大卒男性は9割が結婚しているが、大卒女性の3割が生涯未婚。荒川和久氏。
日本における学歴と結婚率の関係性についての考察
日本社会における結婚のパターンは、多様な要因によって形成されています。特に学歴が結婚率に与える影響は、社会学者や研究者の間で広く議論されているテーマの一つです。
荒川和久氏によると、大卒男性の約9割が結婚しているのに対し、大卒女性では約3割が生涯未婚であるというデータがあります。この統計は、日本における性別と学歴に基づく結婚率の格差を示唆しています。
荒川氏の研究によれば、男性の生涯未婚率の上昇は、女性の結婚に対する意識の変化に起因する部分が大きいとされています。
1972年から43年間のデータを分析した結果、結婚に前向きな女性の割合が約7割から約5割に減少し、結婚に後ろ向きな女性の割合が14%から47%へと増加していることが明らかになりました。
この変化は、日本の結婚観の変遷とも密接に関連しています。1990年代以降、生涯未婚率が急上昇し、それまでの「皆婚時代」から「未婚化」が進む社会へと移行していったのです。
婚姻数の減少は、経済的な要因、女性の社会進出、価値観の多様化など、複合的な理由によるものと考えられています。
学歴が高い女性の未婚率が高いという現象は、女性の社会的地位の向上やキャリア志向の強さ、パートナーに求める条件の高さなど、さまざまな社会的要因が絡み合っていることを示しています。
また、男性の未婚率の上昇と女性の結婚意識の変化は、互いに影響を及ぼしている可能性があります。
このような統計は、単に数字として捉えるのではなく、背後にある社会的な文脈や個人の価値観、生活スタイルの多様性を理解するための重要な手がかりとなります。
結婚というライフイベントを取り巻く環境が変化する中で、個々人の選択が尊重される社会をどのように形成していくか、今後の日本社会にとって重要な課題と言えるでしょう。
荒川和久氏の研究は、日本における結婚率の変動を理解する上で貴重な洞察を提供しています。彼の分析は、結婚に関する意識の変化や社会的な要因を考慮に入れた上で、未婚化の進行をどのように捉え、対応していくべきかについて、深い考察を促します。
参考文献:
: 男の生涯未婚率をあげた「女性の43年間の意識変化」|荒川和久
: 生涯未婚率「学歴」だけでこうも違う過酷な現実|荒川和久
: 「学歴別男女の未婚率の差」大卒男性は9割が結婚しているが、大卒・大学院卒の女性は3割が生涯未婚|荒川和久
女性の大学進学率の上昇
日本における女性の大学進学率の上昇は、社会の変化と教育へのアクセスの改善を反映しています。1990年代まで2割台だった女性の大学進学率は、現在では5割を超え、男性の進学率に迫る勢いを見せています。この顕著な変化は、教育機会の平等化と女性の社会進出の拡大によるものです。
女性の進学率が上昇した背景には、短期大学から4年制大学への移行があります。これは、将来のキャリアや就職において、4年制大学の学位がより有利とされるためです。また、保護者や高校の教員が女子生徒に4年制大学を推奨するようになったことも影響しています。
特に、保健分野、中でも看護系学部への進学が増えていることが注目されます。2000年には看護系学部がある大学は84校でしたが、21年には約270校に増加し、20年間で3倍以上になりました。これは、医療分野における人材需要の高まりと、女性がこの分野で活躍する機会が増えたことを示しています。
また、社会科学分野では法、経済よりも商、経営系の方が人気が高いとされています。しかし、工学部分野では、女性の進学率はそれほど増えていません。これは、STEM分野における女性の進出がまだ十分ではないことを示唆しており、今後の課題となっています。
教育をめぐる状況に関する内閣府男女共同参画局のデータによると、令和2(2020)年度の大学(学部)への進学率は、女子50.9%、男子57.7%となっており、女子は全体の7.6%が短期大学(本科)へ進学しています。これを合わせると、女子の大学等進学率は58.6%となります。
このように、女性の大学進学率の上昇は、教育の機会均等化だけでなく、社会全体の変化を反映しています。女性がさまざまな分野で活躍するための基盤が整ってきており、これからの日本社会において、女性の更なる活躍が期待されています。
女性が高学歴・高収入となると結婚できないディレンマ
現代社会において、女性の高学歴化と高収入化は顕著なトレンドとなっています。しかし、これらのポジティブな変化が、結婚市場における新たなディレンマを生み出しているのも事実です。高学歴・高収入の女性が結婚において直面する壁には、多くの社会的・文化的要因が絡み合っています。
一つの問題点は、伝統的な「上方婚」の志向です。これは女性が自分よりも高い学歴や収入を持つ男性と結婚することを指し、この傾向が強いため、適当なパートナーを見つけることが難しくなっています。特に都市部では、この傾向が未婚率の上昇につながっています。
また、ジェンダーギャップの問題もあります。女性の社会進出が進む一方で、男性が家庭や育児に積極的に参加する文化がまだ十分に根付いていないため、女性が結婚や出産をためらう要因となっています。経済的な不安定さも、高学歴の女性がキャリアを追求するために結婚や出産を後回しにすることで、将来的な経済的不安を増大させています。
これらの問題に対する改善策としては、柔軟な価値観の普及、男性の育児参加の促進、教育と啓発活動、経済的支援の充実などが挙げられます。例えば、フランスやスウェーデンのように、子育て支援や育児休暇中の経済的補助を充実させることで、女性が安心して出産や育児に専念できる環境を整えることが重要です。
高学歴・高収入の女性が結婚市場で直面するディレンマは、単なる個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。ジェンダー平等の推進と社会制度の改善を通じて、より多様で柔軟なパートナーシップを築くことが求められています。
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