アフターコロナの時代を生きる 【歴史奉行通信】第八十六号
こんばんは。伊東潤です。
いよいよ過ごしやすい季節になってきました。
暖かくなると、なぜかすべてがよい方向に向かうような気がします。
しかしまだまだ油断は禁物。コロナは「これくらいならいいだろう」という油断から感染すると言われています。
さて今回は全編書下ろしで大作エッセイをお届けします。
題して「アフターコロナの時代を生きる」。
私も文壇の末席に連なる一人として、コロナによる社会の変化を総括せねばならないという思いから筆を執りました。
それでは今夜も、歴史奉行通信 第八十六号をお届けします。
〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓
1. 「アフターコロナの時代を生きる」
ーはじめに / アフターコロナの時代の日本と中国
2. 「アフターコロナの時代を生きる」
ーGAFAMの支配と米国
3. 「アフターコロナの時代を生きる」
ーアフターコロナの時代の国内産業と社会
4. 「アフターコロナの時代を生きる」
ーアフターコロナの時代の文芸
5. おわりに / 感想のお願い
6. お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会情報 / Voicy・ラジオ出演情報
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1. 「アフターコロナの時代を生きる」
ーはじめに / アフターコロナの時代の日本と中国
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■はじめに
コロナ禍によって世界が大混乱に陥った2020年でしたが、2021年になっても混乱は続いています。
ワクチンによってコロナ禍が終息すれば、元の社会や生活が取り戻せると思っている方は少ないと思いますが、
本稿では社会や生活がどのように変わっていくのか、さらにアフターコロナの時代に求められる文芸作品とは何か、
また物語の果たす役割について語っていきたいと思います。
■アフターコロナの時代の日本と中国
今回のコロナ禍ではっきりしたのは、国民の健康こそ国家の最重要財産であり、それを守るために、為政者は全力を尽くさねばならないということです。
だからといって同時に経済的困窮も防がねばならず、為政者たちはその矛盾に苦慮することになりました。
つまりコロナの蔓延を防ぐための非常事態宣言をやむなしとすれば、限界なしの財政出動もやむなしということです。
しかしそうなれば、国家の公的債務は拡大し、それが将来的に国民の大きな負担となるのは歴然です。
地震の多い日本は災害対策もやらねばならず、
また高齢者と生活保護世帯の増加によって社会保障費は異常なまでに跳ね上がるので、国家のさらなる債務超過は避けられません。
かつての復興税のように、なりふり構わず税金を取れるところから取るしかなくなるかもしれません。
つまりアフターコロナの時代の実害としては、まず税金の増加が考えられます。
しかしテレワークが盛んになれば、どこでも仕事のできる知識階級の富裕層は、税金の安いシンガポールなどに移ります。
そうなると中流層から税金を絞り取ることになるので、中流層が崩壊し、一握りの富裕層と多数の貧困層という二極化が進みます。
つまり中流階級の中抜けによる極度の格差社会が出現するのです。
こうして生まれた格差社会はポピュリズムと孤立主義を生み、そうした国家エゴイズム剥き出しの風潮が、さらに国家の体力を奪っていきます。
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