アメニマケタ日

雨が降ってる夏の日のこと、
いつもの様に通学する私。
湿った地面、駅中、午前8時
濡れた階段にて歩きスマホ。
まるで決まっていたかの様に、滑り転ける。
よくある光景なので、当然周りの人は少し嫌な顔をするだけで何も言わない。
その日もそうだった。

カプカプ
転けた私の耳に確かに聞こえた。
カプカプ
どこか懐しい音が…
カプカプ
聞こえた筈なんだ。
カプカプ

クラムボン、君かい?
いるのかい?
いないのかい?
どっちなんだい?
調子はどうだい?
元気にやってるかい?
クラムボン?
クラムボン?
クラムボン!?

………宮沢か?
宮沢なのか?
宮沢、見てるんだろ?
楽しいか?
宮沢、楽しいか?
宮沢ぁぁぁ!?

宮沢の声は私には届かない。

確かに宮沢のせいにして終わるのは簡単だ。
だけど真実を知らないまま終わらせたくない。
クラムボンを殺したのは自分かもしれない。
うずくまって泣いた。
雨には降られない、屋内だから。
いっそ雨に降られていた方がいい負け方だったかもな。
そんなことを考える私にカムパネルラはこう言った。

邪魔だドケオラッ!

たまらず私はこう返す。
サッセン…


この話をしたとき君が放った
うっすい宮沢賢治(笑)
この言葉忘れねぇからな。


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