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国語の解き方の流派

中学受験における最重要科目は算数と言われ、算数と同じく配点が高いにも関わらず、国語はやや存在感が薄く微妙な位置付けに感じます。

これは、他の科目に比べると学習の成果が分かりづらく、大して勉強時間を確保しなくてもできる人がいる一方で、いくらやってもなかなか成績が上がらない子もいるということで、対策が打ちづらいという点から来ているのかなと思います。

ただ、対策が打ちづらいからといって無視してよいかと言えばそんなことはありません。

事実、多くの入試で国語と算数は同じ配点になっており、理科・社会よりも配点が高いことも多いです。

また、国語ができると成績や合格率が安定するという説もあって、1問の配点が高くミスなどで差がついてしまう算数よりも、合格可能性を上げるという意味では国語の方がむしろ重要かもしれません。

国語の問題を解く流れについて

国語の読解法や学習方法についてはいろんな説があり、プロもたくさんいるのでここではあえて触れません。ただ1点だけ気になっていたのが本文と問題を解く流れの話で、ここについては先生によって流派がありそうなので、その辺りを書いてみたいと思います。

我が家は国語に悩まされていたため手当たり次第に本やネット等から情報を漁りましたが、おおまかに以下の3つの流派がありました。

【3つの流派】

  1. 本文先読み派
    (本文を先に通読してから問題を解く)

  2. 問題先読み派
    (問題を先に読んでから本文を読む)

  3. 傍線ぶちあたり派
    (本文を読んでいき傍線に当たるごとに問題を解く)

我が家での結果とともに、それぞれのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

1. 本文先読み派

【本文】→【問題を解く】
本文を一度通読してから問題を解く流れを推奨するものです。国語読解法の本では最も主流(こう書いている本が多い)と思われます。

予習シリーズにも「次の文章をしっかり音読してから後の問いに答えなさい」と書いている通り、国語を解く上ではこれが標準的な手法だと考えてよいでしょう。

"本文を読みながら大事なところに傍線を引く"と言うのも同じ流派ですね。読みながら線を引いておいた上で問題を解いていく流れになります。

そもそも国語の問題は、本文の内容をきちんと理解し把握できているか、もしくは物語文なら登場人物の心情が読み解けているかを問うものなので、読んで内容理解した上で問題を解くというのは自然な流れというか、一番模範的な解き方だと言っていいでしょう。

であればこれでOK、この記事も終了、のはずなのですが、他の流派もあるということはデメリットもあるはずです。

実は我が家も基本はこのやり方で解いていたのですが、その中で感じたデメリットは次のものでした。

通読時と解く時の2回読むことになり、読むのが遅い子は時間が足りなくなることが多い

特に5年・6年と学年が上がるにつれて文章が長くボリュームも多くなるので、時間切れで解けないことが多発しました。読書慣れしている子や、逆に読み飛ばしがちな子はこの点は問題にならないと思いますが(後者はまずいですが)、読むスピードが足りない我が家のようなタイプは、時間切れで解ききれないというのが最大の課題でした。

もう1点、傍線を引きながら読むというのは結構ハードルが高いと感じました。傍線を引けるということは重要なポイントがわかるということなので、その時点で読解力が高く国語が得意ということを意味します。鶏が先か卵が先かではないですが、結果的に国語力が高い子が正しく傍線を引けるだけで、闇雲に線を引きまくったところでポイントを外していれば意味がありません。
(接続詞を見て機械的にやるといった手法もあり試してみましたが、それで内容が理解できるわけでも読解力が上がるわけでもないので、効果は感じられませんでした)

以上をまとめると次の通りです。

【メリット】
・出題の流れに合致しており、最も模範的な解き方と思われる
【デメリット】
・通読時と解く時の2回読むことになり、時間が足りなくなることが多い
・傍線を引きながら読むのは定着のハードルが高い

結論として、読書好きや元々の国語力が高い子には王道の解き方だと思いますが、我が家のように国語力が不足したり時間が足りなくなるタイプの場合は、他の手法を選択する余地があると感じました。

2. 問題先読み派

【問題】→【本文】→【問題を解く】
こちらは問題を先に読んだ上で本文を読むという流派です。

このやり方を推奨している本はあまりなかったのですが、昔から聞いたことのあるやり方ですし、最近だとYouTubeで人気のにしむら先生が動画の中で推奨していた手法です。ということは、塾講師の中にはこのやり方を教えている人も少なからずいるのではと想像します。

動画はこちら→ https://youtu.be/pAKruQUZhs0

にしむら先生の言葉を借りると、「先に問題をざっと読んでおくことで、本文に入ったときに大事なところを意識して読むことができるようになる」ということです。

これは分かりやすいというか、そもそもどこに傍線を引いたらよいかもわからない子どもにとっては、理にかなったやり方に感じます。問題として出題される部分というのは、その文章で読み取ってほしいポイントになるのが基本なので、予めそこを意識しておくことで読み取りやすくなると思います。

一方デメリットとして考えられるのは、問題→本文→問題という流れになるので、読む時間は増え、時間短縮という面では微妙な点ですね。もちろん本文が読みやすくなったり、問題を解く時間が減るという効果は考えられるので、どちらの効果が高いかは試してみないと何とも言えないところです。

ちなみに我が家では、推奨している本がなかったこと、にしむら先生の動画が時期的に間に合わなかったこと、次に紹介する3番目の方法がハマったという3点から、この手法は試していません。なので、ここで挙げているメリット・デメリットは実体験ではなくあくまで頭で考えただけのものではあります。

【メリット】
・先に問題を読んでおくことで、大事なところを意識して読むことができる
【デメリット】
・時間短縮効果は不明

試験問題には、「本文を読んで次の問いに答えなさい」と書かれている通り、そもそも出題側も本文を先に読むのを想定しているので、国語教師からは邪道と言われそうな手法ではありますね。

3. 傍線ぶちあたり派

【本文】>【問題】>【本文】>【問題】…
最初から本文を読んでいき、傍線にあたった先から問題を解いていくというやり方です。

これは、中学受験ドクターの偏差値20アップ学習法で推奨されていました。詳しくはそちらをご覧いただければと思いますが、次のように書かれています。

長文を全部読み通す必要はありません。なぜならじっくり読めば時間がかかり(10分以上)、問題を解く時間が失われるばかりでなく、どんなにていねいに読んでも、文章の読解途中で前半の細かい部分を忘れてしまうからです。<中略>そこで「出会った問題から解く」ことが必要になってきます。

出典:中学受験ドクター 国語-偏差値20アップ学習法-

実は親の私自身はこのやり方で解いていたのですが、私の場合は単に通読が面倒だからという理由だけだったので、子どもには特に強制していませんでした。

息子の国語がなかなか上手くいかない中でこの受験ドクターの記事に出会い、ああこれでもいいんだと背中を押されたため、試しにやってみようかと始めたのが6年の夏でした。

で、どうやら息子にはこのやり方がハマったようで、ある程度定着した6年秋からは国語の成績が安定し、結局本番入試までこの方式でいくことになりました。この手法のおかげなのか、たまたま力がついた時期と重なっただけなのかは定かではありませんが、これ以降、少なくとも時間切れで記述が白紙になるということはなくなりました。ということで、通読で時間が足りなくなる子には有効かもしれないというのが1つ目のメリットです。

もうひとつ、設問というのは内容を把握する上で重要な部分に設定されていることが多いので、問題を解くことでそこまでの内容をきちんと理解した上で読み進めることができることもあるのかなと考えています。

一方でデメリットについては、後半まで読んだ上でないと解けない・間違える問題があるかもしれないというのが考えられます。最終的な筆者の主張を踏まえた上で考えないと、間違った回答をしてしまう可能性はあり得ると思います。
(この点について、一応気にして問題は解いていましたが、中学受験ではそこまで複雑な文章にはあたりませんでした)

【メリット】
・通読にかかる時間が削減され、時間短縮効果がある
・問題を解きながら読み進めることで理解が進む可能性もある
【デメリット】
・最終的な筆者の主張まで読んだ上でないと解けない・間違える可能性がある

ひとつ注意点としては、設問によっては傍線部の段落全体まで読んでからの方が良い場合や、パッと考えて分からない問題は飛ばしておいて後で解くなど、その場に応じて切り替える対応力が必要というのは挙げられます。

まとめ

以上、国語の問題を解く流れについて、3つの方式を見てきました。

ここで大事なのは、どの方法が良い・悪いとかいうことよりも、色々試してみてその子に最も当てはまるやり方を探すという視点かと思います。我が家は3番がハマったのでその方式で行きましたが、たまたまかもしれないし、それが全ての子にあてはまるとも限らないと思います。

受験勉強全般について言えることでもありますが、成績が伸びない、うまくいかない場合、何とか打開策を求めたくなる気持ちはとても共感しますが、全ての子にあてはまる決定打はないと思っておいた方がいいでしょう(あるなら全員が底上げされるだけ)。PDCAじゃないですが、色んな手法を試してみて、一番しっくりくるやり方を見つけていくのが受験サポートの醍醐味のひとつかなと個人的には思っています。

以上、国語で悩んでいる方の一助にでもなればうれしいです。


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