今日から再び
さて、9月15日。もう2週間以上も前のことですが、この日はぶどうの収穫日でした。ぶどうの収穫について、それからワインを作ることについては1年前に書いたことがあります。『ナパ バレーから』というシリーズとしてしばらく書きましたから、(半端に終えてしまいましたが)読んでいただいた人もいるかもしれませんね(ありがとうございます)。
毎年同じようなことをやって、もう同じことは書かないつもりですが、これは同じ経験のようでも、決して同じではありません。歴史は繰り返すと言いますが、それは違いますね。決して同じ歴史が繰り返すのではなく、繰り返すように思える経験をする人が新たな経験を繰り返す、そういう意識をもって新しく同じような経験をする、そういうことなので、決して同じ経験を繰り返すことにはなりません。
それを思わせる曲があります。『The Windmills of Your Mind』という曲です。「あなたの心の風車」というのがその意味ですが、日本語の曲名は『風のささやき』となってしまっています。歌詞を読むとはっきりと伝わってくる意味がまったく消されてしまっています。日本が海外のものを受け入れるときによく行われることですね。その意味はともかく、雰囲気だけを受け入れてしまう。
渦巻の中の円のように、車輪の中の車輪のように、回る
いつまでも回転する糸車のように、始まりもなく終わりもなく
山を転がる雪球のように、カーニバルの風船のように
月がまとう眩暈を追っていつまでも巡るメリーゴーラウンドのように
時を刻みながら二つの針が回転する時計のように
そして世界は 空間の中で静かに回転するりんごのように
それは あなたの心の風車が描いている円
ということですね、自分の過去を思い返すと同じようなことを繰り返しているような気がします。形こそ違ってはいても何か同じようなことをいつかやったことがあるような、そういうことを繰り返しているような。それはきっと今自分が没頭していることが自分の琴線に触れている証なのではないかな、そう思いながらぶどうの房を収穫してきました。
そのぶどうを果梗から取り、潰して発酵させ(1週間ほどで完了、絞ったジュースはこうしてワインになります)、大きなガラスの容器に入れて何度か移し替えて少しずつ混じり気のないものにしていきます。そのガラスの容器を見ながら思うことを書いていこうと思います。