TEDのように人と心を惹きつけるプレゼンをする9ヶ条
記事の長さ:5分。
皆さんはTEDをご存知でしょうか?世界各国の知識人によるスピーチ動画を配信している米国の非営利団体で、TEDが発信するスピーチのジャンルは多岐にわたり、また各動画は短くまとめられているため、好きな分野の動画を気軽に視聴することができるサービスです。どのスピーチも洗練されており、プレゼンの登竜門といったらTEDというほど有名ですので、もしTEDのようなスピーチやプレゼンができたら、最強だと思いませんか?
そのTEDを研究しつくしたカーマイン・ガロ氏が綴った、著書「TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則」より、簡単にポイントをまとめたいと思います。本書はプレゼンやスピーチをする上で考えるべき要素が非常に詰まった一冊ですので、是非お手元に置いておくことをオススメします。
では、9つのポイントを見ていきましょう。
1. プレゼンの内容と自分との繋がりを深堀りする
のっけから感情論のように聞こえると思いますが、プレゼンをする際にはプレゼンの内容と自分との個人的な繋がりを作り、情熱的にするようにしましょう。実はこの情熱(パッション)は人から人へ伝染すると研究結果が出ています。つまり、熱量を持って話すと、それが自ずと聴者側にも伝染し、興味を持ってくれる、共感してくれる、という好循環になっていきます。それもそのはず、そもそも自分がプレゼンの内容に興味がなければ、誰も興味を持ってくれるはずがありません。ですので、プレゼン内容は個人的な繋がりを持てるようなストーリーを設けるといいと思います。これは次のポイントにも繋がります。
2. Pathos(情念)、Logos(概念)、Ethos(特徴)
Pathos(情念)、Logos(概念)、Ethos(特徴)は簡単に言い換えれば、パッション、ロジック、プレゼンター自身にそれぞれなります。そして数々のTEDプレゼンを研究された著者によると、統計上は以下の時間構成が最適解のようです:
つまりこれは何を意味するかというと、聴者も興味や共感性を持てるようなストーリーを重点的に話すべき、ということになります。例えばあなたがどういった人物なのかをべらべらと語るよりも、いかにこの提案が素晴らしいものなのかを論理的に話すよりも、聴者がいかに引き込まれるような話をするか、ということに尽きるということです。
例えばテレビCMなどがいい例でしょう。最近では以下に安い・良いサービスなのかという謳い文句よりも、物語性にしたCM(Amazon.co.jpやauなどがいい例ですね)や、あえて商品の説明はせずただターゲット層に対してワクワク感を提供するCM(Appleなど)や、日常でどう使うかの具体例を提供するCM(Googleなど)が多く散見されます。それほど効果がある、ということです。
3. 会話をするように自然に話す
プレゼンやスピーチという不自然な環境下で自然に話せというのも難しいことのように感じると思いますが、計画的に設計・準備をすることで自然な会話のようにすることができます。そうすることで、聴者側も固くなりすぎず、内容がすっと入りやすくなります。その手順の一例として、以下を試してみましょう:
・構成と内容を周りと相談する: 自分は内容について詳しすぎるので、客観的な意見が必要)
・フィードバックをもらう: 実際にプレゼンの練習を聞いてもらい、客観的な感想を聞く(下記のプレゼンの4つの表現を参照)
・ひたすら練習する:プレゼンの内容を思い出すように話すのではなく、楽器演奏のように考えなくても言うべきことがでるようになるまで練習しましょう。
また、プレゼンの表現には以下の4つを意識しましょう:
速度:話す速度が早すぎないか、遅すぎないか
声量:ごもごもとした声になっていないか、張りすぎていないか
音高:声のトーンが高すぎないか、低すぎないか、適材適所か
休符:大事なポイントを言う前にタメを作っているか、静かになる瞬間に堂々としていられるか
4. 聴者に新しい知識を提供する
人間は何かを学んだり、既存の問題に対する新しいアプローチを聞いたりすることが大好きです。ですので、聴者に付加価値を提供できるようなプレゼンにしましょう。例えば、プレゼンの専門分野とは違う専門分野との繋がり・共通点を見つける、斬新なアイデアを提案する、などが考えられます。
また、それらのメッセージを強烈にするためにも、シンプルなヘッドラインを心がけましょう。考え方としては、プレゼンの資料はツイッターの投稿程度の文字数しか入れない、といった具合がいい目安になります。
5. 印象に残る、口が塞がらない瞬間を作る
口が塞がらないほどの衝撃的な瞬間は脳裏に記憶されやすいと科学的にも研究結果が出ています。ですので、プレゼンの肝の部分では衝撃が走るような構成にしましょう。
例えばスティーブ・ジョブス氏がiPodを発売した際に放ったフレーズが「1000曲をポケットに」でした。当時はまだCDプレイヤーなどが主流で、そもそも曲を持ち運ぶという概念自体が真新しいのに、CDでは大概15曲程度しか入らないのに、それもスケールの違う1000曲も?!と衝撃が走りました。無論、その後のAppleの物語も皆さんご存知だと思います。
ですが、これが例えば、xxギガバイトまで音楽データを保存できます、なんて言われたとしたらここまでの衝撃はなかったでしょう。そうではなく、聴者が、「なるほど、これはやばいな」、と思えるようなメッセージを伝えることが肝になると思います。
6. 遊び心を取り入れる
プレゼンをする際には、TPOによってはガッチガチの内容になることもあると思いますが、基本的には遊び心、つまりユーモアを取り入れることをオススメします。例えシリアスな場面でも、少しくすっと笑えるような、適切なユーモアを組み込むようにしましょう。ユーモアは聴者の構えをゆるくする効果があり、よりあなたの話を聞き入れやすくしてくれる効果があります。
7. プレゼンは長くても18分
脳科学的にも人間が集中して聞くことができる時間が18分であるという研究結果があります。もしそれ以上長くなる場合は10分おきに休憩やデモンストレーションなど区切りを一つ挟むようにしましょう。実はYouTubeでも、こういった一瞬小休止を挟む動画が多い理由はこういった背景があります(はじめしゃちょーの動画など、ご覧になってみてください。内容はくだらないものが多いですが、視聴者に最後まで視聴してもらえるよう、飽きられない工夫が凝らされています)。
また、プレゼンの時間を18分に絞ることで、何を伝えないといけないのかの整理も強いられ、またクリエイティブな伝え方を求められることになります。
さらに、それをするにあたり、伝えたいことを3つの要素に分解することも、聴者が最後に何を伝えたかったのかを覚えやすくする工夫となります。
8. 五感に訴えかける
人間の脳は飽き性で、抑揚のない話やオチのない話を嫌い、映像や音など五感に訴えかけるものを好みます。その証拠に、多くの若い子は長くモノトーンなニュースを聞くよりもTikTokなどの短く派手な動画を選びますよね。それはプレゼンも同じく、五感に訴えかけるように語ることが大事になります。
それは、ド派手なスライドを作れということではないのですが、例えば、ビル・ゲイツ氏が二酸化炭素の問題について登壇した際には、スライドの背景に地割れするほど乾燥した大地をおき、「CO2>気温の上昇>悪影響」をでかでかと載せていました。たった少しの工夫で聴者側にも一瞬でメッセージが伝わりますし、その深刻さが言葉ではなく視覚的に伝えられています。
9. 自分らしくいる
嘘をついたり、盛りすぎたりすることはご法度です。これまで8つのポイントに触れてきましたが、最終的には聴者とプレゼンターが信頼関係を結ぶことがなければ、全てが水の泡となってしまいます。例えば、自分はこの商品がいいと信じていないのに、言葉巧みにプレゼンをしても、おそらく聴者側はその違和感を感じ取ることができると思います。また、自分を殺して全く違う誰かになったりすることも、聴者側からは何かしらの違和感を感じとることができます。
ですので、誰かのマネをするのでもなく、あくまで自分らしく、自分の色を出していきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?テクニックやスライドの構成に関する内容ではなく、戸惑った方もいると思いますが、多くの方がおそらくそこに囚われてしまっているのだと思います。素晴らしい製品、素晴らしいスライド、素晴らしい話しのテクニックよりも、どうやったら人が聞いて動いてくれるか、を追求すると、いかに人間的な部分を出し、共有し、共感するか、になるのです。もちろん、テクニックも大事ですが、本記事ではより人間的な部分にフォーカスを当ててきました。
コロナ下のリモートワークなどでなおのことプレゼンが難しくなった今、是非カーマイン・ガロ氏が綴った、著書「TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則」をご一読いただき(かなり端折ったので!)、効果的なプレゼンをされてくださいね。
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では、また来週。
- JumpE
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