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修行


世間的な修行の1つである、滝行の光景。

突然ですが、皆さんは電車移動をする際に、いつもどのような心持ちで過ごしていますでしょうか?
普段わたしは職業柄車移動がほとんどですので、
稀に乗る電車での過ごし方をやや忘れてしまっており、最近は日々研究に励んでいます。
東京を夢みて上京した若かりし頃のわたしは
目に入るもの、何もかもが新鮮で、電車や駅にいる変なおじさん、エッチなお姉さん、ドアに貼られた下痢薬の広告、全ての情報に翻弄されながら、楽しさと、情報疲れを感じ、観察しては何らかの面白さを想像しながら電車に乗っていたものでありました。
しかし、最近は年齢を重ねたという事もあり、何か新たな過ごし方をしようと。遂に、無になる訓練を開始しました。
方法は、自分というガワに、自分が存在しているモードに入る事。
わかりやすく言うなれば、'自分ロボット'の操縦士として、操縦している気になる。
心と体が別にしてみる事で、若干ストレスが減るのだと思っています。
修行を重ねてゆくと、半自動操縦、今話題のテスラ車みたいな事も可能になってくるのではないかと、今、日々修行を重ねています。
そんな修行中のわたくしですが、
今日は我が家から東京駅に着くまでに、
1度だけ我が心を持ってかれた瞬間がありました。
それは、紐リュックを背負い、大きなスーツケースを持った20歳位の男の子3人組が同じエレベーターに乗り合わせた時でした。
私は、お、いいな、夜行バスでスノボかな?
なんて、一瞬想像を巡らしながらも、
いかん!修行中だ、と思い彼らの背中を見つめていると
「ああ、成田着いたら何食う?吉牛とかしかなくない?」と話をし始めました。
私は心の中で、
「数々の誘惑と選択肢がある中で、選択した吉牛が1番美味いんだよな。」とお経を唱えました。
そこから、彼らが一体何の目的で、しかも貧弱な紐リュックを背負って海外に行くのか。
遠ざかる彼らの後ろ姿を見送りながら、想像を始めながら、心の中で手を振りました。
そんな私も、夕方18時に、帰宅ラッシュの中、新宿駅の構内をスーツケースを持ちながら旅に出かけている少し例外な姿の1人。
沢山のドラマが一瞬一瞬に行き交う駅構内を広い視野で眺めながら、嗚呼、美しいなと感じたものであります。
毎週末旅に行ける事、感情、混雑した駅の匂いさえいつかまた歳をとったら、とてつもなく愛おしくなる日が来るだろうなと、今新幹線の座席に座りながら、今の感覚を文字に記しております。
無になる修行には失敗しましたが、こうやって少しでも感情が揺れ動く事が生きる事です。
嗚呼、彼らは今ごろ、成田空港の吉野家にいるのだろうか。1人だけ牛すき鍋定食を頼んでしまい、着丼が若干ズレてしまい喧嘩などしてないだろうか。
そんな心配をしながら、そんな私は新幹線で、メルヘンのマンゴーサンドイッチを食べています。
恐らくメルヘンて文字に影響されて今メルヘンな気分になっているんだろうなと思います。

さて、再び自動操縦に戻ります。






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