M-1感想。「さや香」の二本目と「ダンビラムーチョ」の歌ネタが死ぬほどつまらんかった。決勝の生放送であんなん見せるぐらいならもう今年で終わりでいいよ、M-1。「漫才の頂点を決める」なんて大層な代物じゃねえって。あ〜つまらんかった。あ、でもヤーレンズは普通に面白かったけど。
筆者のNoteはご覧の通り、タイトルそのものにその時の率直な思いが概ね詰め込まれているので
よほど好きなジャンルの話なら別にして、さほど思い入れの無いM-1に対してこれ以上書くことなんて無いのだが
それでも一応毎年見ているM-1視聴者として
今年のM-1の「物足りない感」がエグかった事と
特にその中でも「さや香」の二本目と、ダンビラムーチョのネタがつまらなすぎた事だけはどうしても書かずにはいられない、という事で書いていく。
さて今年のM-1を総括すると、最後まで大きな爆発が無かったというか、グズグズした消化不良な「中笑い」が続いた印象だった
トップの令和ロマンでピークがいきなり来てしまい、いきなりこんなに面白いんだからこの先はどこまで面白くなるんだろう?と、視聴者の期待値が無駄に上がってしまい、もっと笑いたいのにそこまで笑えないような尻すぼみの展開が益々今年のM-1の「グズグズ感」を印象付けてしまった
その中でも個人的にも審査員的にも、断トツでグズグズに滑っていたのが「ダンビラムーチョ」だろう
そもそも前提として
筆者は有名人ネタや歌ネタが嫌いである
台本中の小ネタで挟む程度なら問題ないが、ネタの本筋が丸々それだとその時点でもう見る気が失せてしまう
これは好みの問題なので、歌ネタ・芸能人ネタそのものがダメというわけではない、ただ単純にネタが面白くなかった。
BUMP OF CHICKENの天体観測というチョイスも正直微妙だろう。バンプは審査員世代以上のおっさん、おばさんには響かないよ、残念ながら。Aメロを歌い出した時に、「えっ、この曲知らないんだけど・・」というお茶の間の空気感をリアルに感じてしまった(BUMP OF CHICKENは完全に巻き込まれ事故)
今年流行ったYOASOBIのアイドルとかも、それはそれでお寒い空気にさせられたし
安パイの玉置浩二なんかも含めて、曲チョイスの全てが裏目に出てしまった感じだった。マライア・キャリーだけは感触良さげだったから、洋楽で攻めたほうが良かったんじゃ?と思ったり。何故だか分からんけど、お客さん層とか、審査員層とか含めて、その場の空気感にウケ量が大きく左右されるネタなのは間違いない。
しかしなんだろうね。このダンビラムーチョのミーハー的な笑いの感じは、昔のものまね王座決定戦とかと同種のノリを感じた。
昔の芸能界だったらこういうコンビはやりやすかっただろう。でも今はもうそういう時代じゃないから。こういうミーハー的な歌ネタ、芸能人ネタはそこまでウけない。
一般生活の中での日常(学校、コンビニとか飲食店のあるある)を扱ったネタのほうが、今の我々には抵抗なく入ってきやすい。
でもまぁ無限大ホールとか予選では実際ウケたから決勝に上がってきてるのだろうから
このジャンルのネタにも一定層のファンはいるのだろう。が、少なくとも筆者は全く好きではない笑いだ。マジでつまらんかった。
それでいうとモグライダーなんかも芸能人いじりネタで、正直好きではない。(そもそも錦野旦の50年前の歌が題材になる事自体がやばい事だなと思う・・これはまた別の話だけれど)
ただしモグライダーの場合は純粋に漫才の掛け合いで笑ってしまうんだよな。マセキ芸能に上がっているyoutube動画をなんかを見てもやっぱり他のコンビより頭一つ抜けてるし。歌ネタうんぬん抜きにしても、面白いなと思えるコンビ。
ただダンビラムーチョに関しては歌ネタ抜いたら何か残るのか?という穿った目でしか見れないんだよね。審査員の富澤か塙あたりが「歌ネタではなく他のネタが見たかったですね」的な事言ってたけど、多分このコンビは普通の漫才をしても決勝までいけてないし、だからこそこういう飛び道具ネタを使ったのだろう。
そんでネタ直後の平場でもWBCに絡めたボケをしていて、こいつらは何から何までネームバリューに頼るお笑いしか出来んのかと見ていて全部イライラされられた。まあ分かった事は、筆者にダンビラは合いません。以上
そんなダンビラムーチョの悪い流れを引き継いだかのように
後半は失速続きのコンビ達の中にあって
唯一気を吐いたのが「ヤーレンズ」だった
去年の敗復でもちゃんと面白かったが
決勝では更にこのコンビの面白さが出ていた
ネタの終盤に大声で怒鳴り上げりゃいいと思ってるコンビが多い中で、あの淡々と常に一定の声量、テンションでボケ続けるあの姿に本物の「芸人」を感じたし、昔のダイマル・ラケットとかいとしこいしみたいな、あれとは全然違うけど凄く落ち着いて見てられる。好きな笑いだ。
そして問題のさや香・・(二本目)
筆者はさや香の漫才は普通に面白いと思っている
実際、去年の同大会でも大笑いしたのはさや香と他数組だけだった(チャンピオンのウエストなんとかではクスリとも笑えなかった。)
だがこのコンビ、いつもそうなのだが
突発的にヘンテコな形式のネタを入れてくる。
「・・おいおい、急にどうした?そんな尖りを求めてねえよ。こっちはいつものあの感じを見たいんだよ。」
・・そんな思いのまま、結局終盤に巻き返す事もないまま4分が過ぎてしまった。
正直、あれが面白いと思っている感覚を持っててよく決勝に上がってこれたなという感想。酷すぎたね。筆者はエゴサは全くしないのだが、多分同様の感想は沢山上がっている事だろう。さや香というコンビが全く分からなくなった。
多分、新山のほうがネタ書きだと思うが、この男相当変な奴だと思う。
優れた一般的感覚と、誰にも理解されない変態的な感覚の2面性を、同じ配分で併せ持っている気がする。今回のネタは、後者の部分の悪い新山が出たように思えた。
とまあ、さてさて
今回のM-1を見て感じたのは、前述したように笑いの面で期待を裏切られガッカリさせられた事、そして
お笑いファンとそうでないお茶の間との温度差をますます感じるようになってきた、という事。
そもそもM-1って盛り上がってる?今年は全然聞かなかった気がするなぁ
お笑いをテーマにした「だが情熱はある」というドラマも
芸人や芸人ファンのSNSでやたら盛り上がっていて、さぞかし世間的にも流行っているんだろうなと思ってたら
全く流行ってなかった事もあったし(視聴率2%)
お笑いファンの熱量をそのまま鵜呑みにしたら駄目だという事だな。
そして面白いつまらないは抜きにして、お笑いがマニアック化され過ぎていて
地上波のゴールデンのエンタメとしては
M-1はもうそろそろ潮時だろうね
カベポスターのネタなんかは、面白いとか以前にテレビの前のオッさんオバさんらには恐らくなんのこっちゃ分からんかっただろう。あのワードセンスとかは若い人ならともかく中年世代以上は普段からお笑い見てる人じゃないと、ついてこれんでしょ。
そう思うと、お茶の間のお笑いの正解っていつまで行ってもドリフ大爆笑なんだろうね
あれぐらい単純でベタじゃないと(でもちゃんと笑える)
あまり小難しく、複雑化したら視聴者は離れる
未だに単純明快なリズムの昭和歌謡ばかりがお茶の間で流れてくる音楽業界もそう
老若男女に分かりやすくて、その上で質の高いモノだけが本当にヒットするんだろうね
でも今の時代、そんなモノはほぼ作れない。
お笑いにしろ歌にしろ、「1億2千万総国民」相手のエンタメは、もうとっくに限界なのかもね。そんな事を感じさせられるM-1でした。