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士業がWebマーケティングを駆使して売上を上げるには?




「士業は専門知識さえあれば仕事が来る」――そう思っている方も多いかもしれません。しかし、実際には、たとえ専門性が高くても「どのように自社のサービスを見つけてもらうか」「お客様に選ばれるための信頼づくりをどう進めるか」が明確になっていなければ、なかなか継続的な集客にはつながりません。

そんなときに役立つのがWebマーケティングです。いまや弁護士や社労士、行政書士、税理士など、さまざまな士業の方々がWebを活用して顧客との接点を増やし、売上を伸ばす時代に突入しています。
本記事では、Webマーケティングの基本的な考え方から士業において重要な理由、そして具体的な施策例と外注時のポイントまで、体系的にまとめてみました。「士業として開業を目指す方」や「すでに開業しているけれど、今ひとつWeb施策がうまくいっていない…」という方のお役に立てれば幸いです。


1.Webマーケティングの定義と目的


Webマーケティングとは

Webマーケティングとは?

まず「Webマーケティング」という言葉をシンプルに定義すると、オンラインを駆使して自分のサービス・商品を必要としている人に見つけてもらい、購入・契約してもらうまでの道筋を作っていく活動全般のことを指します。ホームページやSNS、広告、メールマガジンなど、あらゆるネットの手段を使って認知度を高め、最終的な成約(問い合わせや申し込み)につなげるまでの流れを設計するのがWebマーケティングです。

Webマーケティングの目的

Webマーケティングの大きな目的は、売上の最大化。とはいえ、「なんでもかんでも宣伝すればいい」というわけではありません。大切なのは、効率よくお客様にアプローチし、かつ長期的に信頼関係を築いていくことです。

よく「Webマーケティングは集客・接客・追客・ファン化の4つの施策から構成される」と言われます。これは、どの段階でお客様と接点を持ち、どのようにサービスを知ってもらい、選んでもらい、さらにリピートや紹介につなげるかといった一連の流れを示す考え方です。士業の場合は、一度の契約後も継続して案件をお願いされることや、顧問契約として長期的に関わるケースが多いため、顧客との関係性を「ファン化」へ持っていくことがとても重要になります。

数字に落とし込む重要性

もう一点、Webマーケティングで大切なのが**「施策を数値に落とし込むこと」**です。

  • どれだけの人がサイトを訪れたのか(インプレッション)

  • どのくらいの割合で問い合わせや申し込みに至っているのか(コンバージョンレート)

  • そのお客様が長期的にどれだけ売上に貢献してくれるか(ライフタイムバリュー)

といった観点を押さえるだけでも、「今どの部分が弱くて、どこを改善すればもっと成果が出るのか」が明確になってきます。勘や経験だけに頼るのでなく、データを基に施策を打つのが現代のマーケティングの基本姿勢といえるでしょう。


2.士業でWebマーケティングが重要な理由とは

“クチコミ・紹介”だけでは限界がある

士業の世界では、クライアントや知人からの紹介が主要な新規案件獲得ルートになっているのが現状です。実際、士業のお仕事を依頼する側からすると、「誰かに良い先生を紹介してもらう」のが安心なやり方ですし、長らくそれが王道だったともいえます。

しかし、ここ数年はネット検索やSNSを使って、はじめて依頼を検討する士業を探す方が増えました。たとえば「○○市 社労士 助成金相談」「○○市 弁護士 相続」「オンライン相談 税理士」などと検索し、その結果を見て問い合わせをする――こういった導線が大きく伸びているのです。

「そもそも誰の名前を思い浮かべてよいか分からない」とき、真っ先に取られる行動がネット検索。ここでヒットしないと、お客様候補はそもそもあなたの事務所を「存在しないもの」としてスルーしてしまうリスクがある、というわけです。

士業の魅力を伝える接点づくりに必須

士業のサービスは、ぱっと見ただけでは違いが分かりづらい場合も多いものです。「社労士・行政書士・弁護士など、それぞれどんな資格なの?」という初歩的な疑問から、「この先生はどんな分野に強いんだろう?」という専門性の話まで、依頼する側はあらゆる情報を知りたいと感じています。

Webマーケティングを学び、ウェブサイトやSNS、オンライン広告など複数のチャネルで情報を発信していくことで、はじめて「自分が求めることに合致する先生かも!」と思ってもらいやすくなります。士業の先生こそ、自社サービスの魅力や強みをきちんと見える化し、「なぜ自分に依頼すべきか」を発信する必要があるのです。


3.Webマーケティング施策の重要性と手法

「売れる」を必然にする活動


Webマーケティングのプロセス

マーケティングは、売上を上げるための再現性を構築する活動とよく言われます。売上を「偶然のラッキー任せ」にせず、論理的に考えたアプローチで成果を出すことを目指すわけです。そこで重要なのが、前述の「集客」「接客」「追客」「ファン化」という4つのプロセスを意識し、施策を数値で管理しながら進めていくこと。

  • 集客:潜在的なクライアント候補に、まずは存在を知ってもらう

  • 接客:自社サイトやSNSなどで魅力を伝え、興味を維持してもらう

  • 追客:一度離脱した人や、迷っている人に再度アプローチする

  • ファン化:リピートや紹介を促すしくみを整える

これらを一つひとつ整えていくことで、「自然に成約率が高まり、安定した売上を確保しやすくなる」という好循環が生まれます。

数字を意識した売上公式

売上の公式

売上を左右する要素としては、**「インプレッション × コンバージョンレート × ライフタイムバリュー」**という公式が有名です。士業の業務でも、

  • インプレッション=サイト訪問数や広告表示数

  • コンバージョンレート=お問い合わせや相談依頼が成果に繋がる割合

  • ライフタイムバリュー=一人のクライアントが長期的に生み出す売上

というふうに具体化すると、自分の施策がどの数字を伸ばすべきか分かりやすくなります。また、ファン化がしっかり進めば「追加の依頼をもらう」「紹介で新規案件が来る」といった形でさらにインプレッションやCVRが増え、結果的に売上が上がっていくわけです。


4.Webマーケティング施策を分解する

ここからは、前述した「集客」「接客」「追客」「ファン化」の4つに分けて、ざっくりと概要を解説します。士業の方が「自分のサービスをどうやって見せればいいのか?」と悩んだときに、このフレームワークを思い出していただければ、施策の優先順位や改善ポイントが見えやすいはずです。


4-1.集客

集客の基本的な考え方

「集客」とは、まず自分の存在をターゲットに認識してもらうフェーズです。たとえば、税理士なら「確定申告 税理士 オンライン相談」などのキーワードで検索する人に対して、どんな媒体や方法でアプローチするか。社労士なら「助成金の手続き 依頼先」と調べる人に、どうやってサイトを見つけてもらうか。ここがうまくいかないと、どんなに専門性が高くても案件は入りません。

シチュエーション別の施策

集客は、**「①自ら調べる」「②ヒトから聞く」「③目に入る」**という3つのシチュエーションを前提に考えると分かりやすくなります。

  1. 調べる

    • SEO(検索エンジン最適化)

    • MEO(Googleマップ最適化)

    • リスティング広告

    • 記事広告
      ここでは、検索窓にキーワードを打ち込む人を想定し、その検索結果にいかに表示されるかがポイントです。

  2. ヒトから聞く

    • YouTube、TikTok、Instagram、X、LINE、ライブ配信などのSNS活用

    • インフルエンサー広告やSNS広告
      SNS上で動画や投稿を見かけたり、フォロワーがシェアしていたり、といった「つい目についた」という接点も大事です。

  3. 目に入る

    • アドネットワーク広告、ディスプレイ広告、プレスリリース

    • アウトバウンド営業、コミュニティ、マス広告
      直接営業をかけたり、ネット上やオフラインのイベントで目立つ形で露出する方法です。「なんとなく見かけて気になった」という層を取り込むイメージになります。


4-2.接客

接客とは何か

「接客」とは、一度興味を持ってサイトを訪れたりSNSを見に来てくれた人とコミュニケーションをとりながら問い合わせ・契約につなげる過程を指します。せっかく集客に成功しても、接客段階が整っていないとお客様は「よく分からないから他を探そう…」と離脱してしまいがちです。

接客の場所

接客を行う場所としては、主に以下の4つが考えられます。

  1. Webサイト

    • ホームページ(HP)、ランディングページ(LP)、オウンドメディア、ECサイト、採用サイト、サービスサイト、Chat、ホワイトペーパー etc.
      情報提供だけでなく、チャット機能や資料ダウンロード(ホワイトペーパー)を使ってさらに深い接点をつくる方法が有効です。

  2. SNS

    • YouTube、TikTok、Instagram、X(旧Twitter)、LINE、ライブ配信、ウェビナー、クラウドファンディング etc.
      コメント欄やDMなど、双方向のやりとりがしやすいのがSNSの強みです。

  3. メール / 電話

    • メルマガ、SMS、電話、FAXなど
      地味な印象かもしれませんが、確実に個別のコミュニケーションをとれる大切な手段です。

  4. オフライン

    • セミナー、説明会、展示会、交流会、面談、会社見学など
      実際に顔を合わせる場ではオンラインよりも密度の高い接客が可能。士業の場合、信頼関係構築に重要な機会です。

このように、接客のチャネルは多岐にわたります。自分の強みやサービス内容に合ったチャネルを選び、相手が疑問を感じた際に即座に対応できる体制を整えることが「スムーズな成約」への近道です。


4-3.追客

なぜ追客が必要?

人は一度サイトを見て「いいかも」と思っても、そのまま離脱してしまうことがほとんどです。後日になって「やっぱり相談しよう」と思い出しても、再びそのサイトに辿り着くとは限りません。ここで活躍するのが「追客」です。

  • リターゲティング広告を使って離脱ユーザーに再度アプローチする

  • メールや電話、DMでフォローの連絡を入れる

  • ポップアップやSNS告知で「また見に来てもらう」きっかけを作る

このように一度接点を持った相手にもう一度コンタクトをとりやすくする方法を仕組み化すると、「追客」によって成約率がアップする可能性が高まります。

具体的な追客手段

  1. Webサイト / SNS

    • 離脱ポップアップでクーポンや追加情報を提示

    • SNSをフォローしてもらいやすい導線づくり

    • リターゲティング広告

  2. メール / 電話

    • メルマガの登録を促して、定期的に情報を配信

    • 見積もり依頼をくれた方へフォローコール

    • 特定のタイミング(年度末、法改正など)でリマインド連絡

  3. オフライン

    • はがきや手紙を送る

    • イベントやセミナーに再招待する

    • 自社の新サービス・キャンペーンの告知


4-4.ファン化

ファン化がもたらすメリット

士業にとって、ファン化は**「長期的なリピート受注」や「口コミ紹介」**といった大きな収益源に直結します。特に士業は専門性が必要な業務が多く、一度依頼した相手とは継続的に関わるケースが少なくありません。そこで「この先生に頼めば間違いない!」という思いを抱いてもらえると、定期的な依頼や追加案件につながりやすくなります。

ファン化の主な施策

  • 特設サイトを作成し、顧客限定でノウハウやレポートを配信

  • SNSで既存顧客に向けた情報発信を行い、コミュニティを形成

  • キャンペーン企画やクーポン配布で顧客参加型のイベントを実施

  • 丁寧なカスタマーサポートで小さな不安や悩みにも素早く対応

このように、ファン化を意識して「どこで、どうやって施策を組み立てるか」を考えることで、長期的な関係と新規顧客の自然な獲得が期待できます。


5.Webマーケティングを外注する際の重要なポイント

ここまでWebマーケティングを自社で行う流れを見てきましたが、「忙しくて全然時間が取れない」「知識不足でどこから手をつければ良いか分からない」という方は、Webマーケターや広告代理店に外注する選択肢もあります。そこで外注時に気をつけたいポイントをいくつかご紹介します。

  1. 目標と予算を明確にする

    • たとえば「毎月10件の問い合わせが欲しい」「半年後にWeb経由の売上を月30万円上乗せしたい」など、明確なゴールを設定しましょう。

    • 予算や期間の目安をあらかじめ提示できると、施策プランが立てやすくなります。

  2. 「何をやったらどれくらい儲かるか」の仮説があるか

    • 外注先が複数のシミュレーションを提示してくれるか確認しましょう。

    • 「〇〇円の広告費で△△件の問い合わせを見込める」など、数値で示せる提案が望ましいです。

  3. 担当者の差別化ポイントを確認する

    • Webマーケターにも得意分野があり、「広告運用に強い」「SNS施策が得意」「SEOに精通している」などの特徴があります。

    • 自分の課題に合った専門性を持つ担当者かどうか、よく確認しましょう。

  4. 実績を確認する

    • 過去にどのような業種・サービスを扱ったことがあるのか、成果をどのように出してきたのかをヒアリングしておくと安心です。

    • 士業向けの実績があると、専門知識や規制面を理解してくれている可能性が高いです。


6.まとめ:マーケティングはヒトで決まる

「Webマーケティング」というと、SEOや広告などのテクニック面が注目されがちですが、最終的に成功するかどうかは**「誰が、どんな想いで取り組むか」**というヒューマンファクターが大きく左右します。もちろん最新の手法を活用するのは大切ですが、施策の根底にあるのは「お客様が何を求めているのかを知り、そのニーズに応える」という姿勢です。

  • 「数字に落とし込み、改善点を見つけよう」

  • 「お客様の導線(集客・接客・追客・ファン化)を丁寧に設計しよう」

  • 「外注する場合も、人(担当者)の強みや実績をしっかり見極めよう」

こうしたポイントを意識することで、士業の先生方がより多くのクライアントと出会い、長期的な関係を築いていける可能性が高まります。専門性を磨くことはもちろん重要ですが、「マーケティング」も学んで行動に移すことが、これからの士業にとって大きな武器になるでしょう。

自社のサービスを必要としている人にしっかり届けるためのWebマーケティング、ぜひこの機会に一度じっくり検討してみてください。まだまだ取り組む余地が多い分野だからこそ、正しい手順と戦略を意識すれば大きな成果を狙えるはずです。もし「この施策は本当に有効なの?」「自分でやるには時間が足りない…」と感じたら、ぜひ専門家の力を借りつつ進めてみてください。

あなたの知識と経験が、多くの人を救うきっかけになるかもしれません。Webマーケティングを味方につけて、士業としてのキャリアをより充実させていきましょう!

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