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【進学校の横比較】男子最難関編(筑駒・開成・聖光学院)
同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。
大学合格実績や教育内容などを深掘りし、グラフ化するなどして横比較していきます。複数の学校を横に並べて比較することで、それぞれの特徴に気付けたり、入試動向を探る材料になればと思っています。
【更新情報】
・2024.10.29 現役+浪人データの追加
・2024.9.2 noteへの移行と構成の変更
・2024.6.5 進学実績・偏差値を2024年版へ更新
・2023.9.28 進学実績を3年平均に変更(2021〜2023年)
・2022.11.18 初版投稿(2022年実績ベース)
男子最難関編では筑波大学附属駒場(筑駒)・開成・聖光学院の3校を取り上げます。これは、偏差値と合格実績を見比べた時に、この3校が頭ひとつ抜けていると考えられるためです。
また、偏差値と合格実績については、同偏差値帯の共学校である渋谷教育学園幕張(渋幕)と渋谷教育学園渋谷(渋渋)も比較対象として表示しています。
1. 偏差値推移の比較
まずは偏差値の推移を確認します。
ここではサピックス80%偏差値と四谷大塚50偏差値を見ます。単年度のグラフだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してグラフ化しています。
【データ出典】
サピックス:翌年度の第1回志望校判定サピックスオープン80%偏差値
四谷大塚:各入試年度の四谷大塚結果50偏差値一覧
なお、偏差値表の有効性を見るために集計した塾別合格実績は次の通りです。
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4大塾だけで合格者数の100%を大幅に超えてくるのでだいぶ眉唾ものの数字ですが、とりあえずサピックスの偏差値を中心に、四谷大塚の偏差値もカバーしておけば大体OKでしょう。(早稲アカ分は四谷大塚+他塾に重複して含まれると見ているのでここでは無視します。考え方はこちらの記事(塾合格実績の集計)にて)
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サピックスと四谷大塚で若干動きが異なりますが、共通しているのは聖光学院と開成の差が小さくなっている点かと思います。サピックスだと3校の差がかなり小さくなってきていますが、これはサピックスの母集団が増えたことと関連していそうな気がします。
参考のために入れた共学2校ですが、こう見ると渋渋の上昇度合いがわかりますね。
2. 大学合格実績の比較
続いて多くの人が関心あるであろう、大学合格実績の比較です。
【データ出典】
・合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より
【集計・表記のルール】
医学部などの重複カウントを避けるため以下のルールで集計しています
・一工:一橋大+東工大
・医学部:国公立大医学部医学科(数字に東大理Ⅲと京大医学部は含まない)
・旧帝大:北海道大+東北大+名古屋大+大阪大+九州大
(数字に東大・京大・医学部は含まない)
・他国公立:(数字に医学部は含まない)
・私立医:私立大医学部医学科
・早慶:早稲田大+慶應大(数字に慶應医学部は含まない)
・上理:上智大+東京理科大
・MARCH:明治大+青山学院大+立教大+中央大+法政大
並び順は東京一工医までの多い順(黄色ライン)
国公立大学実績(2022〜2024年)
国公立大学は、卒業生数を合格者数で割った数字を合格者割合として集計します。ここでは現役+浪人を含む全合格者と、現役合格者の2系統でグラフを作成します。また比較しやすいよう共学3校も並べてみます。
各グラフに共通した注釈は以下の通りです。
*聖光学院の旧帝大は医学部と重複の可能性があります
*渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*渋幕の旧帝大に名古屋大・九州大は含まれません(他国公立に含まれます)
現役・浪人合算の合格者割合
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東京一工医(黄色ライン)で筑駒は7割、開成・聖光学院は6割に達します。筑駒は東大だけで6割近くになります。
共学2校とは3割近くの差があり(別記事の二番手校はこの辺り)、やはりこの3校はちょっと実績が抜けているというのがわかります。
現役合格者割合
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現役だと3校の並びがかわります。東大は変わりませんが、東京一工医だと聖光学院が一番多くなります。そしてこの3校が50%前後で、共学3校とは20%ほどの差があるのがわかります。
学年の半数が東京一工か医学部に現役合格するということで、ちょっと想像を絶する世界に見えます。ただ逆の視点で見ると、中学受験(と高校受験)の超トップ層を集めたこの3校でも半分程度でしかないという見方もできるのかもしれませんが。
【2024年の注目点】
東京一工医(黄色帯まで)で順番を並べているのですが、今回初めて聖光学院が筑駒を超え一番上になりました。東大だけで見るとまだ10%ほど差はありますが、聖光学院が年々実績を上げている感があります。
私立大学実績(2022〜2024年)
私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化しました。
各グラフに共通した注釈は以下の通りです。
*渋幕の医学部データ・筑附のMARCHデータは進学情報誌さぴあより
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各校とも、早慶だけで100%を超えるイメージです。聖光学院・渋幕・渋渋の3校はMARCHまで入れて250%近くまでいきます。
現役合格者割合
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現役になるとそれぞれの違いが出てきます。筑駒と開成はMARCHまで入れても卒業生数より少ない人数しか合格者を出していませんが、聖光学院は早慶だけでも卒業生数の100%を超えます。(私大の場合、一人で複数学部を受験し合格を取るのは普通にありえるので、100%を超えるのはおかしなことではありません)
これは、筑駒・開成に比べ聖光学院が現役志向強めということだと考えられます。
文理割合
文系・理系の割合を、国公立難関大(東京一工医)への合格実績を使って算出します。具体的な集計内容についてはこちらの記事(進学校の文系理系割合比較)を参照してください。
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3校とも理系寄りですが、割合は若干異なります。筑駒は医学部ではない理系学部が多い、聖光学院はその逆というのがこの3校で比較した結果となります。
進学実績(2022〜2024年平均)
筑駒・開成は進学者数も公開してくれているので、この次クラスの学校のものと合わせ、進学率グラフも出してみました。
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早稲田以外はあまり現役志向が強くないイメージの学校が並んでしまいましたが、私大に関しては合格者数の割に進学者数が多くないというのが分かると思います。
とりあえず開成で早慶合格者数から進学者数の割合を出してみると約17%になりました。ということで、私大合格者数の1/5〜1/6が進学者数というのが一つの目安になりそうです。
ちなみに、この割合を聖光学院に当てはめて計算してみると早慶進学は18%、で国公立のグラフにこれを足すと、計算上は8割が現役で進学しているイメージなのかなと思います。
海外大学実績(2020〜2024年)
もうひとつ、海外大学への合格者数も比べてみます。名門大学(THE世界大学ランキング100位以内などの基準、具体的にはこちら)と、全海外大学の合格者数をグラフ化しています。
単年度だと波が大きいので5年間累計での数字で比較します。
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開成は10年ほど前から海外の名門大学への合格者を出すようになっていて、5年間で積み上げると結構大きな数字になります。一般的に海外志向が強いとされている渋渋・渋幕の2校と、実はそれほど大きく変わらないレベルで海外名門大学へ輩出しているところはちょっと世間のイメージと違うかもしれません。
聖光学院も上位の大学を中心に毎年コンスタントに合格者を出しています。一方で筑駒からはあまり多くなさそうです。
開成は進学者数も公開してくれているので見てみると、5年間で24人が実際に進学しているようです。合格者が91人なので、進学率は26%、約1/4ということになります(一般的にはもう少し低いようです)。
これだけの合格人数が出ていても実際の進学者数は年で数人からせいぜい10人くらいなので、全体から見ればそれほど大きなボリュームにはなっていないし、そもそも奨学金枠など経済的な問題も大きいのでこのデータは慎重に見るべきだと思いますが、一応学校の違いとしては挙げていいと思います。
こちらもどうぞ
→ 海外大学合格ランキング 2024年版
→ 海外大学合格ランキング 2023年版
→ 海外大学合格ランキング 2022年版
3. 教育内容の比較
教科学習に関しては、国立であり受験向けの授業はしないという筑駒と、中高一貫教育で文科省カリキュラムより先取りする私立2校では大きく異なります。
筑駒の場合はそもそも教科書の内容にもあまり触れないようなアカデミックな授業という話はよく聞きます。
ただこの学習カリキュラムに関してはこれ以上深掘りできる情報が少なく、意味のありそうな比較材料があまり見当たらないので、一旦は国立と私立の違いという点だけに留めておきます。
代わりに、教科授業以外のプログラムについて比較表にします。
教育環境
親的に関心がありそうな次の観点で比較します。
グローバル教育
探求型学習(+キャリア教育)
その他特徴的な教育/ICT環境
特進クラスの有無
希望者講習/大学受験サポート
グローバルや探究プログラムなどのほか、大学受験に向けた体制面も気になるポイントだと思うので、勉強面での希望者向け講習も追加しています。これだけで通塾の要不要は語れないと思いますが、学校側の姿勢(どの程度サポートしようと考えているか)はある程度測れると思います。
・各学校のWebサイト等から取得できる情報を中心にまとめたもので、全てをカバーできていない可能性があります
・成績下位向けの補習はどこもありそうで比較対象にならないので省略します
・各項目の詳細はそれぞれの学校Webサイトを参照してください
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向かっている方向性が大きく異なる3校なので、子供が6年間過ごす環境という面で合う・合わないを考え、比較検討してみる価値は十分あるのではないでしょうか。
筑駒は自由な校風ということでこの手のものは少ないイメージがありそうですが、そもそも国立大学附属は教育研究のための学校という背景があるので、SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)や国際交流拠点校であるなど、逆にこういうアカデミックなプログラムが多彩のようです。聖光学院は、聖光塾など学業以外の取り組みを充実させたことで、結果的に大学合格実績も伸びたというような話もしていました。因果関係はよくわかりませんが、特徴としては面白いですね。
通塾率(鉄緑会・SEG)
学校の勉強以外で塾へ通う人がどのくらいいるのかというのは親的に気にするポイントですが、残念ながら通塾率を公開している学校はありません。ただ、鉄緑会とSEGは学校ごとの在籍者数が公開されているので、これの全生徒数における割合をひとつの参考情報にしてみます。
ここでは参考までに二番手編の学校も含めて一覧化します。なお鉄緑会は指定校のみ公開されているので、空欄はゼロではなく非公開という意味になります。
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全生徒数は進学情報誌さぴあより
鉄緑会が代々木、SEGが新宿にあるため、この立地の影響は大きくあると思います。また、中1〜高3まで全学年の数字という点にも注意が必要です。それらを踏まえ、あくまでひとつの切り口として見てください。
という前置きした上で見たとしても、やはり筑駒の鉄緑会7割や開成の5割というのは相当な数字だと思いますね。筑駒・開成・桜蔭の3校が5割以上と飛び抜けて鉄緑会人数が多いのですが、大学合格実績が抜けているのもこれらの学校というのが印象的ではあります。(聖光学院だけ例外的ですが)
まとめ
以上、男子最難関編でした。別に偏差値や合格実績でどっちが上とか下とか学校の序列をつけようとかではなく、学校の向いている方向性や動向などが見えてくればと思ってまとめました。
この中でどの学校にしようとか選べる贅沢な人はひと握りだと思いますが、日程的に併願でき、学校の方向性もだいぶ違う3校ではあるので、比較検討する材料として、志望校選びの一助になれば幸いです。