLens 2到着報告を上げている東京以北の企業が未だに存在していません(どこかはさすがに購入しているはずですが、きっと社外秘なのでしょう)。逆に言えば、この時点で手元にHoloLens 2が有るというだけでその人が北海道最速になる状況ともいえます。
ただ、実機を持っていても体験会などでおおっぴらに被せる機会も、逆に学会などにゲリラ体験会をしに行く機会も消滅しています。なので、非常事態が長引きそうな札幌においては、コミュを通じたビジネス創出グッズとしては全く使えないです。反面、新し物好きの学生を引き寄せる触媒としては依然として機能するかもしれない所が悩ましい所です。
・Oculus Questも在庫が全然ないらしくて買えない
在宅中のヒマつぶしグッズとしてOculus Questが北米で今やたら売れているらしいのですが、日本でも時々在庫が復活しては瞬殺され、またしばらく待つ、みたいなサイクルに入っています。アマゾンは転売屋が1.2-1.3倍程度まで値を釣り上げており、記録容量64GB版より128GB版を買った方が安い状況になっています。こまったもんだ。
・VR楽器演奏ライブのミートアップシリーズを計画中
8月初週を目標に、VRChat内での音楽イベントを大きくやってみようかという話が進んでおります。VRChatの自由度が大きすぎるので逆に参入ハードルが上がっていることを課題背景として、VRChatやったことない音楽関係者が発表の場を主催できるためのノウハウ共有会(+実際のライブパフォーマンス)のデザインを @Tnohito1 さんたち音祭シリーズ実行メンバーと昨日から進めています。とりあえず24日のミートアップは決定しているので、今日の #HubsScrum で告知をさせてもらいました。
以上、主要な活動にのみ絞ってお伝えしましたが、DevRelのクラスターによるビデオ配信技術ミートアップ(14日)や、マーケティング部門のプロたちによるミートアップ(CMC_MAX )など随時見つけて出席して知り合いを増やしてきております。20日は毎月第三水曜のXRMTGも予定通り開催します。
引き続き、皆様健康に気を付けてお過ごしください。
(5/14 6384字 180分 後日追記予定)
(5/23 追記 メモだけ 8097字に)
5/13 #HubsScrum by #xRTechNagoya
https://vrm-nagoya.connpass.com/event/175544/
https://www.youtube.com/watch?v=jSHk0ai4RJk
参考ブログ
https://www.crossroad-tech.com/entry/hubs-scrum-xrtechnagoya
https://www.crossroad-tech.com/entry/how-to-presentation-on-mozilla-hubs
5/14 Meetup video shooting Meetup #3 - ライブ配信のキホン by #MVSMJP
https://mvsmjp.connpass.com/event/174780/
https://togetter.com/li/1512430
https://www.youtube.com/watch?v=1_1lm0HE-Ps
ブログ
https://note.com/beajourneyman/n/n6e00983a4099
5/15 スマホマウントを買う
https://www.kickstarter.com/projects/troygrady/the-magnet-smartphone-camera-mount-for-guitar
5/17 ボクトネライブニ回目
https://twitter.com/jun_mh4g/status/1262023397577379840
5/19 #盛夏音祭 メンバー打ち合わせキックオフ
5/20 XRミーティング運営・開催・登壇
https://connpass.com/event/175476/
https://www.youtube.com/watch?v=qlPSdYhzrVk
登壇
https://www.slideshare.net/JunyaIshioka/200520-announcement-of-a-series-of-summer-music-festival-in-vrchat
応物KOSEN SCのVR学術講演会(応援age)
追っかけ告知 #盛夏音祭
5/22 0:00-8:00 Mixed Reality Dev Days in Altspace #MRDevDays
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/mixed-reality/mr-dev-days
Kipman 講演
https://www.youtube.com/watch?v=TvVAXyiR3LY
5/23 1:00-8:00 Mixed Reality Dev Days in Altspace 二日目 #MRDevDays
Kipman Fireside Chat
https://www.youtube.com/watch?v=YJRlOWi6ryk
その他たくさんセッション+ネットワーキング
5/23夕方 コミュニティリーダーズサミット in 高知 2020初鰹編オンライン by #CLS高知
https://eventregist.com/e/CLS_Kochi_5
https://www.youtube.com/watch?v=q0LvZABn73M
5/24 「#VR音楽のススメ!〜自宅から音楽ライブチャレンジ〜」開催・運営補助
https://vrchatensoukai.connpass.com/event/176236/
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