刀剣て何だろう 【歴史奉行通信】第四十四号
登録無料の伊東潤メールマガジン『歴史奉行通信』登録はこちらから!
こんばんは。
いよいよ梅雨入りしましたね。
この季節はじめじめしていて嫌ですが、
夏は目前です。
快晴猛暑の夏を夢みて(苦笑)、
今日もがんばりましょう。
それでは「歴史奉行通信」
第四十四号を
お届けいたします。
〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓
1. はじめに
2. 刀剣って何だろう
3. 刀剣の魅力とは何か(さらに具体的に)
4. 伊東潤の好きな刀・刀工 / 楽しみ方 /
自身の刀剣小説など
5. おわりに / 伊東潤Q&Aコーナー /
感想のお願い
6. お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会 / その他
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. はじめに
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私の場合、1983年から1996年までの14年間、
ほとんどの土日にウィンドサーフィンをしに
湘南まで通っていましたが、
真夏は海陸風が吹くので、
とても楽しめる季節でした。
冬のようにオフショアで
波のフェイスがきれいにそろうわけではなく、
オンショアなので海面はぐちゃぐちゃで
風はガスティ(不規則)でしたが、
風が吹く夏が楽しみでした。
私の悪い癖は、
自分の趣向に合うものに出会うと、
つい深くはまってしまうことです。
とくにウィンドサーフィン沼と
スノーボード沼にはまりました。
それでも今になって思うと、
運動神経がピークの20代から
30代中盤にかけて、この二つの
エクストリーミング・スポーツに
出会えて幸いでした。
すでに海の描写については、
『幻海』
『巨鯨の海』
『鯨分限』
などによって存分に筆を振るってきましたが、
いよいよ雪山の描写も
『凍てつく山嶺』(「中央公論」本誌連載中)
で登場します。
1996年に36歳で
ウィンドサーフィンを引退してから、
1997年に長男が、
2000年に長女が生まれたことで、
しばしの間、私も趣味らしい趣味を持たず、
子育てに余暇を費やしました。
ところが2002年、山中城に行ったことから、
すべてが一変します。
城めぐりの趣味にはまったのです。
その後も甲冑や刀剣といったものに
興味を覚えました。
というのも歴史を仕事にするようになり、
博物館などで行われる展示会にも
足繁く通うようになり、
その「武装の美」に惹かれていったからです。
お城については
様々な機会に語ってきましたので、
今回は「刀剣の魅力」について
書いていきたいと思います。
ご存じのように、私は昨年、
「英雄たちの選択」の刀剣特集に
ゲストとして招かれ、最近では歴史雑誌の
「歴史探訪 刀特集」にも
インタビュー記事が掲載されました。
以降は、読みやすさを考慮して
問答形式にします。
なお、以降の記事は
「歴史探訪 刀特集」の記事とは
全く違います。
というのもこの記事は、
「英雄たちの選択」出演時の準備で
書いたものだからです。
「英雄たちの選択」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2. 刀剣って何だろう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
古墳時代から明治維新に至るまで、
刀剣は相手を殺傷する武器というより、
信仰の対象として、
また贈答品としての役割の方が大きかった
(武士の主武器は弓矢と槍)。
そうした伝統から、
刀剣には「魂が宿っている」とまで言われ、
江戸時代に至り、
武士の精神性の象徴のように扱われた。
刀剣の持つ魅力の第一は、
日本刀が世界でも類を見ないほど
強靭なことだ。
日本刀が
「折れず、曲がらず、よく斬れる」理由は、
玉鋼(たまはがね)を使い、
何回も折り返し鍛錬し、
強靭な地金(じがね)を作り出す
工程の複雑さによる。
この工程は、刀工の腕によって差が出るので、
それも魅力の一つになっている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?