恋の終わり
一か月ほど前、僕は彼女と破局した。
交際期間はちょうど2年半。学生時代にアルバイトで知り合った。
過去を振り返ればたくさんのことがあったが、たいしたことはあまりない。
何もない部屋でただ一緒にいる時間がとても幸せだった。
本当はもっと旅行をしたりいろんな経験をして思い出を作りたかった。就職してお金に余裕が出来たらいつかはと後回しにしていたのが僕の後悔である。
お互いに学校を卒業し就職すると二人で過ごす時間は減っていき、今思えばこの瞬間からだんだんとすれ違いが始まっていた。
卒業後、無意識のうちに別々の道を歩んでいく中で、いつか来る別れから僕は目をそらし続けていたのかもしれない。
あの時、こうしていたら変わっていたかもしれない。
そんなことを何度も考えた。
最後は数秒間彼女を抱きしめて、寂しそうな顔で手を振って別れを告げた。
これが最後だと分かっていながらどうすることもできずに最後の時間を過ごし、気づけば手を振っていた。
ゆっくりと落ちていく砂時計の砂が最後の瞬間だけ妙に早く落ちていくように感じるそんな感覚だった。
「ありがとう。ずっと大好きだったよ。」
普段は冷静沈着で何を考えてるのか分からないと周りに言われるような性格の僕だが、この時だけは涙が止まらなかった。
それだけ、心に突き刺さるようなそんな言葉だった。
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