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【僕が遺書を書いて学習塾を辞めた理由 Vol.0】なぜ告発するのか?

こんにちは。元塾講師のストームです。僕は東大経済学部出身の30代。大学を卒業後に就職した学習塾を退職して,今はフリーの身です。このブログでは以前勤めていたブラック学習塾での経験を告発していきます。

記事の内容は事実に基づくフィクションです。匿名性を担保するために必要最小限の修正をエピソードに施していることは許してください。告発記事ではあるものの,具体的な人名や企業名を出すことは加害者だけでなくその家族や関係者にも危害を加えてしまう可能性があるためです。Twitterでも発信していく予定なので,もしよければフォローお願いします。

さて,第一回の【自己紹介】ではブラック学習塾を辞めるときのエピソードを少し書きました。

ありがたいことに前回の記事はレビュー数も多く,個人的な体験を多くの人が読んでくださりました。ありがとうございます。そこで,これから具体的なエピソードを書いていくにあたって,今回はこのブログを始めようと思った理由を書こうと思います。

このブログを始めた理由の一つは,ブラック学習塾での体験を個人的なものに留めずにいたいと思ったからです。

これだけブラック企業が問題化されたり,働き方改革が叫ばれたりしてもサービス残業や労働者の酷使がなくならないのはなぜでしょうか?

それは,経営者が従業員を「会社を辞めてもどうせ何もしてこないだろう」と「甘く見ている」ことが理由の一つにあると思います。ここで大学時代のエピソードを一つ。

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大学であるゼミを受けていたとき,ゼミの教授がこんなことを僕たちに問いかけました。

教授「なぜ剽窃やデータの改ざんをしてはいけないかわかりますか?」

僕たちは「剽窃は研究倫理に反するから」だとか「データの改ざんによって誤った成果が出てしまうから」と言いましたが,教授は「なぜ研究倫理に反するのですか?」や「誤った成果だとバレなければいいのですか?」と畳みかけました。

たしかに改めて「なぜ剽窃が研究倫理に反するのか?」や「データの改ざんが絶対にばれない方法があればいいのか?」と言われるとうまく説明できません。理由を説明されないまま「給食中はしゃべるな」「廊下を走るな」と言われることを鵜呑みにしてきたからでしょうか。「先生がダメだといったらダメだ」と僕たちが思い込んできたことを目の当たりにして何とも気持ちの悪い時間でした。とはいえ,東大にまで入って「先生なんでですか??」と聞くのもプライドが許さないので黙っていると,教授がこう言いました。

教授「剽窃は元の文章を書いた相手への敬意がない。必死に頭を働かせて,研究成果を世に出した研究者には最大限の敬意を払う必要がある。その方法が引用なのです。データの改ざんもまた,その研究に協力してくれた人や研究成果を受け取る相手への敬意がないのです。」

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僕が勤めていたブラック学習塾の経営陣は,これから書いていくエピソードを読んで判断してもらうつもりですが,「人」に対する敬意がなかったように感じます。使い古した雑巾を捨てて新しい雑巾をいとも簡単に手に入れるように,顧客であれ生徒であれ従業員であれ,「人」を「物」として扱っていました。

彼らはきっと「捨てた雑巾は焼却されてこの世から無くなる」と感じるように,「会社を辞めた人間がいつか再び自分の目の前に現れて,罪を告げに来る」などとは微塵も思っていないのでしょう。だからこそ,一人の人間が両親やおじいちゃん,おばあちゃん,兄弟や友達...多くの人に愛されて生きてきたことへの想像力が働かずに,「人」を「物」として扱ってしまうのではないでしょうか。

水面に石を落としたときの波紋のように,このブログを目にしてくれる人が同心円状に増えていく。石が水面に接した時のような勢いは広くなるにつれて薄れていき,次第に弱々しい波紋になっていくでしょう。でも,そんな弱々しい波紋であったとしても,ブラック学習塾の経営陣やブラック企業の経営陣のもとに波が届くかもしれません。その時彼らははじめて自分のやってきた行いを理解するのだと思います。

「会社を辞めた人間が,いつか辞めさせたあなたの前に現れて罪を告げに来るかもしれない」

そんな想像力があれば,いろいろな人が愛してきた一人の「人間」をポイ捨てすることなんかできないんじゃないかと思います。そういう一つのきっかけになればいいと思って,ブログを始めました。

第二次フェミニズム運動が掲げたスローガンのように,「個人的なことは政治的なこと」”The personal is political.”だと思います。そして,こうしてブラック学習塾での「ぼく個人の」経験を発信していくことは,みなさんが読んでくださることによって社会的な「みんなの」ものになると思うのです。

もちろん肯定的なご意見だけでなく,批判的なご意見・ご感想もお待ちしています。

さて,次回からは「序章~立志編~」として,ブラック学習塾に入社した経緯を書いていきます。よろしければ引き継ぎお付き合いください。

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ブラック学習塾
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