子供の頃、夢だった公務員を辞めるまで 前編
私は昔から人一倍、安定志向が強かった。
小学校2年生くらいの文集に、将来の夢を「公務員」と書くほど、早くからこの職業を意識していた。
安定志向が強かったのは、親が自営業でお金に苦労しているのをみて、将来幸せになるには安定した職業に就かないといけない、という刷り込みがあったのだと思う。
小さい頃に家族で食事にいったときに、「このメニューを頼んでお金足りなくならない?」と母に聞くほどお金の心配をしていたという。
小学生のころ、「将来の夢は公務員」と大人に言うと、大抵、
「そんな現実的なこと言わないで、もっと大きな夢を持ったほうがいい」
的なことを言われたのだが、それが不思議でならなかった。
なんで、大きな夢をもたないといけない?
安定を求めることはだめなこと?
そもそも、「大きな夢を持て」と言っている大人がすごく安定した職業に就いていたので、その言葉に違和感しかなかった。
高校、大学生になると公務員になりたいと言っても、周りから何か言われることもなく、大学卒業後、何の迷いもないまま沖縄県庁に入庁した。
入庁してからは、人間関係も良好で、仕事に対して何の不満もなかった。
ただ、これといって趣味や好きなこともなく、結婚願望もない。
唯一、週末の飲み会だけが楽しみで、土日は二日酔いで1日が潰れるという生活を繰り返していた。
社会人になって2〜3年くらい経って、仕事が落ち着きはじめてから、初めて自分の仕事についてぼんやり考えるようになった。
何のために、この仕事やってるんだっけ。
そもそもなんで、公務員選んだんだっけ。
結婚願望もないのに、なんで安定って必要なんだっけ。
違和感を感じながらも、別にやりたいこともないし、現状に大きな不満があるわけでもないから、辞める必要ないよなぁと自分を納得させていた。
ただ、この違和感は年が経つにつれて大きくなっていった。
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