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「ダサいものは一切排除したい!」バラエティー番組にオシャレとハードボイルドとアーティスティックを持ち込む男〜日本テレビディレクター・廣瀬隆太郎さんの世界観〜

ジャスト日本です。

近年、私はプロレスだけではなくテレビやYouTubeといったエンタメ関係の記事を書く機会が増えてきています。テレビ番組のディレクターさんや放送作家、プロデューサーといったいわゆる「テレビ屋」さんにインタビューして媒体に掲載しています。

そうすると、割と「テレビ屋」さんとの繋がりも出てきまして、Xで相互フォロー関係になったり、LINEで連絡を取り合うこともあります。

その中でYouTube『渡部ロケハン』総合演出のソマシュンスケさんがこのようなポストがされていました。


ソマさんってめちゃくちゃ優秀な映像ディレクターで、丁寧でオシャレで情熱もあって色々な映像を作れる幅の広い方なんですよ。なのにソマさんが嫉妬してしまうほどの映像を作るテレビマンがいる。

めちゃくちゃ気になるじゃないですか!

そこから持ち前のサーチ力を駆使して調べると日本テレビの廣瀬隆太郎ディレクターが作った映像であることが判明しました。

廣瀬さんは人気番組『有吉の壁』や『ニノさん』のディレクターを務め、『カネ梨和也』では企画と演出を担当しているテレビマンです。

実際にソマさんが反応した番組『ハイツ東五反田201』は、同期芸人&大阪・堺出身で実家も徒歩3分圏内の近所同士というさらば青春の光・森田哲矢さんと見取り図・盛山晋太郎さんが品川区・五反田に借りた秘密基地「ハイツ東五反田201」を拠点に夜な夜な遊ぶ様子を記録したバラエティー番組です。またドラマ・映画を手がける映像チームとタッグを組んだことによりバラエティー番組とは思えない映像美が満載の異色作。

これは気になったのでTVerでチェックしたのですが、めちゃくちゃ面白い!!

森田さんと盛山さんの掛け合いがコンビネーション抜群なのは、これまでのさまざまな番組で実証されてきました。恐らく森田さんにしても盛山さんにしても自分が将来、冠バラエティー番組をやる時はそのパートナーであり、サブMCとしてチョイスしてくるだろうと思うほど。

でも私が面白いと思ったのは映像の作り方。廣瀬さんがこの番組で描いていたのは、『探偵物語』『傷だらけの天使』『濱マイク』といったかつねの人気ドラマが持っていたハードボイルドさとロケバラエティーが混同している世界観でした。

これまでのバラエティー番組の歴史において、さまざまな描き方がありました。

純粋なバラエティー番組としての描き方もあれば、ドキュメント要素を強くしたり、スポーツ要素を入れたり、音楽のエッセンスを強めにしたり、シュールさを突出させたり、ドラマ仕立てにしたり…本当に演出家によってさまざまな描き方があります。

ただ廣瀬さんのようなバラエティー番組にハードボイルドの世界観を持ち込んだのは初めてだったと記憶しています。見たことがない!

廣瀬さんの映像が気になった私と廣瀬さんは実は同じ和歌山県人で判明。これはビックリしました。今年の1月に実際にお会いして挨拶させていただきましたが、本当に廣瀬さんはオシャレな方でした!

さて、『ハイツ東五反田201』の次に廣瀬さんが総合演出を担当したのが『闇プロモーター粗品』。

タイトルからして最高です!想像力を沸き立たせるほど!

賭け事に取り憑かれた男・粗品さん(霜降り明星)が主宰を務め、各界の勝負師たちが集う賭場場。MCは粗品、常連客として小籔千豊さんと格闘家・平本蓮さんが参戦。普通の賭場では物足りなくなってしまった勝負師たちが、様々なジャンルの勝負にBET。自らの財布を持参し、予想的中で賞金獲得!外せば寄付のガチバトルという内容。

BSスカパーやABEMAで放送されていた社会派ドキュメントバラエティー『BAZOOKA!!!』のレギュラーである小籔さんと平本さんというキャスティングがアングラ感が出る感じで素晴らしく、映像もオシャレでダークさがあり、やはりハードボイルドなんですよ。


ゲームを予想してテレビで合法的に賭けを行う番組といえば、テレビ朝日系で『さんまのナンでもダービー』がありました。『さんまのナンでもダービー』は競馬のように大衆受けするように明るさがありましたが、『闇プロモーター粗品』には地下のカジノ場で行う賭け事のようで、どこまでどす黒い。それがまた面白い!

これは深夜3時間特番とか長尺でやるとさらに面白そうだなという感想を抱きました。


オシャレでハードボイルドな世界観という唯一無二のバラエティー番組を作る廣瀬さんですが、それだけではないことがわかったのが最近放送された『100顔』という番組です。


「人の生き様は顔に表れる」とよく言うが、果たしてそれは本当なのか?顔神 ロングコートダディの堂前透さんが主宰を務める密室の実験空間。用意されたのは100個の顔。ある人生エピソードから、それに当てはまる顔を100個の顔から探し出す。初回の挑戦したのがさや香の新山さん。


こちらの番組は現在TVerで見れるので是非チェックしてみてください。

『100顔』で展開している廣瀬さんの作風はハードボイルドはなく、どことなくアーティスティック。

所々『水曜日のダウンタウン』のような世界観もありつつ、100人の顔が四方を覆うセット、新山さんの負け様、堂前さんの飄々とした凄みが面白かったです。

廣瀬さんのアイデンティティはよく伝わる映像でした。顔を見て「この人はこうだ」と推測しているやや失礼さもなんだか藤井健太郎さんイズムのようなものを感じました。



廣瀬さんが番組内でテレビを作るうえでのこだわりについて次のようなコメントを残しています。

「僕は藤原ヒロシ(マルチクリエイター)さんや高橋盾(ファッションデザイナー)さんに憧れていて、映像を作るうえで、音にしてもテロップにしても絵作りにしてもダサいものは一切排除したい」


「ダサいものは一切排除したい」というディレクターとしての廣瀬さんの信念は、ハードボイルドな作風だった『ハイツ東五反田201』と『闇プロモーター粗品』、アーティスティックな作風だった『100顔』でも貫かれていて、さらにどの作品もオシャレさが漂っている。それが廣瀬さんの世界観なのかなと感じました。

恐らくノーマルタイプのバラエティー番組を作ることはできると思われる廣瀬さんがより自分色を出すために『ハイツ東五反田201』『闇プロモーター粗品』『100顔』を制作されているところは、きちんとフルスイングしているなという印象を受けました。

 
もし廣瀬さんが日本テレビで頭角を現し、ゴールデンやプライムタイムのレギュラー枠で自分色のバラエティー番組を次々と生み出した時は、日本テレビのバラエティー史が大きく変わるような気がしました。

バラエティー番組にオシャレとハードボイルドとアーティスティックを持ち込む映像ディレクター・廣瀬隆太郎さんの作品、今後も期待したいところです。




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