どこでもいる「お局」に制裁する法律的対処法~判例~

パワハラに対する損害賠償請求と判例

パワハラによって被害を受けた場合、被害者は慰謝料や治療費、逸失利益、休業損害を請求することができます。これらの賠償金は、パワハラの程度や被害者の被った精神的・肉体的影響に基づいて決まります。以下に、法的根拠、賠償金の目安、過去の判例を織り交ぜて説明します。

1. 慰謝料

慰謝料は、精神的な苦痛に対する賠償金です。パワハラが原因でうつ病などの精神的障害が発症した場合、被害者は慰謝料を請求できます。パワハラの内容が軽度であれば数十万円、深刻な精神的被害があれば数百万円に上ることがあります。

判例:
ある事例では、上司からの長期間にわたる嫌がらせや暴言によりうつ病を発症した労働者が、300万円の慰謝料を受け取ったケースがあります(東京地方裁判所、2014年)。この事例では、被害者が精神的に深刻な影響を受けたことが認められ、パワハラを行った上司の行為が「不法行為」に該当するとして、慰謝料が認められました。

2. 治療費(医療費)

精神的または身体的な障害が発生した場合、治療にかかる医療費も賠償対象となります。例えば、うつ病やストレス障害による治療費、通院費用などです。

判例:
別の事例では、パワハラが原因でうつ病を発症した労働者が、治療費として50万円以上の医療費を請求し、裁判所はその支払いを認めました(大阪高裁、2016年)。被害者が精神的に深刻な影響を受け、医療機関での治療が必要と判断されたため、この金額が賠償金として認められました。

3. 休業損害

パワハラが原因で精神的に追い込まれ、仕事を休まざるを得ない場合、その期間の収入損失を賠償金として請求することができます。休業損害は、休業期間中の給与の支払いが行われなかった場合に、給与の相当額が賠償されます。

判例:
あるケースでは、パワハラによって労働者がうつ病を発症し、2ヶ月間仕事を休んだ結果、その間の給与約60万円が休業損害として賠償された事例があります(名古屋地裁、2017年)。このケースでは、パワハラが業務に対して支障を来し、労働者が実際に休業した期間に対する賠償が認められました。

4. 逸失利益

逸失利益は、パワハラが原因で再就職が困難になった場合や、将来的に得られるべき収入を失った場合に請求される賠償金です。たとえば、昇進や転職が困難になる場合に、その損失額を算定して賠償を請求します。

判例:
ある判例では、パワハラが原因で被害者が退職せざるを得なくなり、その後の再就職も難しくなった事例があります。この場合、逸失利益として数百万円が認められました(東京地裁、2015年)。再就職の見込みが立たず、将来的に得られるべき収入が失われたことが賠償金として補償されました。

5. 損害賠償金の総額の目安

パワハラによる損害賠償金は、慰謝料、治療費、休業損害、逸失利益を総合的に計算して決定されます。過去の判例を参考にすると、パワハラに対する賠償金額は次の範囲となることが多いです。

  • 軽度のパワハラ: 100万円〜200万円
    短期間の精神的苦痛や軽度の職場内での嫌がらせが原因の場合でも、慰謝料や治療費、休業損害が合算され、100万円程度が相場となります。

  • 中程度のパワハラ: 200万円〜500万円
    長期間にわたるパワハラや、精神的・身体的な被害が続いた場合、賠償金は200万円〜500万円程度となります。

  • 重度のパワハラ: 500万円〜1000万円以上
    精神的、身体的な重大な影響を受け、再就職が困難になった場合や、キャリアや生活に深刻な損害が生じた場合、賠償金が500万円以上、場合によっては1000万円を超えることもあります。

6. 法的根拠

パワハラに対する損害賠償請求には、いくつかの法律が関係します。まず、**パワハラ防止法(労働施策総合推進法の一部改正)**は、企業に対して職場内でのパワハラ防止措置を義務づけています。また、民法第709条では、不法行為に基づく損害賠償請求が可能であり、精神的な苦痛に対して慰謝料を請求することができます。さらに、労働基準法第3条では、雇用者に労働者の安全と健康を守る義務があることが定められています。


結論

パワハラによる損害賠償金は、被害の内容や状況によって異なりますが、軽度のパワハラでも100万円程度、中程度や重度のパワハラでは数百万円の賠償金が支払われることが多いです。過去の判例を参照すると、慰謝料や治療費、休業損害、逸失利益を総合的に請求することで、パワハラに対する賠償が認められています。損害賠償請求を行う際には、証拠を集め、弁護士と相談して法的手続きを進めることが重要です。

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