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安全な作品を作るには:体験型作品展示の安全管理チェックリスト

学生や作家の方、展示などで体験型の作品を制作方々向けの、危険な所や使い方はないかという安全管理のチェックリストです。安全管理と言いつつ、展示全般のノウハウなども入ってます。博物館の設営マニュアル、遊具や玩具の安全チェック、作成者の経験などからこのリストは作られています。
これを守れば安全ということはなく、火気を伴ったり、大型の構造物等は、消防法や建築法なども関わると思いますので、専門家の方に相談してください。このチェックリストは目安にしてください。
また追記情報や補足などもありましたら、ぜひコメントで記入してください。すぐに反映させます。

※最新版はこちらのGoogleDocsになります。

(2023.11.15更新)

形状

□ 誤飲してしまうような、取り外せる小さな部品は無いか。(三歳赤ちゃんの最大口径約39mm,喉の奥まで約51mmが目安です ※誤飲チェッカーなどを利用して確かめましょう。https://www.jfpa.or.jp/mother_child/prevent/002.html)
□ 衣服が引っかかるような尖った場所はないか。
□ 開閉部など指を挟むような構造になってはいないか。
□ 耐荷重。板は薄すぎないか。柱は十分か。 http://rakutin.himegimi.jp/index-tawami.html
□ 迷路のような体験者が長い空間を移動する作品の場合、途中で逃げ出せる非常口はあるか。
□ 尖っているパーツはないか。触れる場合、丸みを帯びた設計にする。
□ 展示台や展示物は不安定ではないか。床や壁に固定する必要はないか。地震時に体験者の上に倒れることはないか。
□ 密封された空間ではないか。空気穴はあるか。
□ 手持ち型の装置など体験者が持ち帰れるようになってないか。必要なら紐などで台と繋げる。
□ 装着型の装置は、身長体重が異なったとしても付けれるような工夫がなされているか。フリーサイズあるいは、複数のサイズを用意する。
□ 音や手すりなど視覚障害者のための誘導はされているか。

素材

□ 体に有害な素材ではないか。(PVC塩化ビニルは粉末状だと健康に悪い、アスベストなど)
□ 化学反応によりガスが発生することはないか。
□ ガラスが割れて体験者を傷つけるようなことはないか。プラスチックに替えることはできないか。
□ 子供用の展示物は口に入れてしまう可能性を考えて、万が一口に入れても安全な材料を使用する(例えば塩化ビニルテープなどは使用しない)
□ シャボン玉など飲み込む可能性のあるものは安全な液にするか、ポンプで作るようにする。
□ 細かい粉などを扱う場合で吸引する恐れはないか。

機械

□ モータなどの回転部にカバーはあるか。指や衣服が巻き込まれることはないか。
□ モータに顔が近づく場合、髪は隙間から入って絡まってしまうことがある。髪が入らないような構造にする。また緊急停止装置も用意する。
□ モータを使用して、上下に重いものを上げ下げする場合は、落下防止の紐を付けているか。
□ ゴムなどの張力でものを飛ばす展示は、体験者の方向に飛ばないような工夫がされているか。
□ 触ってはいけない場合、届かないような柵は用意されているか。
□ 振動によってネジが緩んでしまう場合がある。ゆるみ止めナットなどが使われているか。
□ モータの振動が床に伝わって騒音になってないか。
□ 頭部を挟むような設計になってないか。
□ 何度も耐久テストを行って故障などの問題はなかったか。
□ 乗り物や大型の機械など万が一体験者の危険がある装置に、緊急停止ボタンは用意しているか。そもそも、人が乗ったり入るような場合は、素人が気軽に作ると危険性を伴うので、専門家のチェックは必要です。
□ 乗って動く作品の場合、シートベルトは付けているか。ヘルメットは必要か。
□ 装置などの予備は必ず用意しておく。

電気

□ 電源は接地に繋げられているか。
□ 展示用の電源スイッチは体験者は触れず、スタッフのみ触れるようになっているか。
□ 高電圧のケーブルは絶対に体験者に触れられないようにする。ラベルもしておく。
□ 基板がむき出しで、体験者が触れれるようになってないか。
□ 電気刺激などを提示する体験ではないか。同意書が必要な場合がある。
□ 静電気が発生する展示で痛みを伴うものではないか。
□ コードドラムは巻いたまま使用していないか。発熱するおそれがある。
□来場者やスタッフ等の動線とケーブル類が交差していないか?もしくは適切な方法(外部からの荷重がケーブルにかからない)で固定されているか?足を引っかけて転んだり、引っ張られて物が動いたり、内部で断線して発火の原因になったりする
□ 運用中のパソコン等に来場者が触れられたりしてないか。
□ リチウムイオンバッテリーを使用する場合は、爆発対策をしているか。安価なものをしようしていないか、ショートしないようになっているか。
□ プロジェクター天吊りの際は、落下防止のワイヤーを必ずつけるようにする。

□ 熱くなるものが展示物に含まれていないか。(ホットプレートや白熱灯など)
□ 室内展示で熱くなる場合は、事前に確認を取る必要がある。
□ 熱源の近くに燃えやすいものはないか。
□ モータなど熱を持つものはヒートシンクなどで熱対策を行う。
□ 展示台内なども熱を持つことがあるので、ファンなどを設置して熱対策を行う。
□ 火や熱を伴う場合は消火器を用意しているか。
□ 展示中、定期的に状態を監視できるようになっているか。

□ 水を使う場合は建物の管理者に事前に確認する必要がある。
□ プールに浮き輪等を浮かべて、体験者が乗る場合は、溺れた場合の対策はなされているか。
□ 水を使う場合、床に水が溢れないようになっているか。
□ 床にビニールシートは貼られているか。
□ 体験者が濡れるような展示ではないか。濡れる場合はカッパなどの対策が必要。
□ 熱湯をあつかっているか。熱湯は体験者に絶対にかからないような設計になっているか。
□ 水の付近に電気系統はないか。感電する恐れはないか。
□ 子供が水を飲む場合を想定する。繰り返し使用する場合は消毒はされているか。

衛生面

□ 着衣する装置など、前の体験者が装着したものをそのまま付けてないか。
□ 肌に触れるものなどは、消毒したり、付け替え可能なガーゼを間に挟む必要がある。

食品

□ 食品を提供する場合はイベント主催側と合意が取れているか。
□ 市販されている未開封の食品を提供しているか。
□ 手作りの食品を提供する場合は食品衛生の許可が必要な場合がある。
□ ガスで調理する場合は、周りに発火するようなものがないか。電気や静電気が発生するものはないか。
□ 喉に詰まるような食品ではないか。

生物展示

□ 腐敗してカビなどが発生する展示物ではないか。
□ 腐敗して化学反応を起こして爆発しないか。(魚の腐敗物で爆発した事例あり)
□ 毒のある植物や生物ではないか。
□ 使用する木材等は自分たちで採取したものか。害虫等は入っていないか。
□ 展示後の廃棄・放流方法について生態系を配慮して考慮されているか。

照明

□ 空間は暗すぎないか。体験者は転倒しないか。
□ 暗くする場合は足元に誘導灯などを設置する必要がある。
□ 暗い空間を進むような展示は、手すりや、紐などをもたせて誘導する必要がある。
□ フラッシュなど明るすぎて目を痛めることはないか。
□ レーザー光など体験者の目に直接入るような設計になってないか。

子供向け展示
□ 装着型の装置は子供のサイズも用意されているか。
□ 展示台は高すぎないか。最適なサイズ
□ 高くする場合は台を用意する必要がある。踏み台は高すぎ、あるいは横転しやすくないか。
□ 身長制限が必要な展示ではないか。安全バーやシートベルトが適切に止めれる身長であるか。
□ 通り抜けさせない穴は、100x157mm以下を守っているか。
□ 通り抜けさせる穴は、直径230mm以上になっているか。
□ 指が抜けなくなる穴や隙間(直径8mm以上25mm未満)は無いか。
□ 床面に足が挟み込む隙間(30mm以上)は無いか。
□ 安全領域(セーフティエリア)は確保されているか。高い場所に登れる場合は、クッション材の床などを用意したほうがいい。https://townscape.kotobuki.co.jp/sp/safetysp/standard.html
□ 事前に服装を指定しておく(汚れても困らない服装、動きやすい服装など)
□ 靴の指定(サンダルなどが機材に絡まる事故は多い)
□ 音が大きいアトラクションや展示物の場合は、事前に確認をする(発達障害の関係で音に過敏に反応する子どもが比較的多い)
□ 口に入る・体に触れる素材の中でアレルギーが想定されるリスクのあるものはアレルギーチェック必要(例えば、安全のために小麦粘土を使う場合は、その表示がないと小麦アレルギーを持つ子どもが症状が出てしまうリスクがある)

ワークショップ

□ 未就学児が参加するWSの場合、はさみは子供用のプラスチック製であると望ましい
□ カッターを使用するときは、使い方を教える。カッターの先に指がないようにする。
□ はんだ付けを行う際は、周囲に燃えやすいものを置かない。また電源コードに引っかかって体に当たる可能性もあるので、電源の場所を確認する。
□ テープカッターで指を切らないようにする。
□ 絵の具など汚れる画材は机にシートを被せておく

設営

□ 施工管理者のチェック、防火管理者確保、消防申請、退避動線の確保・防炎素材・加重計算や部品・機材の危険防止の施し、書類だけではなく消防署の方の実地観察でOKをもらう。
□ 食品衛生管理、個人情報管理など。
□ 設営時の高所の作業、吊るしたりの作業はヘルメット着用。脚立はかならず一人が持つ。
□ 緊急連絡先は共有されているか。
□ 来場者が怪我をしたときの段取りは確認できているか。
□ 待機列が出来たときのルールは整備できているか。
□ 体験の手順や、手を触れないように指示はされているか。

運営

□ 運営マニュアルに概要等だけでなく「来場者の動きをどう管理するか、緊急事態発生時の対応(ケガ、火災、地震、異臭、脅迫事案等)、スタッフ心得」等、イベントを安全に滞りなく進める事を必ず書き、学生などのボランティアでも、全スタッフにオリエンして現場に立たせる。
□ 緊急連絡先は把握しているか?
□ 列が出来た時のルールは整備出来ているか?
□ プロのディレクターが時間や人の動きも全て俯瞰して管理、各エリアにはAD配置。
□ イベント保険(スタッフも来場者も)に必ず入っているか
□ VR作品の、体験可能年齢について確認しておく(2023年段階でQuest2,3は、10歳以上が利用可能)。またコントローラの動きに注意する。他の体験者にぶつからないように。

プライバシー

□ カメラからの入力を保存するようなインスタレーションを展示する場合はデータの保管と公開に関する事前の同意を取る。 アルスエレクトロニカなど、欧州で展示する場合はEU一般データ保護規則[GDPR] に違反しないように注意が必要。
□ 体験者の写真を使用する場合、撮影と掲載の許可を必ず取る。特に子供の場合は保護者の許可を取る。
□ 複数人がいる展示やワークショップなどを撮影するときは、撮影されたくない人を事前の挙手で確認し、その人が映らないように撮影する。

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