私は私のままで
今日は息子の誕生日だった。
生きていたら4歳になるはずだった。けれど息子は4歳にならない。3歳7ヶ月のある日、亡くなったからだ。
家で亡くなり、警察が介入し司法解剖も行われた。つい先日解剖の結果が出たけれど、結局原因不明のままだった。
息子との思い出も、そして後悔も、もちろんたくさんある。けれどそれはここには書かない。
生きている人間の生活は続く。過去になってしまったものは、もう変えることは出来ない。
長いこと何かを待っていた。何かが始まる魔法のような日を、待っていた。
この世に魔法なんてないとどこかでわかりながら、ガラリと、音を立てて世界が変わるような何かを、来ない来ないとわかりながら待っていた。
私は結婚して誰かの妻になった。子を産んで母になった。2人目の子を産んで2児の母になった。3歳で子どもが死んで、"3歳の子を亡くした母"になった。
けれどずっと私は私だ。
何があっても、何もなくても私は私だ。それだけは確かだと、私は今知っている。それでいい。
連綿と続く。命ある限り、命繋ぐ限り続いてきた通り、人間の理の中でささやかで取り留めのない日々を過ごしていく。
毎日些細なことに笑って泣いて、怒って、落ち込んで、浮上したりできなかったり、日が沈みまた昇る。
それだけだ。
毎日たくさんのことが起きる。何かが終わる。けれど波は寄せては返し、遠目からは何が変わったかわからない。
何も変わっていない。ただ少し、今日のように一緒に迎えるはずだった日を思って泣く日もある。
待っていても魔法は起きない。現実は残酷で、人間は愚かだ。
ただ続いていく。続いていくかぎり、少しでも良く過ごしたい。これまでと何も変わらずそう思う。
誰かを許したり、誰かを抱きしめたりしながら、ささやかな日々を積み重ねていく。
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