![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117503903/rectangle_large_type_2_53e423881c3bd7e82d8db91d4ada136f.jpeg?width=1200)
【試し読み】マッシュル-MASHLE- マッシュ・バーンデッドとガンガンいこうぜ
『マッシュル-MASHLE- マッシュ・バーンデッドとガンガンいこうぜ』発売を記念して、本編冒頭の試し読みを公開させていただきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1695962560414-FbIVzR6OSn.jpg?width=1200)
あらすじ
ついに学期末を迎えたマッシュたちは感謝の意味をこめてアドラ寮を大掃除をすることに。掃除していたはずが大量のシュークリームがなぜか大発生したり、片付けていた部屋が爆散してしまったりと、一向にキレイになる気配がみえない中、マッシュたちが選んだ方法は...。選択肢で結末が変わるアブノーマル魔法ゲーム小説、伝説の第3弾!?
それでは物語をお楽しみください。
第0章 冒険のまえに
なんと喜ばしいことだろう。
この魔法の書を開く、勇気ある人間がついに現れたとは!
この世には、人間界と魔法界とを繫ぐ魔法の書が三冊現存すると言われておる。
そう、この書こそが、そのうちの一冊。
ページをめくれば、たちまち異世界へ出向くことができるのだが、
そのまえに、言っておかなければならないことがある。
この書が持つ魔力によって、
そなたは、魔法界で暮らす人々の行動を操ることとなる。
彼らの生きる一日が、平和に過ぎゆくか、それとも悪夢となるか、
物語は選んだ数字次第で分岐し、変化する。
彼らの運命は、そなたの選択にかかっているのだ。
しかし、心配しすぎることはない。魔法界と人間界では、時間の進み方が違う。
この冒険は、何度でも前に戻り、やり直すことができるのだ。
自分の翅か鱗をページに挟み、目印として読み進めるといい。
……いや、すまない。人間には翅も鱗もないのだったか。
ならば、しおりやメモを活用すればいいだろう。
記憶力に自信があるのなら、その頭を使ってもいい。
誰だって、今ここにあるもので、できることをするしかないのだから。
まだ伝えたいことは山ほどあるが、魔法界でも久々の客人を待ちわびておるらしい。
早くページをめくらせろと、中から、せっついてきよるわい。
さあ、次のページへ進むがいい。
そこはもう魔法界、ゴブリンやエルフに揶揄われないよう気をつけるのだ。
ひとつでも選択を間違えれば、二度と人間界へ戻ってこられない可能性もあるのだから。
ほら――。
第1章 フィン・エイムズと消えたルームメイト
▽A―1
フィン・エイムズは、額の汗を拭うと身体を起こした。部屋はまだ暗い。壁際に置かれたベッドの脇から足を下ろせば、ちょうど向かいの壁にルームメイトのベッドがぼんやりと見える。
「怖い夢を見たんだ」
もしマッシュ・バーンデッドが起きていたら、そんなことを言って気を紛らわせたかった。でもマッシュはまだ寝ているだろう。悪い夢のせいで、目覚ましが鳴る前に起きてしまったのだ。閉めたカーテンの外もまだ暗く、夜が明けていないようだ。
暗い部屋でフィンは立ち上がる。何か飲みたかった。昨夜の飲みのこしのお茶がテーブルにあるかもしれない。
「ん?」
立ち上がったフィンは、部屋の隅に違和感を覚えた。マッシュのベッドがあるあたりだ。目を凝らして見てみると、ベッドの上に何か大きなものがあるようだった。人がひとり、膝を抱えたくらいだろうか。いや、もっと大きい。
「……マッシュくん、起きてるの?」
こわごわ足を踏み出す。
「何してるの? なんかそういう筋トレ?」
声をかけながら、ものすごく変な寝相で寝ているだけかもしれないな、マッシュくんだし……とも思う。そっと近づき「マッシュくん?」と再び声をかけた。
そしてベッドの脇まできたフィンは、息をのむ。
「こ、これって……まさか……!!」
そう、マッシュ・バーンデッドが眠っているはずのベッドには、巨大なシュークリームがひとつ、ドンと鎮座していたのだった。
「いや、大きすぎでしょ!?」
思わず仰け反って、気づく。マッシュがいない。夜、寝るときには確かにいたのに。いったいどこに行ったのだろう。
「シュークリームを置いたままいなくなるなんて、マッシュくんらしくないな。っていうか、どうして皿にも置かずにベッドなんかに……。でもこんな大きいシュークリームを載せられる皿なんてないか」
首を傾げてシュークリームを眺めているうち、カーテンの隙間から朝日が差してきた。
「そうだ、お茶……」
ふたつのベッドの間に置かれたテーブルからティーカップを取り、冷めきったお茶を飲む。マッシュは帰ってこない。自分のベッドに腰掛けてシュークリームを見つめていると、突然目覚ましが鳴った。ビクッと身を震わせ、慌ててベルを止める。
マッシュはまだ帰ってこない。嫌な予感にムズムズと居心地が悪くて、なんだかじっとしていられない。フィンは立ち上がると、再びマッシュ不在のベッドへ行ってみた。
「……あ」
シュークリームの傍に何か落ちている。手を伸ばすと、それはマッシュがいつも眠るときに被っているナイトキャップだった。
「どこに行ったんだろ」
もうすぐ朝食の時間だった。いつも時間通りにプロテインを飲んでいるマッシュなのに、本当にどうしたのだろう。それでも、今日が休日だったのは不幸中の幸いだった。授業に遅刻して怒られることはない。
「とりあえず食堂に行かなきゃ」
落ち着かない気持ちのまま着替えていると、ドアがノックされた。フィンはハッと駆け寄り、ドアを開ける。
「マッシュくん!?」
*
さて、ドアを開けた先に立っていたのは誰だろうか。
マッシュ・バーンデッドが見つかるかどうかは、この書を読むあなたの選択次第。道を間違えれば、マッシュが帰ってこない――という可能性もあるのだ。302号室の未来は、ページをめくるあなたの指先にかかっている。
さあ、3つの選択肢のうちどれかを選び、行き先の数字が書かれたパラグラフへ急ぐのだ。
● ランス・クラウン 》》A―2へ
● レモン・アーヴィン 》》A―3へ
● ドット・バレット 》》A―4へ
読んでいただきありがとうございました。
この続きは製品版でお楽しみください!
以下のリンクより購入が可能です。