大河ドラマの楽しみ 【歴史奉行通信】第五十五号
こんばんは。伊東潤です。
今夜も「歴史奉行通信」第五十五号を
お届けいたします。
〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓
1. はじめにー冬になれば思い出すものは?
2. 「大河ドラマ応援メッセージ 伊東潤」
(2016年4月発刊のNHK出版の小冊子掲載)
3. 「大河ドラマは王道に戻れ」
(文藝春秋2016年7月号掲載)
4. 大河ドラマの魅力とは
5. おわりに / 伊東潤Q&Aコーナー / 感想のお願い
6. お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会 / その他
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1. はじめにー冬になれば思い出すものは?
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寒くなってきました。
いよいよ本格的な冬の到来です。
冬と言えば暖かい中華料理ですね。
私は生まれ育ちも横浜の中心部なので、
子供の頃から中華街によく行っていました。
今でも家族や友人としばしば行っていますが、
生き残っている老舗は、
どの店も実においしいです。
とくに私はあっさりした広州料理が好きで、
その中でも広東風のねっとりしたお粥は
大好物です。
ぜひ冬は中華街にお越し下さい。
温かいお粥やスープが待っていますよ。
さて、来年の大河ドラマは明智光秀が主役の
『麒麟がくる』です。
例の事件もあって俄然脚光を浴びる
大河ドラマについて、今回は語ろうと思います
(光秀については来年のメルマガで語ります)。
まずは、過去に大河ドラマについて依頼された
エッセイから掲載します。
最初のものは「大河ドラマ検定」が始まった時、
歴史小説家の代表として
メッセージを依頼された時のものです。
この時は、西田敏行氏をはじめとした
各界の著名人と一緒にメッセージが
小冊子に掲載されました。
続いて少し辛口のものを掲載します。
これは
「昨今の大河ドラマに苦言を呈してほしい」
というリクエストに応えたものです。
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2. 「大河ドラマ応援メッセージ 伊東潤」
(2016年4月発刊のNHK出版の小冊子掲載)
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小学生の時、『新・平家物語』を見て、
その面白さの虜になった私は、以後、
ほとんどの大河ドラマを見続けている。
拙著には
敗者や滅びをテーマにしたものが多いのも、
やはり最初に見た『新・平家物語』の
インパクトが強かったからだと思う。
とくに『国盗り物語』は忘れ難い作品だ。
高橋英樹氏演じる織田信長の素晴らしさは、
今でも鮮烈に記憶に残っている。
また『黄金の日日』は、
大学一年の時に見たこともあり、
市川染五郎氏演じる呂宋助左衛門をはじめとした
青年たちの夢や志を自分に重ね合わせ、
以後の人生において、生きる指針になった。
ただし過去の大河ドラマについては
記憶もあいまいになり、
誤解していることも多い。
同時代を扱っているものも多くなるので、
どのドラマにどの役者さんが出ていたかなど、
間違って記憶してしまうこともある。
それを正しく伝えていく意味でも、
大河ドラマ検定を行う意義がある。
(本文終了)
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続いて2016年の6月に
「文藝春秋」本誌の依頼で書いた
大河ドラマへのメッセージです
(文藝春秋誌7月号掲載)。
この特集は大河ドラマを叱咤激励する
といった趣旨だったので、
ちょっと辛口です(苦笑)。
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3. 「大河ドラマは王道に戻れ」
(文藝春秋2016年7月号掲載)
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われわれエンタメ系作家は、
日々、面白い小説を書こうと奮闘している。
もちろん面白さの感じ方は
人それぞれ違うだろう。
しかし狭義の意味での面白さ、
すなわちスリリングな展開によって
読者がページをめくる手を止められない面白さこそ、エンタメ系作家の多くが追い求めて止まないものだ。
作劇を仕事とする者は、ストーリーを考える時、
読者のすべてが自分よりも賢く、
この世のすべての物語を知っている
という前提で掛からなければならない。
読者のレベルを勝手に想定し、
「まあ、こんなもんで満足するだろう」
と思った瞬間、物語は死ぬ。
少なくとも一流と呼ばれる作家に、
そうした者はいない。
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