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『歴史作家の城めぐり』の魅力(前編)  【歴史奉行通信】第三十一号

こんばんは。
いよいよ今年もあと一ヶ月ですね。

今月は「お城めぐり」オフ会や
読書会、お城EXPO登壇など
イベントが盛り沢山なので、
残り一ヶ月を駆け抜けたいと思います。

それでは
伊東潤メールマガジン
「第三十一号 歴史奉行通信」を
お届けいたします。

〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓

1. コルクラボ文化祭を終えて〜
お城EXPO演題決定!

2. 『歴史作家の城めぐり』
はじめに ~城めぐりの楽しみ~

3. 感想 / SNS投稿ご協力のお願い /
Facebookファンページのお知らせ

4. 伊東潤Q&Aコーナー

5. お知らせ奉行通信

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1. コルクラボ文化祭を終えて〜
お城EXPO演題決定!

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11/24に行われた「コルクラボ文化祭」は、
たいへんな盛り上がりでした。

これだけのイベントを
課外活動(仕事以外)でやってしまう
ラボの面々には、頭が下がる思いです。
私も一気に若返った気分です(笑)。

文化祭の中で行われた私のプチ読書会は、
参加者の皆様と一緒に、
楽しくて充実した時間を
過ごすことができました。
写真はこちらから↓
(同じく文化祭に参加していた
『漫画 君たちはどう生きるか』の
羽賀翔一先生が描いた私との2ショット)
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobE

さて、話変わって今年も
「お城EXPO」の季節がやってきました。
例年通り、12/22~24の3日間、
パシフィコ横浜で開催されます。
(詳細は5.お知らせ奉行通信を
ご覧ください)

私の出番は、
24日の11:00から12:30の
「厳選プログラム」の一つとなります。
演題は「関東戦国史と城郭攻防戦」です。

「関東の合戦史を俯瞰しつつ
城郭攻防戦の実際を探る」
という大風呂敷を広げています(汗)。

さて今回のメルマガは、
同月14日に発売されるお城のガイド本
『歴史作家の城めぐり』をベースにして、
語っていきたいと思います。

今回は本書の冒頭部分を全文掲載します。

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2. 『歴史作家の城めぐり』
はじめに ~城めぐりの楽しみ~

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<城ってなに?>

皆さんは城というと、
どのようなイメージをお持ちですか。

おそらく一般の方は、
大坂城、姫路城、熊本城のような
石垣造りの天守台の上に載った
大天守を思い浮かべるのでは
ないでしょうか。

確かに天守は城の顔でもありますが、
実は城の構成要素の一つなのです。

城には堀があり、
土塁や石垣があり、
さらに天守以外にも
多くの建築物があります。

これらを総称して城と呼ぶのです。

さすがに最近は少なくなりましたが、
十年ほど前までは、
大多数の方が城といえば
天守だと思い込んでいました。

現に十五年ほど前、
初めて八王子城に行った時、
高尾駅で八王子城跡行きの
バス乗り場はどこか聞いたところ、
駅員さんに
「八王子に城はありません」
と断言されました。

それ以前の城跡に対する認識は、
もっとひどかったと思われます。
日本に三万以上あったと言われる
城跡の多くは、昭和の高度成長期に
壊されてしまいました。

当時は歴史的遺物の保存など、
官民共に
歯牙(しが)にも掛けていなかったからです。
それゆえろくな調査もせずに、
多くの遺構が消滅しました。
その中には、縄張りが
永遠の謎になってしまった城もあります。

例えば玉縄城ですが、
この城には昭和三十五年の
空撮写真があります。
それを見ると、この時は、
ほぼ完存状態でした。
ところが、そこに学校を作ってしまったため、
遺構のほとんどが
破壊されてしまったのです。
これは一概に学校が悪いわけではなく、
当時の日本人に
遺構保存意識がなかったために
起こってしまった悲劇なのです。

こうした背景を踏まえ、
まずは城について
整理して考えていきましょう。

<城が築かれた時代とその目的>

城とは、いつ築かれたのでしょうか。

狭義の意味の城とは、
「敵を防ぐために土を盛って造った
土木構築物」となります。
その定義に従えば、
弥生時代の環濠集落も城と呼べるでしょう。

また平安時代でも、
武士の居館はもちろん、
敵の進撃を食い止める目的で
一時的に造られた木柵や阻塞といった
防御施設も城と呼ぶことができます。

鎌倉時代末期から室町時代にかけても、
城らしきものを拠点として戦った
という記録はありますし、

幕末でも長岡城・会津城・五稜郭などを
舞台に激しい攻防戦がありました。

明治維新後も、
熊本城や人吉城を舞台にした
近代戦が行われています。

それでも戦国時代の
城郭攻防戦の数には敵いません。
国内三万余と言われる
城の大半が造られたのも、
室町時代末期から
江戸時代初期にかけてです。

その長い築城史の中で、
太田道灌・馬場信春・
藤堂高虎・加藤清正
といった城取り(築城家)
の名人も現れました。

それでは、
彼らが全知全能をめぐらし、
城を造った目的とは
何だったのでしょう。

「敵を防ぐためだろう」
とお考えの方が大半だと思いますが、
実は、城の用途は多岐にわたります。

代表的なものだけでも、
防衛拠点、
侵略拠点、
監視所、
狼煙場、
交通遮断拠点、
補給基地、
宿泊施設、
関所、
船舶停泊地
などがあります。
しかも、これらの役割が
一つだけ課されているわけではなく、
複数の役割を課されている
城もあるのです。

<城の魅力とは何か?>

城の魅力を語るのは
容易ではありません。大半の方が、
「天守のない城なんて、
どこに魅力があるのか」と
お思いでしょう。
しかし最近では、多くの方が
天守のない土だけでできた城に
詰めかけています。

なぜなのでしょう。

多くの人の話を総合すると、
遺構を見て戦国時代の人々の
息吹(いぶき)を身近に
感じられることが魅力のようです。

わたしの場合は何かと言うと、
四百年以上の歳月を
隔てているにもかかわらず、
そこに人の意思が感じられる点に魅かれます。

なぜ、ここに堀切(尾根筋を断ち切る堀)や
竪堀(山の斜面に対し縦方向に掘られている堀)
を入れているのか。
また、土塁や馬出(城の出入口を守る小曲輪)を
築く必要があったのか。
そうした築城者の意図が、
遺構を見るだけで伝わってくるところに
強く魅かれるのです。

また城というのは、
自然地形と妥協しながら
造っていくものなので、
一つとして同じものがありません
(平地に築かれる方形居館は別ですが)。

さらに経済力や駆り出せる労働力との
兼ね合いもあるので、
それらを考えて造ることになります。

こうした限られた条件下で、
いかに効果的な防御構造を
追求していくかという苦心の痕跡を
見るのが面白いのです。

(「はじめに」終了)

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3. 感想 / SNS投稿ご協力のお願い /
Facebookファンページのお知らせ

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『歴史作家の城めぐり』は、
「浜銀ベストパートナー」という
横浜銀行関連企業の月刊誌に
24回にわたって連載されたものです。
それゆえ本書は、
横浜や東京からのアクセスを考慮し、
関東一都六県と
静岡・山梨・長野三県の10都県に限定して、
お城ファンなら「死ぬまでに行くべき」
46城(紙本だと35城)をチョイスしました。

プロの城郭研究家が陥りがちな
縄張り研究オリエンテッドなものではなく、
読み物として面白く(一次史料をベースに、
致し方ない場合のみ軍記物などの二次史料を
元に書いています)、
またガイド本として
実用性の高いものを目指しました。
それゆえ、よくある城本ではなく、
伊東潤でしか書けない城本に仕上がったと
自負しています。

ぜひ、お手に取っていただきたいと
思っています。

************

さて、いかがでしたか。
皆様も、お城めぐりを
したくなったのではありませんか。
そうした読者のために、
「伊東潤の読書会」では、
お城めぐりオフ会(初心者向け)を
年二回ほどのペースで企画していきます。

第一回は、
12/8日帰り「小田原城めぐり」です。
残念ながら今回は
満員となってしまいましたが、
次回はぜひいらして下さい。
(次回は、来年五月のGW明けの
土日を予定しております。)

最後に皆様にお願いです。
このメルマガの感想などを
ツイッター等のSNSに上げて
いただけないでしょうか。
尚、アップいただく際は
「#歴史奉行通信」
「#伊東潤メルマガ」
のハッシュタグをつけてください。

とくに今回は
「あなたの好きなお城」についての
感想などをお寄せいただければ
幸いです。

伊東潤のメルマガ
「歴史奉行通信」は、
読者の方々の意見を取り入れながら
内容を変えていきます。

ご意見やご希望、
また質問もどんどんお寄せ下さい。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobF

また、伊東潤のファンのための
Facebookグループ、
「評定衆(ひょうじょうしゅう)」が
オープンしました。
ファン同士の会話を楽しみたい方や、
ニュースをいち早く知りたい方は、
是非こちらよりご参加ください。
私も不定期で登場します。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobG

では、また!

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4. 伊東潤Q&Aコーナー

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最近は、質問だけでなく、
メルマガへの感想も多くなってきました。
有難うございます。

Q.
いつも楽しみに読んでいます。
伊東様の年末年始の過ごし方など
知りたいです。
(猪苗代様)

A.
お恥ずかしい話ですが、
いつもと変わらない日々を過ごしています。
仕事が詰まっていれば
年末年始も仕事をしますし、
さほどでもなければ録画してあった
映画などを見ます。
つまらない答えで申し訳ありません。
(伊東潤)

***************

いつもご質問をはじめ、
ご意見、感想をいただき
有難うございます。

インタラクティブを心がけている
伊東潤のメルマガでは、
皆さまからの質問に最大限にお答えします。
是非お気軽に以下のリンクより
お送りください。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobH

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5.お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会 / その他

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【新刊情報】

☆『歴史作家の城めぐり』(プレジデント社)
12月14日発売予定

【電子版特典】
紙本の35城収録に対し、
電子版では46城を完全収録!

紙本では白黒ページになるイラストが、
電子版では46城すべてをカラーで掲載!
詳細は伊東潤のHP「恐々謹言」の作品ページをご覧下さい。
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☆『天下人の茶』文庫版(文藝春秋)
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絢爛豪華たる安土桃山文化の
主座をしめていた茶の湯。
その文化を創出した男・千利休と
現世の支配者となった
豊臣秀吉との相克は、
利休が秀吉に切腹を命じられた
ことによって終わりを告げた。
果たしてこの争いの裏には
何が隠されていたのか――。
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☆『日本史の新常識』(文藝春秋)
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日本史の転換点となった出来事や
時代をつくった人物について、
伊東潤ら28人の執筆陣が
最新の研究成果をもとに
新たな論点を提示する一冊です。
伊東潤は、北条政子を執筆。
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☆『男たちの船出』(光文社)
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感動必至──魂を込めた渾身の長編時代小説。
詳細は伊東潤のHP「恐々謹言」の作品ページをご覧下さい。
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また、先週よりcakesで『男たちの船出』の
連載が始まりました。
毎週火・木更新でなんと全文掲載!

まだの方は是非こちらもチェックください。
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【読書会・主催イベント情報】
現在予定している、
読書会および主催イベント情報一覧です。

12月8日
第1回「城めぐりオフ会」
小田原城日帰りツアーが
ついに実現 (懇親会も現地で予定)。 
おかげさまで完売となりました。
御礼申し上げます。

12月15日
第12回「伊東潤の読書会」は、
来年二月発売の『真実の航跡』が題材。
詳細やチケットはこちらから
お申込みはまだ間に合います!
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobT

2019年
2月
第13回「伊東潤の読書会」は
第2回「ファンベース・セッション」の予定。

4月
第14回「伊東潤の読書会」は
連作短編集『家康謀殺』が題材。

5月
第2回「城めぐりオフ会」
『武田家滅亡』1泊2日ツアーを計画中。
一日目 : 新府城・武田八幡宮・躑躅ヶ崎居館・甲府城・恵林寺(宿泊は石和温泉)
二日目 : 勝沼氏館・天目山方面(大善寺・四郎作古戦場・鳥居畑古戦場・景徳院・栖雲寺)

6月
第15回「伊東潤の読書会」は
『潮待ちの宿』のプレビュー読書会を予定

【TV / ラジオ出演情報】
NHKラジオのレギュラー放送は、
いつも通りあります。
私の担当は土曜日で隔週です。
だいたい朝の7:30から始まります。
今は第二と第四土曜になります。
「マイあさラジオ」
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobU

【講演情報(*主催イベント以外)】
12/24(月)「お城EXPO」
伊東の講演は11:00~12:30
「関東戦国史と城郭攻防戦」
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bbgVaadJve2moobV

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