設立5周年の節目に|リブランディングとこれからのシェルパについて
2024年9月5日、当社は5年目の設立記念日を迎えました。
振り返ればあっという間の5年間でした。うまくいかないスタートアップも多いなか、サステナビリティ・ESGという自分が心血を注げる領域を見つけ、次の5年にチャレンジするための土台を作れたことは、本当に幸運なことです。これもひとえに、SmartESGというプロダクトや当社に可能性を感じ、日々ご支援をいただいているお客様やパートナー、株主を中心とするステークホルダーの皆様のおかげです。
コーポレート・リブランディングを発表
長期目標(新ビジョン・ミッション)と組織(新バリュー)の話
今回5周年を迎えるにあたり、当社は新ビジョン・ミッション・バリューの策定とコーポレートリブランディングを発表しました。
きっかけとなったのは2022年12月のプロダクトリリースから1年半が経ち、組織も30名を超えるまでになってきた今年の4月、初めてマネジメント間で行った京都での経営合宿です。当時業務委託で入っていた現COOの町田による提案で、シェルパとして実現したい世界観の共通言語化から始め、その世界の実現に向けた中長期の経営ロードマップの策定並びに足元の事業・プロダクト戦略の精緻化にいたるまで議論を尽くしました。
当社はサステナビリティ・ESG領域で事業を立ち上げると決めてから3年の間、多くの企業や市場の関係者と対話を続けてきました。その中で変わらぬ危機感としてあるのが、日本におけるサステナビリティ・ESGの取り組みがなかなか自分ごと化されず、浸透していかないということです。
経営合宿でも多くの時間をこの論点に費やしましたが、やはり足元のサステナビリティ推進におけるクリティカルな問題は、投資家との対話や開示規制への対応などいわゆる外圧という側面から画一的に捉えてしまい、いわば「儲からなくてもやらなきゃいけない」というスタンスで進めてしまっているという点です。この考えを根底から変えない限り、サステナビリティを真に社会実装するのは難しいと我々は考えています。
それでは誰もがサステナビリティを自分ごと化できている状態を作るにはどうすべきでしょうか。それは利益と関連付けられており自然体でサステナブルになっている状態、言い換えると「サステナビリティに取り組んだ方が、よりお客さまが増える、儲かるので経営戦略に組み込む」というビジネス文脈での付加価値をいかにつくるかにあるという点です。
上記のような仕組みはまだ誰も構築できていません。利益とサステナビリティという一見相反するものを本当に両立できるのかも分かりません。だからこそ、シェルパがやる価値がある、目指す世界である。経営合宿で全員の意識が一つに向いたとき、これまでのシェルパのパーパスを刷新する新たな経営ビジョンが完成しました。
また、上記ビジョンの実現に向かって、我々が本当に証明しないといけないことは、非財務情報が企業の価値向上に資することをテクノロジーとサステナビリティ・ESGの専門性によって証明することです。ビジョンの策定により、我々のミッションも自ずと決まりました。
このビジョンの達成とミッションを遂行する上で当社の戦略上重要なポイントは3つあると考えています。弊社の今後5年の中期経営計画もこれらの考えに基づいて策定しています。
戦略上の3つの重要ポイント
①テクノロジー・ESGの専門知識を生かしたサステナビリティ・データプラットフォームの構築とパートナーとの共創
今回のビジョン策定から逆算し、5年後のゴールとして、「国内外のエンタープライズの企業価値を向上させるNo.1 サステナビリティ・データプラットフォームの実現」を目指します。
現在、サステナビリティ経営を推進するエンタープライズ企業の皆様は、国内外の開示規制対応に追われ、非財務情報を可視化できず、事業の付加価値に繋げられないという問題を抱えています。
我々がこのような悩みを抱える企業様に対して提供できる価値や強みは、テクノロジーはもちろんのこと、非財務データのプラットフォームを作り、その上に様々なサービスや叡智を結集することで、日々の業務負荷や足元の規制対応から解放され、サステナビリティを経営戦略に深く組み込むことにフォーカスする仕組みを作ることにあります。
直近あずさ監査法人様やS&Pグローバル様、東洋経済様との業務提携を発表し、一気にこの動きを加速させました。今後も多くの事業者様と共創関係を構築し、企業のサステナビリティ変革にあたって必要なあらゆるアクションを取って参ります。
②アジア最大のサステナビリティ・テックカンパニーとしてのグローバルへの挑戦
この領域で自分たちに何ができるのか、日々格闘しながらプロダクトに向き合う3年間でしたが、その中でも大きな心の支えとなったのが、当社のサービスをご利用いただく日本の大企業の皆様です。彼らは真摯にサステナビリティ経営と向き合っており、目まぐるしく変わる法規制や評価機関対応に付随して起こる複雑な業務に対応すべく、SmartESGを利用し、様々なフィードバックをくれました。
以下の図は、グローバルESG評価機関であるS&Pの2023年のサステナビリティYearbookの地域毎のノミネート企業数です。日本企業はなんと米国に続いて84社もランクインしています。このデータが示唆することは、日本企業はサステナビリティに対して、どの国よりも真摯に取り組み、評価されているという点です。
三方良しという言葉が日本で生まれたように、私は買い手だけよくても、世間がよく思わなければ商売は長続きしないという精神が根付いている日本の国民性とサステナビリティはマッチしていると考えています。当社が国内でトップエンタープライズの皆さまと培ったベストプラクティスをグローバルにも展開し、非財務情報が持つ価値を世界に証明する。これは当社のビジョンを達成する上で避けては通れません。また日本発スタートアップがグローバルにチャレンジすることそのものにも大きな意味があると考えています。
まずはアジアを中心に先進的にサステナビリティ・ESG経営に取り組んでいるグローバル企業のサステナビリティ・トランスフォーメーションを積極的に支援し、今後5年で、海外売上比率50%を達成し、アジアNo.1のサステナビリティ・テックカンパニーになることを目指します。まだお話できないことも多くありますが、これから具体の取り組みについて内外に発信していきます。
③ビジョン達成のための強固な組織の構築と新コア・バリュー
また当社は新ビジョン・ミッションの策定に合わせて、5つのコア・バリューを策定しました。ビジョンの達成から逆算してどのような組織を作りたいかという観点から新コア・バリューを説明させて頂きます。
目標の高さは、その組織のあり方や戦略を決めます。「利益とサステナビリティが融合する世界」をつくろうとしたら、世界最高のチームが必要です。
シェルパ・アンド・カンパニーという会社名は、ヒマラヤ登頂を支援するチベット民族名からきていることは既にご存知の方も多いかと思いますが、日々なんとなく過ごしているだけでエベレストに登頂できる人はいません。私は高い目標を立て、その実現のために行動を起こしてこそ、未開の地を切り開くことができる、目指す世界に到達できる見込みが生まれると考えています。
ここからの5年、10年、多くの人たちに笑われても、私は「利益とサステナビリティが融合する世界」をつくると話し続けます。パーパスに掲げたようにサステナビリティを経済活動におけるあたりまえにしたい、そのために、サステナビリティの追求が利益につながることを証明し、将来世代のためにより良い社会を作りたいと考えているので、極めて高い目標を掲げますし、グローバルにもチャレンジしていきます。
とはいえ足元はこのビジョンを達成するには実力値的にはまだほど遠く、解かないと行けない課題も山積みです。
ですが、シェルパはそれをすべて乗り越えることができると私は確信しています。これまでもCovid-19、数回にわたるピボット、資金繰りの危機など数多くの困難がありましたが、その全てをわたしたちは乗り越えてきました。
逆境に強い組織には特徴があります。それは、その組織の人々が個人的な使命感のもと自律的に動き、一人ひとりが自分の持ち場で仕事に全力で取り組んでいる点です。
当社もそういう組織です。ハイアリングポリシーを明確にし、面接を通じて、自分より優れた人、自分の意見を持っている人、そしてなによりも個人的な価値観と会社のビジョン・ミッション・バリューがアラインしており、自律的に高みを目指す「Go Higher」な人材を採用するように努めています。
結果として、一年前から人数が3倍になった今でも、シェルパは私の号令で動くような組織ではなく、一人ひとりが自己実現と会社のビジョン・ミッション達成を重ね合わせ、社内外に対して誠実に「Integrity First」で動くメンバーの集まりです。
また、組織運営においては可能な限り議論をして合意形成することを重視しています。このような組織は、平時には合意形成に時間がかかりますが、メンバーに当事者意識が生じやすく、危機や逆境には極めて強いと感じています。誰かの一存で物事が決まる組織においては、その一人以外の人々は主体性を失っていきます。
こういった組織づくりも「利益とサステナビリティが融合する世界をつくる」という目標から逆算されたものです。今まで実現できなかった世界を作るには最高の人材、バリューの一つに掲げる「Collective Pioneers」、シェルパのパイオニア一人ひとりが持つ叡智を結集しないと作れないですし、個人の一存で動く組織になるべきではありません。
もちろん短期的には個人に権限を集中させたほうが早いのかもしれませんが、中長期的にはそういう組織は個人に依存することになり、サステナブルにはなりえないと考えています。だからこそ、私は組織のダイバーシティを強く意識し、個々人の当事者意識を強めるような意思決定ができる場を作っていきたいと考えています。
またダイバーシティを強く意識した結果として、この1年で男女比率がほぼ50:50になりました。スタートアップでは珍しい組織構成だと思いますが、誰もが性別や国籍を問わず活躍できる「Respectful Team」を作っていきます。これからグローバル展開を見据えた海外人材の採用も積極的に進め、ビジョン達成に向けて「Fast & Creative」に動いてまいります。
最後に
Special Thanks
5周年という節目を迎えるにあたって多くの人に感謝を捧げたいのですが、最初に感謝するべきは共同創業者兼VPoEの小川とエンジニアチームの幸喜君、ペトロフです。創業間もない2020年初にコロナが直撃し、当初計画していた1つ目の事業は早々にピボットを余儀なくされました。その後1年にわたって先の見えない暗闇のトンネルを歩き続けていましたが、その中でも黙々と仕事をし、私が事業アイディアを探すかたわらで受託で会社を支え、自社プロダクトも並行して開発してくれました。
創業初期1〜2年の苦しかった時期の詳細は割愛しますが、私の過去のNoteでも触れておりますので興味のある方は是非以下リンクより御覧ください。
混沌とした創業フェーズ(2019〜2021年)を抜け、サステナビリティ・ESG領域でトライすると決めた中で、一人目Bizかつ初の女性メンバーとして入ってきてくれた矢崎さんにも感謝しています。何一つ整っていない状況にも拘らず、その類まれなる対人スキルとセールス力で、プロダクトリリースから多くの企業様にSmartESGを売り込んでくれたことで、Day1からエンタープライズ企業にフォーカスすることができ、幸先のよいスタートを切ることができました。
当社の第二創業があるのだとすると、それは丁度プロダクトの正式版をリリースした2022年12月からセールスを始めた半年後に、元Google AIエンジニアの小田さんや元S&P ESGソリューションズ・日本ヘッドの中久保さんが入ってくれた時期です。彼らのお陰でプロダクトの専門性が短期間で大きく引き上がり、当社の持つESG×AIの強みが明確に語れるようになったことで、チャレンジの幅が広がりました。
またAI事業部とESGエキスパートチームの結成1年にあたってお二人が対談しているNoteは当社の未来を語る上で極めて示唆に富んだ内容となっています。(こちらもお時間ある方は是非ご一読ください。)
この1年で従業員数は3倍以上に増えました。すべてのメンバーの名前をあげることができないのが残念ですが、当社に入社してくれたメンバーたちに改めて感謝を申し上げたいと思います。他にもいくらでも選択肢があるなか、仲間になり、人生の一部をここで費やすことを決めてくれた人たちに感謝しています。
サステナビリティ普及のためプラットフォームを目指す
私はこの領域に根を張ると決めてから、サステナビリティはムーブメントであるべきだと思っています。数年前に本格化したこの動きを止めてはなりません。
ムーブメントの重要な特徴は、特定の個人がいなくても続くこと、また、会社組織よりも大きな拡がりをもつことです。メンバーとして働く人もいれば、資金提供者、コンサルティングファーム、取引先など、多くのステークホルダーが様々な形態で関わることで、サステナビリティは拡がっていきます。だからこそ我々はプラットフォームという形を志向しています。
世界を変えるのはいつの時代もこういったムーブメントだと思います。大勢の人が関わることで、世界は徐々に、そして確実に変わっていきます。
利益とサステナビリティが融合した世界の実現は、多くのみなさんとともにつくっていくものです。まだまだ道のりは遠いのですが、我々とともにビジョンの実現に向かって歩を進めたいという方は、是非今回のリブランディングによって新しくなった当社のホームページ、採用ページからエントリーしてください。よろしくお願いします。
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