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ダリの魅力と謎と
先日、大分に行きまして♨️
大分県立美術館OPAMで開催されていた
「生誕120周年サルバドール・ダリ-天才の秘密-」
展 を見ました。
(現在OPAMでは閉幕しており
次は2月8日より横浜で開催されるそうです)
サルバドール・ダリってご存知ですか?
スペイン出身の画家で
シュルレアリスム運動.......なんちゃら
って言っても、ピンとこないですよね。
口髭をコミカルにピーンと伸ばしたり
くるんとカールさせた男性と聞いてはいかがでしょう。
ここらで分かれば美術が好きな人でしょうか。
だけどきっと
ダリの事を知らなくても
作品は見たことあるはず。
例えば
時計がぐにゃーっと溶けてるような絵。
「記憶の固執」というダリの代表作。
なんか見たことある!って人も
チラホラ出てくるのではないでしょうか。
極め付けは
誰もが一度は見たことがある!
といっても過言ではない
チュッパチャプスのデザイン。
あれもダリなんです。
と、まぁ
わかったように書いてますが
かくゆう私も
ダリ展に行くまで
「ぐにゃーっと溶けた時計」しか
知りませんでした。
特別好きな画家というわけでもなかったのですが
美術の教科書に載っていた絵だし
観てみようかなと軽ーく思ったのが
キッカケで閉幕前日に駆け込みました。
そんな
前知識ゼロで行った私の感想を綴ろうと
かれこれ2週間以上......
たくさんの感動が
伝えたい興奮があるのに
いざ書こうとすると
手が止まる。
言葉が出ない。
睡魔が襲う。
まるでそれをダリから拒まれてるかのように。
それでも
これを書かないと
次に進めないような気もして。
あと、なんか悔しくて。
ダリの制止に反抗して
ちょっとだけでも書こうと思います。
不思議で不気味
ダリの絵はちょっと不思議で不気味さもある。
一つの絵の中に関連性のない
突拍子のないモチーフが描かれていたり
一つ一つは立体的に描いているのに
全体で見ると
まるで見えない箱に押し込められた
平面的な空間のように見えたり
生命を感じさせない無機質さ
温度も音も伝わらない絵。
だけどそれは(当たり前だけれど)
ダリの画力の問題ではなく
これこそが
ダリの魅せ方だという事は
数多く展示されている様々な絵を見ると分かる。
これが、シュルレアリスム?
展示されている絵の横の解説で
頻繁に見た言葉「シュルレアリムス」
初めて聞いた言葉で
帰ってから調べると
日本語では「超現実主義」
ピンとこない。
日本語で見ると
すごく現実主義で
目の前にあるものが全て
と誤訳してしまいそうだが
どうも逆らしい
無意識や夢という
現実を超えた向こう側
...と聞いても直ぐに
理解するのは難しい。
けどこの「よくわかんない」
ままでいいとする。
それがシュルレアリムスと納得させて
とりあえず次に進む
まるでAI
不思議、不気味、グロテクス。
だけどただのホラーではない。
「ダンス(セブン・ライブリー・アーツより)」
という作品は
足元に小石が四つ転がっているだけの
広大な砂漠のような地で
身体が奇妙に捻れたり伸びている
裸体の男女が描かれており
男の手が女の手首と首を握っている。
この絵の中に
実は「DALi」の文字が隠されている
との事でじっくり見ていた。
近くで見たり、離れて見たり。
そのAの部分でもある
男性の右腕が奇妙さに目がいった。
全体的に捻れたり伸びたりと
奇妙だから変に慣れて
流してしまいそうだが、
男の右腕は二本生えていた。
まっすぐ女の首を掴む手と
その右腕の途中から枝分かれで上に伸び
手首を掴む手。
対して左腕は
まるで退化しているかのように
細く捻れて弱々しい。
それを発見した私の感想は
「AIのバグっぽい」
と思った。
天才への嫉妬
AI。人工知能。
AIには不気味さがある。
リアルさを追求するほど
不気味になる
「不気味の谷」現象というものがある。
特に最近のAIの技術は凄く
その不気味の谷をも超えるような
精密さもある。
けどよく見ると
指の数が多かったり
角度的におかしい
組み合わせやシュチュエーションなどの
不自然な点も見つかる。
(いい意味でAIらしさ。
不完全な"人間らしさ"があるように
AIも完璧でないAIらしさがあった方が
可愛らしいと思う)
その人間がなかなか想像しえない
AIならではの不自然さに
時にバグレベルの壮大な不気味
それがダリの絵にはある
ダリの絵はAIっぽさがある
いや逆なのかもしれない
AIがダリっぽいのかもしれない
だって
AIよりもずっと先にダリが描いているのだから
ダリは「未来」を描いていた。
その未来で「天才」を
見せつけられた瞬間だった。
何故か悔しくなった。
「天才になるのは天才のふりをすればいい。」
ダリの言葉。
まるで伏線回収されたような気分だった。
きっとこの世を去った今でも
ダリは天才を演じ続けている。
もっと先の未来の世界を描きながら。
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