月組桜嵐記/Dream Chaser
宝塚大劇場にて観てきました。
珠城りょう、美園さくらのトップコンビの退団公演です。
初めてライブビューイングで観たトップスターさんが珠城さん、初めて大劇場で観たトップコンビがたまさくである私、売り止めになる直前に1枚追加し、今回は2回観る予定があります。
1回観てきて、もっとチケット取っておくんだった…!と思っております。桜嵐記もっと観たい。ショーもっと浴びたい。
桜嵐記
さて1幕目、桜嵐記はロマン・トラジックと銘打った和物です。脚本・演出は上田久美子先生。このnoteでも頻出ですよね(ほんと?)
時は南北朝時代。鎌倉幕府を倒した後醍醐天皇は既になくなり南朝は後村上天皇の御代。北朝は足利尊氏の室町幕府が擁立し、実権を高師直など武士が握っている。珠城りょう演じる楠木正行は南朝の武士。父・楠木正成は南朝のために戦い命を落としていますが南朝においては武士の立場は低く、正行の弟、月城かなと演じる楠木正儀は「父は北朝ではなく南朝に使い潰され、死んだのではないか」と疑問を抱くようになるほど。そんな動乱期に中宮の女房であり南朝一の女房とも言われている美園さくら演じる弁内侍とのつかの間心の触れ合う恋と楠木正行の生き様を描く。
今適当に要約してみたんですけどこんな感じのあらすじでしょうか。
後に南朝が正統とされたことから戦前・戦中のプロパガンダにも利用された楠木家の話を上田久美子先生が「宝塚の和物の型」を意識し、新しい解釈で編んだ物語、とのことです。
日本史わからない、南北朝時代?ちょっとなんのことだかわかりませんね……くらいで行きましたが心配ありません。わかりやすいです。冒頭でも組長・光月るうさんがわかりやすく観客席にフランクに語りかけながら南北朝時代を説明してくれ、自然に物語の中へと誘ってくれます。るうさん本当に好き。居るだけでお芝居が締まる。
難しいと言われがちな上田久美子作品ですが、今回はわかりやすいと思いました。わかりやすくて不気味なほどで、「さあ、泣け!!!」と言われているようでした。ええ、泣きましたとも。
戦の中にあっても人間の営みは変わらず存在します。触れ合えば情が芽生え惹かれ合うこともあるでしょう。でも戦の中にある正行は自分がいつか戦の中で死ぬことを悟っています。
覚悟を抱いた珠城りょうの美しさ、初日の幕が開いて新聞各社の報道や公式ギャラリーの写真を見ていただけでもう既にわかっていましたけど、舞台の上では写真の何倍も何十倍も美しいですからね!?
和物の衣装、スタイルなんて分からないと思うじゃないですか。顔が小さい!!!びっくりする小ささ!!!!
以前私は上田久美子先生について「オフステージの姿も含めて演者のすべてを引き摺り出すような演出をする」的なことを書いたことがあるのですが、珠城りょうという早熟な"背負わされてきた"若きトップスターの退団公演として、見ているこっちが勝手に想像して重ねてしまうんですよね。珠城さんご自身は「退団公演だということはあまり意識していない。役を精一杯生きる」のようなことを度々インタビューで答えていらっしゃるので、観客の私たちは見せてもらっている舞台の上だけを観て感じ取らなきゃ本当はいけないのだと思うのですが、この演目で退団、ファンの方々はすごく幸せだろうなぁと思いました。立ち会えた者の1人としてもとても嬉しかったです。
まあ、悲劇なんですけどね。悲劇メーカー上田久美子が「さあ、泣け」と言っている悲劇なのでぜひ皆さん存分に泣いて楽しんで来てください。アイラインと下まつげのマスカラは諦めろ。
TLで話題だった月組のロイヤル・紫門ゆりやさんのロイヤルでノーブルな佇まいを消し去った高師直。めっちゃ怖い。女体持ちとして震えがくる、女を消費して生きてる怖い奴。でも声がめっちゃカッコよくてずるいんだなぁ。隙あらば女体を消費してこようとするので本当に怖い。海乃美月さん演じる百合にふと向ける声とか。怖い。
暁千星さん演じる後村上天皇が今回のロイヤル担当でしょうか。ゆったりと話すだけじゃなく、生まれながらの王子感。南朝に君臨しながらも先代であるもう亡くなった父に、南朝のために死んでいった者たちに、囚われている葛藤がいいですね……切ない。
もう1人のロイヤル、足利尊氏の風間柚乃さん。こちらも佇まいがもう只者じゃないんですよね。客席挟んで花道と花道での謁見、千早赤阪の楠木家くらいであまり出番は多くないながらも存在感があります。
楠木三兄弟、次男正時は鳳月杏さん。鳳月さんの和物メイク、美しすぎない???オペラでお顔ガン見してたよ。海乃美月さん演じる妻・百合とのエピソードが私一番泣いてました。女の人生に弱いのもあるんですけど、すごく2人が思い合っているのが伝わってきてめちゃくちゃ泣きました。
楠木三兄弟の三男正儀は月城かなとさん。月城さんめちゃくちゃイケメンなのに3枚目なひょうきん者がハマるの本当にすごいですよね。私は月城さんの声が好き!オフステージのスカイステージの番組とかだとそんなに低い声のイメージはないんですけど、舞台の上だと低くて太い声なんですよね。荒々しい、命知らずな若武者の説得力がある声で本当に好き!
まだまだ言及したい方はたくさんいるんですけど、ショーのことも書きたいのでこの辺で。
Dream Chaser
月組さん久々の洋物のショー。めちゃくちゃ楽しかった!
プロローグの金色のお衣装と中詰めの青い衣装がゴージャス!好き!!もちろんそこだけじゃなくてお衣装全部素敵!好き!!!スパニッシュの場面の美園さんのお衣装、本当にかわいい。あれはスタイル抜群の美園さんのためのお衣装。
どの場面も最高なんですけど中でも私が好きだったのはタンゴのシーンと黒燕尾。
今回の黒燕尾、どこがどうと語れるほど黒燕尾が何たるか知ってるわけでもないのにめっちゃ好き!!!となりました。かっこいいんですよね。語彙がないな、あのかっこよさを語る語彙がない……
デュエットダンスも好き。宝塚のデュエットダンスだ!って感じ(語彙……)。なんかそんなにラブラブ!って感じのトップコンビのイメージはなかった2人がでも確かに信頼し合っているんだな、という静かな良さというか……
エトワールで下りてきて長めに歌う美園さんのお歌を聞いて、本当に上手でもっと美園さんのお歌が聞きたかった……とポロッと泣きました。何でも出来る優等生なイメージの美園さんだけどやっぱり歌の人だなぁとしみじみしました。
こんな感じの1回めの桜嵐記/Dream Chaserの感想でした。
もう1回観れるのは本当に幸せなんですけどもっともっと観たい!売り止めになってなかったら増やしまくっていたところでした。
今回は本当に宝塚初心者に本気でオススメの2本立てでございます。大劇場千秋楽6/21(日)13:00からのライブ配信をみんな観て!!!!サヨナラショーも付くよ!
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