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人工透析を導入した経緯と自己責任論について

おはようございます。透析についてときおりお目にかかる自己責任論と、一人の透析患者にかかる医療費について考えます。

私はどうだっただろうか。タバコは一切吸わないがお酒は若い頃から人並みに嗜んできたかと思う。若い頃アメリカでの生活が長くそこの食事が合わなかったのかも知れない。

そもそもは高校のころの尿検査で基準値以降の尿淡白が検出されたことがきっかけです。検査後、正常なら白い紙が配布され、何かしら異常があり再検査や治療が必要な場合、黄色い紙か配られます。私はその後 igA腎症と診断されネフローゼ症候群が発祥しました。

そこから透析に至るまでの道のりまで25年間かかりました。それまでは外的な症状もなく普通通り過ごしました。大学に通い、就職して、飲み会なども人並みに、、、食事は塩分に気をつけることで、それにより腎臓が炎症しているので無駄に酷使しないよう配慮が必要なことでした。腎生検は3回やりました。一度はステロイドパルスの治療を続けたこともありますが、私はダメでした。

透析導入は40を過ぎた頃、突然やってきました。今までは腎機能の状態を示すクレアチニンの値が正常である数値を超え 2から3の間で長いことコントロールしていましたが、前ぶりなく突然10という数値に急上昇しました。当時ちょうど仕事の都合で川崎に引っ越すタイミングでした。環境の違いで無理を強いていたのかもしれません。最初は発作でした。意味もなく無性に体全体か痒くなります。内部から針で刺されるような痛みが伴う痒みです。掻いても収まらず、しばらくのたうち回り発作が収まるのを待つしかありません。透析導入後は落ちついたものの油断するとたまに痒みの発作はたまにやってきます。

導入はあっというまに、血液の流れを早くするシャントを左手に作る手術をして、血流量が安定してきたら穿刺して透析を開始します。透析導入と合わせてまずやることは、健康保険の特定疾病の病療養受領証を申請し、高額医療費を国から支援してもらいます。個人負担は月1万~2万円となり、それ以外の費用は月40万ほどは保険会社から支払われます。患者一人年間500万というのは事実で、どれだけこの支援に救われたでしょうか。

加えて地元の役所で、障害者手帳と、障害者年金の申請をします。障害者手帳があることで行政や民間の様々なサービスを無料や割引額でうけたり、様々な配慮があります。障害者雇用にも影響しますが、こちらはまた別の記事に書きます。

障害者年金の給付申請は苦労しました。最初に尿検査で異常が発見された25年前の当時まで遡り、それから現在までの医師の所見を集め申請します。私のような慢性腎炎から長く治療して来た人は、将来の年金給付申請のため、最初からの診断記録、担当医師の名前や連絡先を記録しておいた方が良いかと思います。私の場合、25年前の診断していただいた医師は、まだその当時の病院におり、院長となっていました。私のことも覚えており、診断書に当時の所見を書いてもらいました。大変なのは、その後海外で生活するようになり、そちらの病院に連絡して英文の診断書を取り寄せたり、あらゆる手をつくし、なんとか障害者年金の受給資格を得ました。認定された金額は年間40万程度、それも認定された最初の一年だけ支給がありました。翌年度以降は会社からの収入があったため全額差し止め。当時は仕事を続けていたため、それ以降今に至るまで年金の支給は一度もありません。

さて、私がここまで詳細に書いたのには理由があります。同じ境遇の方への経験談として参考にして欲しいのと、透析治療の現実として多くの方へ誤解なく知って欲しいからです。
巷にある自堕落な生活で糖尿病になり運悪く腎臓が悪化、延命治療として透析を導入することになった自業自得な方もいるでしょうが、透析は命をつなぐ最後の手段です。現実をあまり良く理解していない人が、ニュース記事や表面的なイメージ、自堕落な患者だけを見て、透析患者全体と治療を批判し、さらに他の知らない方へ負のイメージを植え付けるのは止めて欲しいと思っています。輸血だけではない、日本では移植のための臓器提供も欧米と比較して極端に事例が少ないです。現在は社会の多様化が進みあらゆる個性や違いを尊重する時代になっても、日本は単一民族で土地も島国で諸外国と地理的に繋がっていないため、どうしても閉鎖的なイメージが付きまといます。一部の心ない人が発した言葉やマイナスの記事、真実を確認しないでローカルニュースだけで誤解したま自分の考え方を固定させてしまうケースも多いような印象をうけます。


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