『放送作家の猫被(ねこかぶり)さん』 第2話
駆け出しのころ、仕事がなくても毎日、朝から晩までテレビ局にいました。
はっきり言って知らない人ばかりのテレビ局は、出入り業者の私には本当に居心地悪かった。でも我慢だ、我慢だと自分に言い聞かせて、毎日通ってました。
なんとか仕事にありつけないかと必死だったのです!!
駆け出しのころは放送作家ではなく、調べ物をするリサーチャーという仕事をしていました。リサーチャーの扱いは、まさに下の下。
だから、テレビ局に自分用のデスクとロッカーを持つのは、かなり珍しいこと。
しかもディレクターが「彼女は一生懸命仕事してるから、正式に作家として番組に迎え入れ、ギャラももっとあげてください」とプロデューサーに言ってくれたのです!!
実は半年ほど「なんで私ばかりこんなに働かなきゃいけないの」と悶々としていたので、「誰も見ていなくても、きっと誰かは見ていてくれる」と思うようになりました。
でも、これは勧めない(笑)。いいように使われることの方が多いので。
どうしていつも、損な役まわりなのでしょう!! 前世で悪いことでもしたのかなぁ……。
その前に、今の時代、お金を賭けたジャンケンはコンプライアンス的にアウトでしょ。やっぱり不適切だわ。
こんな経験をしたことがある人、いっぱいいるのでは?
私が稼いだ金には、仕事の対価だけでなく、たくさんのセクハラを我慢した対価も含まれてるんだぞ!!と言いたい。これ以上言うと、本当に止まらなくなるのでやめておきますが……。
普段はギリギリで正解するようにクイズを作るのです。その方が、タレントさんもクリアしたことを本気で喜んでくれるので。
スタッフも人間なので、感じのいいタレントさんには正解して欲しいと思いますが、あまりにも手こずらせる失礼なタレントさんには、ちょっと意地悪をします。
例えば、カッコつけたイケ好かない野郎には、アホに見えるよう難しい問題を出して恥をかかせるとか(笑)。
ほかにもタレント裏話は、恋愛ゴシップや黒い話も含め、マジでいくらでもあるぞー!!
こうした話が出てくるのは、会議が深夜に及び、みんなが疲れてくるころ。
タレントの○○に聞いた話なんだけどさぁ、ある女優は共演者とすぐ✖️✖️(昭和ではチョメチョメと呼ぶ)するらしいぜ。
その女優って誰? 唇が分厚くて、よく主演はってて……なんて話に、みんな目が覚めたことがありました(笑)。
(漫画:海山優生 作:黒田順子)