その16 コミュニケーション能力?(1665文字)
1 はじめに
コミュニケーション能力を育むことは、とても大事だと思っています。
しかしながら、どのようにすれば、それが育まれるのかというと、明確な答えを持ち合わせないことも少なくありません。
2 子どもと接して
①先生「今から何したい?」
児童「…」
とか
②先生「うろうろせずに給食を食べなさい!」
児童「あっ…え、えっと…は、はい…。」
(…◯◯さんの牛乳がなかったから持って行ってあげただけなのに…)
みたいなこと、ありませんか?
3 よくある指導
(1)教室掲示
「かおをみて きこえるこえで くちをおおきく…」等の『形』としての話し方や、「話している人におへそを向けて、話している人の目を見て、うなずきながら」等の『形』としての聴き方が掲示物付きで教室には存在します。
(2) 聞くことより話すこと
挙手制度により、自分の話すことが重視されます。
指名してくれた先生に対して、自分の言いたいことを話す権利をもらえます。
その権利を得た子どもは、周りの子が居てようと居てまいと、周りの子が聞いていようがなかろうか、遊んでいようが寝てようが、指名してくれた先生に向けて話をします。
(3)先生主体
すると、先生が、他のみんなに伝わるように言葉を作り直して、説明し直してくれるのです。聞いてようがなかろうが…。
スピーカー状態です。
このようなことが、しばしば、いや日常的に行われています。
にも関わらず、主体的・対話的で深い学びがうたわれる、現学習指導要領になった途端、先生達は、「ペア(グループ)で話し合ってください。」等と言うのです。
(4)結末
そんなことできるはずがありません。
友達同士の会話を断ち切って、先生の声を聞くように「育ててきた」のに『正反対』と言わざるを得ない、「子ども同士の声を聞いて学びなさい」なんて……。
もう一度言います、子どもが上手にコミュニケーションしながら、学びを深められるはずがありません。
であるならば、平素から、普段の授業から次のことを大事にすべきではないでしょうか。
4 相手の話を聞く 〜能動的〜
他者が居るから、コミュニケーションが成り立ちます。
『コミュニケーション科』という教科・授業があってもいいのでは、と思っています。
例えば、話の聞き方を育みます。
Aさん『昨日、お出かけして楽しかった!』
このお話を聞いて、周りにいる子ども達が『そうなんだ。』で終わっては、コミュニケーションになりません。
⚪︎ 『昨日』に着目し、頭の中でイメージして、何時に出発したのかな?丸一日行ってたのかな?
⚪︎『お出かけ』に着目し、頭の中でイメージして、どこに行ったのかな?誰と行ったのかな?車で行ったのかな?
⚪︎『楽しかった』に着目し、頭の中でイメージして、イベントが面白かったのかな?どんなイベントだったのかな?なんか道中で楽しいことがあったのかな?
と先生が、話を聞いている子どもに問いかけることで、具体的な話の『聴き方』が、どういったものなのかに気づかせてあげることが大事だと思います。
これが、人の話を『能動的に聞く』ということです。
『能動的』の意味が具体的にわかって初めて、コミュニケーションにつながると考えています。
これを、私の界隈では『アクティブな聴き方』と表現しています。
決して『形』が大事なのではないのです。
5 おわりに
コミュニケーション科により、アクティブな聴き方が育まれると
①先生「今から何したい?」
児童「(今から?か…)時間どれくらい使っていいの?」や「(何したい?か…)外でもいいの?それか、教室のなかで?」という『問いに対して、問いを持てる』コミュニケーション力を育むことができます。
これまでの学校教育では『形』としての話し方、聞き方が大事にされて来ました。
これからは『実』の部分にスポットを当てた話し方・聞き方を育むことが、大事だと思います。
現学習指導要領が求める、主体的・対話的で深い学びに直結するコミュニケーションになるのではないかと考えています。