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視聴率テコ入れのため、途中から巨大化した、シルバー仮面

昭和時代の特撮テレビドラマ「シルバー仮面」は、1971年から1972年にかけて放送された作品で、視聴率の低迷を打開するために、途中から巨大化するヒーローという斬新な展開を取り入れました。

このドラマは、当初は等身大のヒーローものとしてスタートしましたが、視聴率が期待に応えられない状況にあったため、第11話から巨大ヒーローものに路線変更され、タイトルも「シルバー仮面ジャイアント」に改められました。

「シルバー仮面」の物語は、光子ロケットの設計者である春日博士が宇宙人に殺害された後、彼の遺児たちが父の遺志を継ぎ、光子ロケットを完成させるために奮闘するというものです。

途中、主人公の一人がシルバー仮面に変身する能力を持っていることが明かされ、宇宙人との戦いが繰り広げられます。しかし、視聴者からの反応は芳しくなく、番組は視聴率の向上を図るために大胆な変更を余儀なくされました。巨大化というアイデアは、当時としては非常にユニークであり、特撮ドラマの新たな可能性を示唆するものでした。


この変更は、特撮映像制作会社・日本現代企画の初の特撮テレビドラマとしての意欲的な試みであり、TBSプロデューサー橋本洋二の意向により、アメリカのドラマ「逃亡者」の設定を参考にしたアダルトタッチのドラマ作りが行われていました。しかし、視聴率の面では成功を収めることはできず、全26話で終了しています。

「シルバー仮面」は、その後も再放送される機会が少なく、長らく「幻の作品」として語られることが多かったですが、映像ソフトの発売などにより、放送当時は児童だった視聴者が大人になってから見返すと、「大人になって見返しても面白い作品」として評価されるようになりました。特撮ファンの間では、その異色性が高く評価され、カルト的な人気を誇る作品となっています。

「シルバー仮面」の試みは、視聴率という厳しい現実に直面しながらも、クリエイティブな挑戦を続けた昭和特撮の歴史の一ページとして、今もなお多くのファンに愛され続けています。この作品が示した冒険心と、時代を超えた魅力は、特撮ドラマの可能性を広げる貴重な遺産と言えるでしょう。

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