抄録「令和の時代に司馬遼太郎を読む」 【歴史奉行通信】第四十八号
こんばんは。
残暑の厳しい折ですが、
いよいよ読書の秋の到来です。
それでは今夜も「歴史奉行通信」
第四十八号を
お届けいたします。
〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓
1. はじめにー司馬遼太郎氏の作品から
学んだこと
2. 「令和の時代に司馬遼太郎を読む」
ー8/7の講演の抄録(書き下ろし前編)
3. 「令和の時代に司馬遼太郎を読む」
ー8/7の講演の抄録(書き下ろし後編)
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感想のお願い
5.お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会 / その他
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1. はじめにー司馬遼太郎氏の作品から
学んだこと
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この秋、タケダマキさんは
何をお読みになる予定ですか。
読書は人間を涵養(かんよう)する
血肉となります。
時間に追われる現代だからこそ
良書に親しみ、
人間的成長を遂げていきましょう。
ちなみに「涵養する」とは
「自然にしみ込むように養成する」
という意味です。
私の人間性を涵養してきた
最も大きなメディアは小説であり、
中でも司馬遼太郎氏の作品群から
大きな影響を受けてきました。
司馬さんの作品を通じて、
私は「人はいかに生きるべきか」を
学んだと言っても
過言ではありません。
具体的には、何か辛いことがあっても
「坂本竜馬なら、
こんなことでくよくよしない」、
絶体絶命の危機に陥っても
(営業での数値未達とか)
「こんな時、真田昌幸や勝海舟なら
どうするか(知恵を絞れ)」、
感情を抑えられなくなった時も
「北条早雲や西郷隆盛なら、
こんなことで怒らない」
といったことを思い出し、
司馬さんの造形した
人物たちのように考え、
そして生きようとしてきました。
こうして
『竜馬がゆく』
『坂の上の雲』
『箱根の坂』
『翔ぶが如く』
といった司馬作品は、
私のような高度成長期を生きてきた
人間の背骨となってきたのです。
さてこの8/7、姫路文学館主催の
「第21回司馬遼太郎メモリアル・デー」
で講演をしてきました。
タイトルは
「令和の時代に司馬遼太郎を読む」
です。
実は司馬さんの命日の2/12、
毎年「菜の花忌」という
大きなイベントが開催されています。
私は2015年と2017年の「菜の花忌」の
パネルディスカッションに
参加しましたが、そのご縁で、
司馬遼太郎記念館から
主催の姫路文学館に推薦いただきました。
「菜の花忌」は真冬ですが、
こちらは司馬さんの誕生日に行われるので、
暑い最中です。
それでも毎年多くの方に
おいでいただけるそうです。
今回は募集定員250人のところを、
257人の申し込みを受け付け、
実際には240人ほどの方に
いらしていただきました。
司馬作品がいかにして
高度成長期の人々の心を捉えたのか、
またなぜ今でも読み継がれるほどの
ロングライフを保っているのか、
歴史小説家として司馬作品の何が凄いのか、
どこに魅力があるのかなどを
語ってきました。
今回はその抄録をお届けします。
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2. 「令和の時代に司馬遼太郎を読む」
ー8/7の講演の抄録(書き下ろし前編)
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(自己紹介を終わらせた後)
司馬作品について語る前に、
「歴史小説とは何か」について
語りたいと思います。
まず歴史小説と時代小説の
違いについてですが、
歴史小説とは
「歴史上の事件や人物を
史実に沿って描いたもの」、
時代小説とは
「時代の舞台設定だけ借りて、
物語を自由に展開したもの」
になります。
ただしこの区分は極めてあいまいで、
諸作品が明確に分けられる
わけではありません。
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