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花ざかりの校庭 第1回『意固地』
書きかけの項目から、こっちに移します。
(2021.jan 11th)
第一回
プロローグ
彼女は本来、意固地な生活ではなかった。
孤独の色合いがそのようにしてしまうのだ。
清美はそんな麻里をどんな具合に扱っていいのか、わからなくなっていく。
麻里ちゃん、なんで貴女そんなふてくされてるの?
清美の前で、麻里はいつもそうだった。
夕食のパスタ。
なんでさきまって、パスタなの?
決まって麻里は一人、機嫌を損ねる様になった。
麻里の母は言った、
「貴女、不貞腐れたような顔するのやめなさい」
「えっ?そうなの」
中間テストが終わった金曜日の晩のこと。
マンションの食卓でのこと。
三者三様の思惑が交錯する。
嫌みを言う母、開き直る義理の姪。
妹の智恵は二人の会話を用心深く聞いていた。
清美が引き合いに出してきたのは、伯父の話である。
伯父さんが彼女達の住む、マンションにやって来た。
何故か麻理はこの伯父さんが好きになれなかった。
自分でも驚くほど、無愛想に振る舞ってしまう。
こんにちは、の一言を言ったきり、何も会話ははずまなかった。
智恵が、母の留守宅で、伯父に、やれ今日はよい天気だとか、今年のセ・リーグは中日ドラゴンズが優勝ですね、とか、親戚の誰それは短大に進学するとか、自分ももう少し頭が良かったら、国公立を受けたいとか。
最大公約数の話題で伯父と会話していた。
この伯父さんと智恵との世間話の最中、麻理はずーっと聞き耳を立てていたが、天気以外は何も興味をかきたてるものがなかった。
この間、麻理は舌打ちをしてしまった。
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