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夜半の雨|序章

あらすじ



人生において大切な決断をする時は
決まって雨の日だ。

雑音を遮断してくれる雨音に包まれながら
自身に耳を傾ける。

喉の奥底に飲み込んだ
世間体に塗り潰された本音を
雨でゆっくり洗い流し
雨音に負けない強さがあるのか
その声を聴く。

静かに。じっくり。向き合って。

背中を押してもらうかの様に。
雨に寄り添いながら。

 君は急雨きゅうう。いきなり僕の前に現れた。

 君は霊雨れいう。僕に手を差し伸べてくれた。

 君は潤雨じゅんう。僕に潤いをくれた。

 君は淋雨りんう。僕が付けた。
 ずっと傍にいてほしくて。

 だけど君は、やっぱり急雨。

 僕の前からいなくなった。


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