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なんとかしなきゃ


「ついていけないかもしれない」
カズ君から連絡があった。

カズ君はtoybeeが始まるときからサポートドラムとしてドラムを叩いてくれた。
僕が初めてカズ君と一緒にバンドをやったのは「ユルグランド」というバンドのときだった。
「後輩にアツムってやつがいるんだけど、ギター弾いてみない?」
大地からそう言われて初めたのがユルグランドだった。
当時はまだBOYS END SWING GIRLをやっていて、僕はサポートという形だったけど、メンバーの様な距離感でいつも一緒にいた。
カズ君の最初の印象は明るくてうるさい人だった。
常に何かしゃべっている。人を笑わせていないと気が済まないのだろうか。だけど、そのおかげですぐに仲良くなれた。
今思うと、現toybeeハウスはカズ君が来てからみんなの集まる場所に変わっていった様に思う。
サンストの後輩達もみんな遊びに来るようになって、誰かの誕生日に遊びに出かけるのもその頃からだった気がする。
いつもみんなの笑顔の中心にカズ君がいた。

そんなカズ君からの連絡だった。
toybeeの活動は楽しいこともたくさんあったけど、苦しいこともその分多かった。
ライブ、ミュージックビデオ、レコーディング、ファンクラブ、外部の撮影仕事、動画編集。他にもいろいろやっていた。
それら全てをこなしながら活動していた。
時にはメンバー同士で厳しいことを言うこともある。
すべてはtoybeeが売れるために頑張っていた。

カズ君はサポートという形だったけれど、自分たちの中ではメンバーだと思って活動していたから、連絡が来た時は悲しかった。
みんなで集まって何度も話をした。

だけど結局、カズ君はtoybeeを辞めることになった。

なんとかしなきゃ。
今決まっているライブだけでも随分先まで決まってしまっている。
とにかくそれらをどうにかする。
大地の知り合いの紹介などでtoybeeを手伝ってくれる人がなんとか見つかった。
この時に知り合ったのがボブさんとトモキさんだ。
ガムシャラに突っ走った。
今決まっているライブが終わったらその後はどうなるんだろう。
そんなことを考えることもあったが、とにかく今やることに集中するので精一杯だった。


「⋯⋯活動休止をしようと思う」

大地からそう提案があった。

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