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文化芸術活動の継続支援事業 不自然な採択結果
文化芸術関係団体の積極的取組等の必要経費を支援する「文化芸術活動の継続支援事業」。2021年2月28日までに公演等の活動を実施することが支援条件であるにもかかわらず、3月に入っても8000件が審査中であり、申請者としては既に公演は終了したのに経費を補助してもらえるのか分からない異常事態が続いていた。しかも、3月15日の参議院予算員会にて審査中の約8000件のうち約6000件がわずか1週間で不交付決定されたことが明らかになり、文化芸術関係者から多くの批判の声があがった。
*当日の質疑の詳細については、下記の動画および記事を参照
本記事では、上記の国会質疑の内容も踏まえて、「文化芸術活動の継続支援事業」の採択結果について公表値をもとに状況を整理し、不自然な点や不明点を指摘していく。
採択結果の推移
文化庁Webサイトで公表されている2020年12月11日〜2021年3月12日の各日の採択結果を整理すると、上記の折れ線グラフのようになる。
不交付(赤線)に着目すると、年末から2月1週目までは2週間に1回ほどのペースで約100〜300件が公表されていたが、2月19日に一気に2000件が公表され、さらに活動の実施期限である2月28日を過ぎた後、一気に約7800件が公表されている。
あたかも実施期限が過ぎるまで待った上で、溜めていた審査案件をまとめて不交付にしたかのような不自然な推移を不交付(赤線)の折れ線が描いている。
<不明点>
・3月12日の不交付の件数はなぜか文化庁Webサイトに記載されていない。(2021年3月20日時点) そのため、折れ線グラフでは同年3月15日の萩生田大臣答弁「約6,000件が不交付決定」を概算値として引用している。
・2020年12月10日以前の推移は、文化庁Webサイトに記載が見当たらず、不明のため未記載。公表されている累計件数との差分から判断して、交付 約40,000件、不交付 約200件、取り下げ 約200件が2020年12月11日以前に公表されたと見込まれる。
採択結果の比率
文化庁Webサイトで最終的な累計値として公表されている採択結果を整理すると、上記の円グラフのようになる。
「不交付」と「取り上げ」を合算した16,000件以上の申請者は支援を受けられなかったことが分かる。
<不明点>
・3月15日に萩生田文科大臣は「現在17件が審査中」と答弁したが、その17件の採択結果が不明。 文化庁Webサイトに「3月12日の交付決定に伴う審査をもって終了」と記載のため、17件全てが不交付決定された? その場合、17件は不交付11,953件の内数?
・採択結果の計96,312件は、なぜか申請件数96,304件より8件多い。採択結果よりも申請数が多いのであれば未採択が残っている可能性もあるが、採択結果の方が多いため理由を含めて不明。
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更新履歴
2021/3/20 19:48 新規作成
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