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花ざかりの校庭 (書き直し)

「もう来てるわけ?」
麻里はドアをチェーンを外した。
「あたりー!」
しおんがショッピングバッグを差し出す。「どうせ今から頑張っても明日の試験に影響はないでしょう!」
なるほど、それは言える。「どうぞ」と麻里は彼女を招き入れる。
しおんは「これね」と言って差し入れを麻里に渡した。中には『倉木商店』という荒いフォントのロゴみたいなのがプリントされた紙袋が入っていた。
ドアを開くと肌寒い外気が入ってくる。
霧がかかっているのだ。
しおんが部屋のなかに入ってくる。
「あっ」
と、しおんが声をあげた。
眼鏡が曇っていた。
麻里は寝間着にしていたジャージの匂いに気づいた。
つまり、男の匂い…?
ヤバい。
「ちょっと着替えてくるから」
麻里は洗濯機のあるユニットで替えのジャージーに着替えた。
なんという敏感さだろう……。麻里がLDKに戻るとしおんがぼんやりと突っ立っている。
顔が赤くなっていた。
「私、思うんだけど。芳香剤、おいておいたほうがいいね」
「……はい」
子犬のように鼻をくんくんさせている。「バレバレよ」と、歌うように呟いた。
「……彼の匂い」
「ちょっと、やめてよ」
しおんはニヤニヤしている。「あの夜、二人の関係は進み……」
「やめろ、しおんっ!明日は試験……なの」
「ねぇ、浅子さんは?」
「いない、外を見たらわかるでしょ?」
しおんはベランダの外を見た。
「ホント、フィアットないね」
紙袋からクラブサンドを出してくる。
「あの人、お金持ってそうだから…、ねぇ?」
眼鏡の奥で彼女は意味ありげに笑っている。
「何?」
「ついでに卒業したら浅子さんにあのクルマも譲ってもらえばいいんじゃないかな?」
「……バカな」

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淳一
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