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花ざかりの校庭 第35回 『パールピンク②』
ストイックなグレーのスーツの下に着たアイボリーのブラウス。
わずかに透けたスリップ。
福山は少し赤くなった。
高志が夢中になるのは当たり前だろう。
浅子はそんな福山をまえにして、笑顔を崩さない。
もし、智恵が福山のいだく妄想に気づけば、彼女はすぐに過敏な反応をするだろう。
しかし、浅子はたしかに違った。
大きく受け止めてみせる。
男がそういうことを考えることは当たり前だから……。
「……出よう?」
浅子は弟にいうように彼に言った。
福山は浅子に見透かされているのはわかっていた。
少し浅子は赤くなっている。
真珠のようなピンクの口紅が可愛らしく光っている。
彼女は福山の手にしていた紙袋を手にして、先に立つ。
「……今、着いたばかりなんだ?」
浅子は微笑んでいた。
「はい」
「この先にビアホールがあるから、付き合ってくれる?」
「……あっ、はい!」
男がいつも異性にたいして抱いてしまう、妄想……のことだ。
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