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フィリピンで風邪をひいて死んだと思われた話

だれでも病にかかる。

風邪をひいたことがない人に出会ったことがない(実際にいるかもしれないけど)。

では、旅行中はどうだろう。

確率的には低くなるが、いつもとちがう環境に意外にも身体は反応しているかもしれない。

計画を立て、お金を払い、楽しい予感しかない未来にマイナスなお土産はなるべく避けたいところ。体調を崩さないように、旅立つ日に合わせて体調にも気をつかう。それでも病にかかってしまう場合、それはドンマイだ。

ではでは、海外旅行中はどうだろう。

国内旅行以上に気を配り準備をする。見たこともない色のクスリは身体が受け付けないかもしれない、見知らぬ地でこのまま寝たきりで日本に帰れなくなるかもしれない…大袈裟かもしれないが、人が大移動するからにはリスクが伴うものだと思っている。

今回は私が経験したふわふわとした病日記を記事にしようと思う。

わたしはフィリピンで寝込んだことがある。3カ月間の語学留学中だった。

気をつけていたつもりだったがコロッと風邪をひいた。日本から持参した薬はすでに飲み干してしまった。薬を飲んで寝ておけばたいてい2〜3日もすれば元気になるはずが、どうもよくならない。現地の風邪ウイルスには現地の薬でなくては効果がないのだろうか。

有り難いことに語学学校の寮には週2日スクールドクター(ジャパニーズドクター)が診察に来てくれるそうで、ふらふらしながらも診てもらった。

受付も兼ねているらしい看護師らしきフィリピン女性がわたしを招き座らせた。するとジャパニーズドクターらしきおじちゃんが聞いてきた。

「Do you have hoken?」

熱でただでさえ頭が働かない状態プラスままならない私の英語力。チョット ナニイッテルカ ワカラナイ。

彫りが深くて肌が小麦色の小柄なフィリピーナの顔をぼけーーーっと見つめていたらおじちゃんドクターがもう一度、

「Do you have “hoken”?」

“hoken”、hoken、hoken…

綴りはどう書くのだろう、なに言ってんだろうとぼんやりしてて”保険”の文字に変換するまで数十秒固まってしまった。海外保険のことを言っているようだ。はいはい、入ってます。これのことね。保険証明を差し出してその紙切れが自分をどのように守ってくれたのかはイマイチ理解できずにいた。

その後のことはあんまり憶えていない。

おじちゃんスクールドクターに症状を話し、診察を受けたんだろう。なんだかよくわからん薬を部屋に持ち帰っていた。恥ずかしいことにジャパニーズドクターときいて、フィリピン在住の日本人のお医者さまだと思っていたが、ところどころ日本語交じりのバリバリフィリピーノだった。

言われたとおりに薬をのみ、ベッドでスヤスヤ。丸一日目を覚ますことなく眠るわたしをルームメイトは死んだのでは、と心配してくれていたらしい。

そういえば解熱剤らしき薬を手に説明する日本語交じりおじさんドクターは

「コノクスリハ ネムクナリマース」

と、そこだけまあまあはっきり教えてくれた。

その後食堂にも行けないわたしのためにスポーツドリンクやフルーツを買ってきてくれたルームメイトたち。弱った身体に人の優しさがしみてしみて…今思い出しても泣けてくる。

結局完治するまで2週間かかってしまった。

二度と海外で体調崩さんぞ!と心に誓った出来事だった。その1年後、カナダの国会議事堂前の路上で寝込むことになったり、アル中で運ばれて17万円支払ることになるが、それはまたいつか記事にしたいと思う。


[ 家に帰るまでが遠足 ]子どもの頃叩き込まれた教えは正しい。どんなに楽しい旅行でも帰路の飛行機の中でおえおえして終われば思い出が薄れる。そんな悲劇は避けたい。気をつけるしかない。

このご時世、風邪ひとつひくのも覚悟がいる。くしゃみするだけで人が振り向く。異常だ。だれでも体調を崩す。わざとじゃないんだもん。

長々書いたが、結局なにが大切かというと保険証はすぐ出せる場所に入れとこうね!てこと(そこ?)。

↓フィリピンで処方された薬たち。

「ネムクナリマース」の薬は青色のやつ。

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